2019年

4月

25日

Fluorocarbon Tippet

重箱の隅をつっつくようなネタでスミマセン。ちなみに標準小売価格は、税込1,944円。
重箱の隅をつっつくようなネタでスミマセン。ちなみに標準小売価格は、税込1,944円。

 どんなティペットをお使いですか? 

 コーティング技術が進化した今、市場にはさまざまな種類のティペットがありますが、私が使っているのはスタンダードなフロロカーボン製のそれがほとんど。ドライフライ・フィッシングだけならばナイロン製ティペットでもよいかもしれませんが、ほかの釣り方をする頻度を鑑みれば、年間をとおして多用するのはやっぱりフロロカーボン製のそれになっちゃう。

 

 数ある国産フロロカーボン製のイトの中でも、昔から愛用しているメーカーと銘柄がいくつかありますが、ここ10年の間に発売されたものの中では、左のティペットがいちばん大好き。トラウトハンター・ブランドのもの。

 

 このティペットは素晴らしい! 実際の使用感はもちろんですが、何を素晴らしいと思って今回改めて本商品を取り上げたか、その答えはスプールに印刷されています。よーく、ご覧あれ。

 探していた人なら、「あっ!」「えー? ホントに?」「なるほど!」と思うはず。答えはガイドの際に(笑。合わせて、イトに関する記事「Convert to X and "gou"」もご覧ください。

 

 追伸:春先からスタートしたガイドのほうは連日のガイドをへて昨日でひと段落。期間中はよいサイズにも恵まれました。お越しになったみなさま、ありがとうございました。


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2019年

4月

03日

Tokachi Fly Fishing Equipment

 突然ですが、オフシーズンの間、ウチのウェブサイトでいちばん人気のページは、表題の「十勝を釣る道具」のよう。これって、多くの人にとって道具選びが切実である証なのかも。

 また、何を隠そう、日本国内でこのページをご覧になっている人数がいちばん多い市町村区は、ジャーン! 第1位は札幌市在住の方。道内では、次いで帯広市の方なのであります。さもあらん!

 

 そこでポロシリから提案。お住まいの地域にかかわらず、十勝を釣るのにどんな道具を用意してよいのかわからない、あるいはそんな検索をしてこちらにいらした方は、「ガイドフィッシングの準備」も合わせてご覧いただければ幸いです。道具ページに記した内容の意味がさらに立体的におわかりいただけるはず。それに、みんな大好きフライパターンに関する記事もあります。読めばタックル全体の”バランス”がとれることうけあい、です。

 

 しかしながらこのページ、「タイトルがよくなかったのかなぁー」と反省しきり。「オレには関係ない」と思っちゃうのか、道内の方はほとんどご覧になってらっしゃらないような。もとより書き手の能力が低いせいなのですが、互いに補完しあっているコンテンツです。ぜひ一度ご覧ください。

 

 おしまいに、ある米国のロッドメーカーが出した往年のカタログ中の"Line Sizes"のページから、シングルハンド・ロッドの6番ライン(およびロッド)について簡潔に説明した一文を紹介しましょう。

 これ、本稿に関係あるのかって? もちろん! 

 言いたかったのは、マスがマスであり続ける限り、道具に関して必要な情報の”多く”は、こんなふうに数十年前とおんなじなのかも、そんなあたりであります。

 

6-Weight Line. An excellent all-around rod for trout fishing with nymphs, small streamers and dry flies in a multitude of fishing situations. With the proper selection of lines and leaders, you can effectively handle almost all trout fishing conditions with this line size and handle windy conditions. You can comfortably made delicate casts as short 35-feet, and yet easily reach out over 70 feet when you need to.  

(右)自分の釣りが劇的に変わらない限り、サオに求める”調子”は変わらない。低番手のそれは、竹やファイバーグラス製もいいけど私はグラファイト製でもじゅうぶん幸せ。50万円のサオを買う予算があるなら、サオは5万円にして残り45万円ぶんは釣りそのものに費やしてはいかがでしょう? なんてったって人生の残り時間はお金より大事。時こそ金なりではなかろうか? と思うのであります。写真はゲストの元に”嫁いで”いったマス用4番指定のグラファイトロッド。同じシャフトのお化粧違いの1本は今も私の手元に。現役の”スタメン”です。


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2019年

3月

29日

Tellico

 晩春から初夏にかけてのガイド時に欠かせない、ポロシリの定番ニンフの一つがこれ、テリコ。

  えー、テリコを知らない? 使ったことない? それはもったいない!

 

 誕生したのは1927年、テネシー州の東、スモーキーマウンテンあたりで生まれたこのパターン、ポロシリにとって、これまで数多くのマスとの出会いに貢献してくれた、フライボックスにいつも欠かせない1本です。

 

 オールドファッションというなかれ。このパターン、使う時と使い方さえまちがえなければ、最新型のリアルなニンフやイマージャーパターンに負けないくらいの効果が。人間の目から見ればなんにも似てないけど、魚には何か鮮烈な信号あるいはトリガーになっているらしい、古典的アトラクターニンフです。

 そういえば、ごく最近までモンタナ州で活躍していたあるフィッシングガイドも、長〜い間自分のフェイバリットして、日々の実戦でアップデートを続けている最新パターンと同列に、堂々このテリコを挙げていたっけ。

 

  使い方のコツは以下のとおり。日中、おもにサイズ12~16番くらいのカワゲラ、つまりストーンフライが羽化している時に、スプリットショットを使わず流れに自然に漂わせたり、しっかり沈めてデッドドリフトする。たったそれだけ。

 十勝には、季節になると中型のカワゲラがいっせいに羽化するような川、ありますよね。必携なのはそんな川で釣りをする時。

 御大カーフマンさんも、下記の書籍内のTELLICOの記事中にジンクリアの山岳渓流でのエピソードを記している。いつもブログをご覧の方だけに、ここでこっそりご紹介しましょう。

 

 左上は私のフライボックスに収まっているテリコのクロースアップ。

 左下の写真の背景になっているのは、Tipsでも紹介している、ランドール・カーフマンさんの名著「アメリカンニンフ・フライタイイング・マニュアル」(Salmon Trout Steelheaser社刊。1975年)。

 よい釣りを!

 


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2019年

3月

24日

Polaroid glass

 今年の冬、偏光グラスを新調しました。製作をお願いしたのは、千葉県にあるカトウオプトワークスさんです。

 

 レンズはガラス製のタレックス社製。フレームはいつもと同じ、カトウさんところの「シェーカーロイド」。イタリアはマッケリー社のセル生地で作られた、じつに古典的なボストンタイプのセルフレームです。

 20年ちかく、私のポラロイドグラスはこの組み合わせ。これまで、失くしたり視力が変わるたび、カトウさんところで誂えてきた。新調しても誰も気づかないのが玉に傷だけど、変えなくてよいものもあります(笑。フレームのシェーカーロイドは在庫限りだったようで、今回もどうにか同じものを作ることができました。

 1本誂えるのに5万円少々。でも、シーズン中は毎日川の中を歩くわけだし、こればかりは安物じゃあねぇー。私にとっての偏光グラスは、目はもちろん、自分の身や、仕事の質を守ってくれる大切な道具です。

 

 この数年は、晴天用に1本、曇天および薄暮用の1本に加え、予備としてオールラウンドなレンズを入れた1本を加えた計3本の偏光グラスを持ち歩いています。また、ひと目で区別できるように、レンズごとに色違いのフレーム(いずれも同社のシェーカーロイド)に入れています。

 老眼はそれなりに進行していますが、今のところフィールドで老眼鏡は使っていません。光量が少ない時や小さなフライを結ぶ時だけ、撥ね上げ式の、帽子のつばに付ける拡大鏡、昔ながらの「フリップフォーカル」で間に合わせています。新調した1本も遠近両用のそれではなく、眼科の眼鏡処方にならって”度”を入れただけのものです。私にはこっちのほうが性に合ってるみたい。

 

 さて、今回の事の発端はリテーナーでした。細部を確認せず、いつものCHUMS製と思って買ったものがなんと類似品で、フレームを差し込む部分が少々緩かったのですが、日々ガイドが続くシーズン中だったし、近所に売っているお店も知らないし、騙し騙し使ってた。すると、ある時何かの拍子にリテーナーから抜けて川に落っこちちゃった。必需品だし、大切に使ってきた愛用品だったからとてもガッカリしたのでした。

 教訓。偏光グラスのリテーナーは、ちゃんとしたものを使うべし。

偏光グラスのリテーナー(写真右下)はとても大事なツールです(笑。それと、盛夏に、アブやハチにたかられたくなかったら、真っ赤や真っ黒のリテーナーは避けたほうがベターかも。消耗品だし、今後は好きな色を見つけた時にまとめて買っておくことに。
偏光グラスのリテーナー(写真右下)はとても大事なツールです(笑。それと、盛夏に、アブやハチにたかられたくなかったら、真っ赤や真っ黒のリテーナーは避けたほうがベターかも。消耗品だし、今後は好きな色を見つけた時にまとめて買っておくことに。

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2018年

9月

12日

Hokkaido Eastern Iburi earthquake

今回の震災がもし真冬だったら……そう想像するだけでもおっかない。冬でもいっさいの電源なしに暖がとれる燃料といえば、やっぱり薪。調理用の熱源にも、暖房にもなります。
今回の震災がもし真冬だったら……そう想像するだけでもおっかない。冬でもいっさいの電源なしに暖がとれる燃料といえば、やっぱり薪。調理用の熱源にも、暖房にもなります。

 最初に、北海道胆振東部地震で被災された皆さまにお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 ポロシリのある中札内村では、幸い家屋の損壊などもなかったようですが、地震発生とほぼ同時の停電開始からじつにおよそ丸2日間、電気なしの暮らしを余儀なくされました。

 東日本大震災の際は東京にいたのですが、これほど長い停電を経験したのは初めてのこと。それにしても、まぁーなんというぜい弱さ。ニュース番組などによる情報収集ができないことはもちろん(一時は携帯電話の電波すら微弱でいっさいの接続ができませんでした)、果てはお風呂まで、健常者であるにもかかわらず不便を感じることの多さは意外なほどでした。

 電源の話をすると、わが家では充電しておいたDC12Vのディープサイクル・バッテリー3台を一時的な電源として使いました。自動車のバッテリーと同様の、ボートのトローリングモーターに接続しているアレです。これに手持ちのインバーターを接続、AC100Vに変換し、携帯電話などの電子機器をはじめ、夜間に使う充電式LEDライトなどの充電に用いました。

 今回の地震はたくさんの示唆を含んでいたように思います。この経験と教訓は活かしてこそ、ですね。

 

 追伸:9月12日現在、ガイドは平常どおり営業中です。十勝管内の河川などに、地震によるおもだった影響はございません。


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2018年

7月

11日

The Rainy Season

写真は荒瀬に入っていたとんでもなく走る大型がストライクしてやりとり中の私。よく走る魚をいなすならリールはディスクブレーキ付きが楽チン!? いや、オートマチカリーなぶんだけ退行的な怠慢ともいえるのですが……。さて、昨今流行しているロングロッドは持ち重りのするものが多いのが悩みのタネ。バランスのとれたタックルなら終日釣りに集中することができます。
写真は荒瀬に入っていたとんでもなく走る大型がストライクしてやりとり中の私。よく走る魚をいなすならリールはディスクブレーキ付きが楽チン!? いや、オートマチカリーなぶんだけ退行的な怠慢ともいえるのですが……。さて、昨今流行しているロングロッドは持ち重りのするものが多いのが悩みのタネ。バランスのとれたタックルなら終日釣りに集中することができます。

 6月中旬から7月上旬にかけて、北海道付近に停滞した前線は道内に大量の雨をもたらしました。十勝のほとんどの河川は水かさを増して濁流となり、一時は川に近づくことすらままならい状態になりました。気温の低下も著しく、道東では雪が降った地域も出ました。6月にグローブが欲しいと思ったのは開業以来初めてのことです。

 この間、1日のみですが”ガイド判断によるキャンセル”になった日が出ました。河川はどこも濁流だらけ、何より気温が低く終日けっこうな雨量でした。風が強く、ボートを引っ張って行って湖に浮かべるわけにもいかず、ゲストの嗜好や満足度を鑑みればやむを得ませんでした。

 まぁー、もとよりフライフィッシングは自然遊びだから、天候に左右されるのは仕方ない。しかしながら、何より時間を捻出して十勝にやってきたゲストにしてみれば本当に残念だっただろうなぁーと思います。

 さて、管内はもちろん日帰り圏内の十勝管外には、こんな雨でも濁りが少ない河川があります。ほとんどが源流域に人の手が加わっていない川です。

 気温が上昇するこの時期の雨や多少の増水は、多くはマスの活性を上げてくれます。そして、渇水よりも何倍も釣りやすい。おかげでゲストにも大型を数釣りしていただくことができました。増水した荒瀬に入っているマスは想像いじょうに活性が高くフライによく反応し、流れも加味されて走りはひじょうに手強く、エキサイティングな時間を過ごすことができました。

 メソッドはその日のマスの状態に合わせるのがいちばん。人間の嗜好でドライフライ・フィッシングにこだわれば、オデコをまぬがれぬ場面でした。


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2018年

6月

10日

Restore Defaults(2)

 レストアをお願いしたのは岩手の「North Country Angler」の加藤誠さん。
 今回のメインテーマは「グリップとシートフィラーをできる限り新品時の状態に戻す」です。よって、1970年代生まれのこのサオやメーカー全般に詳しい方でなければお願いできません。また、ロッド作りには技術はもちろん審美眼やセンスも欠かせません。たとえば、ひと口にシガーといってもメーカーや時代ごとにそのシェイプは異なり、雰囲気ははいろいろですから。
 そんなわけで、このメーカーのロッドにあかるく(このメーカーに限りませんが……笑)国内きってのキャリアをもつ加藤さんにお願いすることにしました。

 仕上がってきたロッドを見て少なからず驚きました。
 シェイプはまるっきり往時のそれなのに、コルクは純正のそれより上等のものが使われいて、なんだか上位グレードの新品に生まれ変わった感じ。代替用のバターナッツ材まで用意したシートフィラーの木部も、元のフィラーを使い下地を整えたうえで再度お化粧治しが施されています。純正のそれっぽく、まさに地味に完全(笑。くすんでいたニッケルシルバーの金具類も磨かれ、まさにピカピカになって帰ってきました。言わずもがな経年の退色を考りょしたスレッドの色合わせやラッピングも完璧です。なんていえばよいのでしょう、もう素敵で無敵!?
 今はコルクグリップを握るのがもったいない感じ。久しぶりに本当によいお金の使い方をしたなぁーと納得できた、印象的な出来事でした。自分へのよいプレゼントにもなった。今度は何をお願いしよっかな~。
 なお、レストアの詳細については下記のリンク先のNCAさんのウェブログをご覧ください。
 
 追伸:盛期に入りガイドは好調です。大型ドライフライの釣りをはじめ、

NCAさんの手によって新品のようにレストアされたわが1本をご覧あれ。純正のアルミケースはデカールがなくなった状態で入手したのですが、レストアから戻ると真新しい「The Sons Rods」のそれが貼られて帰ってきました。さらに、本ロッドの詳細が純正のそれよろしくしっかり刻印されてるし(笑。このあたりもNCAさんらしい、力の抜けた大人の遊び心なり。
NCAさんの手によって新品のようにレストアされたわが1本をご覧あれ。純正のアルミケースはデカールがなくなった状態で入手したのですが、レストアから戻ると真新しい「The Sons Rods」のそれが貼られて帰ってきました。さらに、本ロッドの詳細が純正のそれよろしくしっかり刻印されてるし(笑。このあたりもNCAさんらしい、力の抜けた大人の遊び心なり。

ニンフ、ウエットフライ、ストリーマーなどなど、ロケーションも山岳渓流から本流、湖まで、遊び道具でいけばシングルハンド・ロッドからツーハンド・ロッド遊びまで、ゲストお好みの釣りで日々楽しめています。


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2018年

6月

01日

Restore Defaults(1)

調子がなんとなく好きで、小ぶりな川の小ぶりなマス釣りに愛用している1本。こちらはレストアに出す前に撮っておいた1カット。グリップのコルクが痩せ細り、凸凹だらけで見るからに”お疲れ”の状態になっているの、伝わるでしょうか。使っていて気持ちよくないのです。
調子がなんとなく好きで、小ぶりな川の小ぶりなマス釣りに愛用している1本。こちらはレストアに出す前に撮っておいた1カット。グリップのコルクが痩せ細り、凸凹だらけで見るからに”お疲れ”の状態になっているの、伝わるでしょうか。使っていて気持ちよくないのです。

 気に入っているバンブーロッドをレストアすることにしました。


 1970年代前半、アメリカはニュージャージー州、ミッドランド・パークの町で作られたであろうこの1本、経年でコルクは痩せて油っ気は抜け、グリップの表面は悲しくなっちゃうくらい凸凹です。そのうえあちこち亀裂だらけで、握り心地がなんともよろしくありません。ひじょうに素直な調子のシャフトで気に入っているのですが、使っていてあんまり嬉しくない。
 オリジナルにこだわるのもいいのですが、今後も使い続けるであろうサオです。目が飛び出るほど高額なロッドでもないし、ここは思い切ってレストアすることにしました。グリップは唯一自分の身体とコミュニケーションを取ることができる場所ですから、問題は意外に切実です。

 

 しかるべき対価を支払い、優れた専門家や職人さんにお願いして仕上がりを待つのはよいものです。本ウェブサイト内の「ガイドフィッシングの準備」にも書きましたが、”優れた他人さまの味をぞんぶんに楽しむ”ことができます。

 何より、キャリアや技術、能力などをもつ人にお金を費やすのは、スマートで有益なお金の使い方だと思っています。そして、ちょっとぜいたくをしたようなよい気分です。

 どう仕上がってくるのか、今から楽しみです。

 

 


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2018年

5月

31日

Mid Spring

旬を楽しむ

 こと釣りにかんしていえば、”いつもおんなじ”は飽きちゃうほう。

 それでなくてもフライフィッシングなんだし、いつもおんなじ川、おんなじメソッド、おんなじ対象魚ばかりじゃ飽きちゃう。

 ドライフライ結んでライトライン・タックルで小ぶりなマスを相手に数釣りをするのも好きだし、ニジマスの大ものねらいも好き。ハイキングのような山岳渓流の釣りも好きだし、”風にまかせて”広大な湖を巡るボートの釣りも好き。ツーハンド・ロッド遊びも、ニンフはもちろん、ウエットフライの釣りもキャストとストリップを繰り返すストリーマーの釣りも、ぜんぶ好き。暦を追うようにして、違うフィールド、違う対象魚を相手に、まったく違う釣り方や仕掛け、道具だてで釣りをするのが好きです。

 旬を楽しまないのはもったいない! 同じ季節は1年に一度しかやってこない。10年間続けても、たったの10シーズンしか経験できない。でも……たったの10シーズンでは……その釣りのことはよくわからない。そう思ってる。それに、さまざまなラインと仕掛け、フライを用いていろんなキャスティングを楽しみたいっていうのもある。まぁー、欲張りなんですね(笑。

 フライフィッシングの中で、いつもおんなじほうがいいと昨今私が思っていることといえば……。そうだなぁー、しいてあげるならフライリールくらいのもの。いつもおんなじデザインのリール使ってるほうが、本当のところは使いやすいよなぁー。そう思ってる。

 写真はシーズン初期の”だぶはん”遊びで釣れたアメマス。まだダウンジャケットを羽織るような季節、十勝にやってきたゲストたちはみな満面の恵比寿顔で帰っていきました。来年のこの釣りを約束して、アハハハッて笑いな

秋の産卵から回復した魚体はコンディションも良好。”引き”も強くで釣り味がよく、とても楽しい。60㎝を越えるようなヤツはリールからラインを引きずり出していくのであります。
秋の産卵から回復した魚体はコンディションも良好。”引き”も強くで釣り味がよく、とても楽しい。60㎝を越えるようなヤツはリールからラインを引きずり出していくのであります。

がらガッチリ握手をしました。メデタシメデタシ……。

 ここでひらめいたインスピレーションは……盛期の川のニジマス釣りやなんかに活きてくるなぁー……ウン。たぶん、そうに違いない。

 

 そんなことを感じた2018年の春でした。


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2018年

3月

04日

AFFTA Approved Fly Line Weight

AFFTA規格のラインウエイト(シングルハンド用)

 右の表は、AFFTA(American Fly Fishing Association)規格のラインの重さです。たびたびインターネット上を捜しては確認する表なので、覚え書きもかねて、ブログの中に記載しておくことにしました。

 黄色い列に表記されているのが、左端の列にアラビア数字で記載されたラインウエイトです。右の黄色い列の単位はグラム、左の黄色い列の単位はグレインです(1グレインは約0.0648g)。規定されているのは、フライライン先端から30フィートの重さです。

 昨今は、銘柄によっては0.5番ヘビーや1.5番ヘビーなど、基準値より重く設計されたラインがあります。4番ラインの基本の重さは右の表のとおり120グレインですが、4番の0.5番ヘビーのラインは先端30フィートの重さが130グレイン(都合、約4.5番に該当する重さ)です。1.5番ヘビーのラインは150グレイン(約5.5番)になります。

 G.loomis社のウェブサイトによい一文を見つけました。

「(中略)標準指定された番手よりも重い、または軽いラインを使うことで、ロッドの曲がる位置や量を変えることができます。つまり、個人の体力や技術に応じたベストタックルを組み上げるためには、指定以外のラインを試してみる価値もあるということです」。まさしく!

 

(3月6日・追記)

 ラインを買う時に留意すべきことの一つは重さです。たとえば、4番の0.5番ヘビーのラインなら、パッケージに4.5番と表記してあればよいのですが、理由はどうあれ現状そうは表示されていません。同様に、箱の裏面などにGrain Weight(ライン先端から約9.1mの重さ)を表記しているラインも多くないような。購入時は、表記された番手よりも、カタログなどで重さを確認しておくことをおすすめいたします。とくに、柔らかいサオや、最新鋭の硬いサオをお使いの方、至近距離を中心に釣りをする方や湖などで平均的に遠い距離を釣るなどの場合は、しっかり留意なさって銘柄と番手を決めることをおすすめいたします。バランスのとれていないタックルほど使いづらいものはありません。

AFFTA規格のフライラインの重さ
表はAFFTAさんのウェブサイトより拝借しました。

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2018年

2月

22日

Convert to X and "gou"

X

直径

lb
04X 0.015" 5.0 20
03X 0.014" 4.5 18
02X 0.013" 4.0 16
01X 0.012" 3.5 14
0X 0.011" 3.0 12
1X 0.010" 2.5 10
2X 0.009" 2.0 8
3X 0.008" 1.5 6
4X 0.007" 1.0 4
5X 0.006" 0.8 3
6X 0.005" 0.6 2.5
7X 0.004" 0.4  

X規格と号数規格、イトの換算について

 フライフィッシングで使用するリーダーやティペットの単位を示す”X”は、日本の釣りに使われているイトの太さの単位”号”に慣れ親しんだ人にはひじょうにわかりづらいものです。

 F.F.専用に製品化されたXレートのティペットを買うならともかく、太いそれなど号数表示の国産のイトを購入する際は換算が面倒ですので、上に表を用意しました。Xの数値ごとの直径(単位はインチ)は規定の数値です。右の2列にある号数とその強度を示すlbについては、規定の直径を基

フライフィッシング ティペットの選び方
号数規格の国産の汎用タイプのイト(上)と、フライフッィシング専用タイプのティペット(下)。フライ用のそれは専用品らしく左の表の0Xの規格どおりの直径。上の汎用品の3号もたまたま同じ太さのようでビックリ。

準に、昨今のイトにおける近似値をそれぞれ当てはめてあります(イトの銘柄などよって右の2列の数値は異なります)。

 蛇足ですが、Xレーティング・システムにはいくつかの法則があります。イトの直径からXの数値を算出する”11の法則(たとえば定数の11から6Xの直径である0.005”の末尾 の数字である5を引くと……11−5=6……6Xになる)”をはじめ、概算の強度を出す”9の法則”、バランスのとれたリーダーおよびティペットを構成する際の目安となる”4の法則”や”3の法則”などです。地味な知識ですが現場ではとても役にたちます。 

ザ・エッセンス・オブ・フライ・キャスティング メル・クリーガー
DVD化された日本語版すら長らく見ていないので記憶はあいまいですが、たしかこのフィルムの中に現場向けのティペット選びの法則を紹介したシークエンスがあったような……。故メル・クリーガーさんといえば、サンフランシスコのダウンタウンの町並みや坂道を思い出します。これがホントのダウン・アップ! なんちゃって。ともあれ、私の記憶違いだったらゴメンナサイ。

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2018年

2月

19日

Winter Play

昨年末の初戦から今シーズン何回めだっけ? の氷上ワカサギ釣り。ゲストがやってきたので、今年は大型揃いのH沼へ。まずは何はなくとも……の魚探でチェック。が、目論んでいた最初の場所は1週前とうって変わって大ハズレで反応なし。正解は岸寄りの水深2m以下の浅場、タナはバラケ気味、仕掛けは長めがキーでした。ドキドキしちゃったよ。
昨年末の初戦から今シーズン何回めだっけ? の氷上ワカサギ釣り。ゲストがやってきたので、今年は大型揃いのH沼へ。まずは何はなくとも……の魚探でチェック。が、目論んでいた最初の場所は1週前とうって変わって大ハズレで反応なし。正解は岸寄りの水深2m以下の浅場、タナはバラケ気味、仕掛けは長めがキーでした。ドキドキしちゃったよ。
例年のH沼のサイズとはうって変わって、大半がシシャモ越え。釣り味も相応で”どや顔”のMさん。もちろん、氷上ワカサギ釣り初体験のYさんにもビシバシ釣っていただきました。いや〜よかったよかった。おっちゃんホントに安心しました。
例年のH沼のサイズとはうって変わって、大半がシシャモ越え。釣り味も相応で”どや顔”のMさん。もちろん、氷上ワカサギ釣り初体験のYさんにもビシバシ釣っていただきました。いや〜よかったよかった。おっちゃんホントに安心しました。
厳冬期、十勝川河口で見られる”ジュエリーアイス”を見に行くのもいいかも。多い日になると、透明度の高い写真のような氷が砂浜を埋め尽くすくらいの日もあるとか。それにしても外国人観光客の多さには驚き。聞こえるのは外国語ばかり。
厳冬期、十勝川河口で見られる”ジュエリーアイス”を見に行くのもいいかも。多い日になると、透明度の高い写真のような氷が砂浜を埋め尽くすくらいの日もあるとか。それにしても外国人観光客の多さには驚き。聞こえるのは外国語ばかり。

MさんとYちゃんと、翌日はカシワ林の中で林間スキーシューイング。丘を滑り降りて湧水の川をのぞくと、クレソンが繁茂した流れにニジマスが何尾も泳いでいるのが見えました。もちろん、車にサオを取りに戻りねらいうちに成功しました、というのはウソ(笑。観察しただけ。
MさんとYちゃんと、翌日はカシワ林の中で林間スキーシューイング。丘を滑り降りて湧水の川をのぞくと、クレソンが繁茂した流れにニジマスが何尾も泳いでいるのが見えました。もちろん、車にサオを取りに戻りねらいうちに成功しました、というのはウソ(笑。観察しただけ。
ゲストさまが空路はるばる持参したスキーシューがこちら。シール付で坂道も登れるヒールフリーの短い板です。薪ストーブ用の焚き付けを一気に拾い集める時など、数年前からは雪原で距離を歩く時はもっぱらこれになっちゃった。多少の新雪や長距離の移動も楽チンです。
ゲストさまが空路はるばる持参したスキーシューがこちら。シール付で坂道も登れるヒールフリーの短い板です。薪ストーブ用の焚き付けを一気に拾い集める時など、数年前からは雪原で距離を歩く時はもっぱらこれになっちゃった。多少の新雪や長距離の移動も楽チンです。

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2018年

2月

13日

Natsuzora

今年〜来年の十勝の釣り旅の計画はお早めに

 すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、2019年4月から放送予定のNHKさんの朝ドラですが、記念すべき通算100作めとなる今回、なんと十勝が舞台の作品『夏空』に決まったようです。ヒロインは女優の広瀬すずさん。すでに放送局のウェブサイトには番宣ページ(右の写真にリンクしてあります)も立ち上がり、今年の初夏から十勝での撮影が始まるようです。
 主演が若手きっての人気女優さんだけに、今年から来年にかけての十勝管内、何かと混雑が予想されます。十勝へ釣り旅をご予定の方は、航空券や宿などは早めの手配がよろしいかと。もちろん、人気のフィッシングガイドもですけれど(笑。

 なお、今年のガイドをご予約いただいているゲストさまの話では、ハイシーズンの週末にかんしてはすでに満室のホテルが複数あるとか。十勝の釣り旅の計画はお早めにどうぞ。

図版はNHKウェブサイトより。
図版はNHKウェブサイトより。

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2018年

2月

03日

Single Handed Rods for 6wt Lines

肝心なのは、小指と薬指が当たる太さ

 

 6番ライン用のシングルハンド・ロッド、使ってますか? 
 シングルハンド用の6番ラインは、AFFTAの規定によれば基準値が160グレイン(先端30フィートの重さ)。5番ラインに比べ、”かさ”や大きさ、重さがあるものをキャストできるのはもちろん、同じものならゆとりをもって投げることができます。重さに比例して表面積も大きくなりますがそこは使い方しだい。私はよく使うほうです。

 昨年は、それまで温めてきた二種類の釣り方を、初めてサービスに落とし込むことができた年でした。運用までに時間を費やしたかいあって、ゲストに新たな発見と驚きを提供することができました。使ったのは、ともに6番ライン用のシングルハンド・ロッドです。私としては、新しい鉱脈をまた二つ見つけた気分です。
 ともあれ、こんな釣りが提供できたのも、「デリバリーするものにならってラインの番手を変えればよろしい」とした、”フライフィッシングの仕組み”があってこそ、です。知れば知るほどに、フライフィッシングってすごいなぁー、と思います。

 高番手のロッドを使う際、注意をはらうべきことの一つがグリップの太さです。欧米メーカーの高番手シングルハンド・ロッドのグリップは、多くの場合において日本人の手には太く、しっかりと握ることができません。そして、握力がじゅうぶんに伝わっていないとシャフトを意思的にコントロールしづらく、疲れやすくなります。

 特に小指と薬指が当たる部分です。ここの太さを調整しておくことをおすすめします。この長さにして4センチ程度の部分の直径を少し小さくするだけで、同じシャフトでも、驚くほど使いやすくなります。ロングキャスト時には、効果てきめんです。

 調整は、旋盤などで削るのがいちばんですが、丁寧にやれば案外手作業でもうまくいきます。短冊状にカットしたサンドペーパーを削りたい部分に包むように当て、太ももの上などで前後に回転させながら削ると、少しくらいの調整なら自分でできます。

 グリップは身体の中で唯一ロッドとコミュニケーションをとることができる場所ですから、留意が欠かせません。知恵と道具は使ってこそ、です。


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2018年

1月

25日

Hardy Reels

リアリティのある道具の心地よさ

 写真の1台はハーディ英国本社で生産されたもの。されど、アメリカのS社の名義で販売されたシングルアクションのフライリールです。本家のそれは、王室御用達メーカーらしくMarquisの名で知られていますよね。中身はたぶんおんなじです。まぁー、”平民”の私には、同じものならこっちのほうが落ち着く。ワタシ”侯爵”じゃないですから。

 

 本当のことをいうと、ツーハンド・ロッドやスイッチロッド使う時、私はたいていこれ。サイズが豊富で、デザインは簡素で潔い。ブレーキはクリック式だけど、スプールのリムが外側に露出しているのでパーミングブレーキをかけやすい。すべてが必要にして充分の、大のお気に入りです。

 

 S社のリールときて最初に思い出す人物といえば、アメリカのラニー・ウォーラーさんです。1980年代、同社のVHSビデオシリーズ『Mastary learning system』の1本である『Advancred Fly Fishing For Pacific Steelhead』を見て初めてその存在を知りました。ダンガリー(シャンブレーかもしれないけど)のシャツを着、赤いバンダナ首に巻いてブラウン管に出てきたラニーさんは、もうサイコーにカッコよかった! 手元のシングルハンド・ロッドには同社のリールがくっついてたっけ。 
 人というのは、けっきょく幼少期から思春期にかけて思い焦がれたものごとから、死ぬまで離れることができないのかもしれませんね。少なくとも私はそう。若い時に感じた灼けつくような衝動には、匂いとか手触りだとか、感触としてのリアリティがある。でも、世界がインターネットでつながって以降、”LANケーブル経由で知ったものごと”にはそれがない。エモーショナルな思い入れもないし、情報ってだけ。すぐに醒めちゃう。


 これは、ほかのハーディ社のリールにしてもおんなじ。高価なヴィンテージだって、ベツニー。

 若い頃、憧れた先輩たちが使っていたものや、標準小売価格まで暗記できちゃうくらい眺めた米国メーカーのカタログ、アメリカのF.F.雑誌やビデオなどで見たもの。アメリカという国のフィルターを通して見た、そんな一時代のほんのいくつかの機種だけが、やっぱり私にとって等身大のハーディみたい。それ以外はあんまり。

 そうだ! いいアイディアがある。そんなにお金があるなら、十勝でガイド雇って釣りしたほうがいいと思うけど、いかがでしょう。アハハハハ。

 ベトナム戦争以前に青春期があった日本人は、イギリスをはじめヨーロッパの文化に直接的な影響を受けている人が多い。フライフィッシングのような舶来の遊びだっておんなじ。そんな先輩たちは「アメリカにはモーツアルトもゲーテもいないじゃん」なんて口々に言う。でも、私はそれ以降の世代。自分らしい道具が、使っていていちばん心地いいのです。

 

 さて、最近更新を続けているウェブログですが、近頃は道具や暮らしのことばっかりですね。でも、本当のことをいえば、モノのことを披露するのは嫌い。”みったくない(北海道弁でみっともないの意)”。

 日本のフィッシングガイドというビジネスの特性と、インターネット媒体の特性。その掛け合わせの難しさを実感しています。何かいい方法はないのかなぁー。

このシリーズ、佳日米国の専門誌などでは、同社のラインやロッドと同じくよく見かけたリール。以下は、インターネット時代以降に知ったことですが、H.L.Leonard社も、当時の自社カタログに、レイズドピラーの自社リール群やマルチプライヤーのボグダンに加え、このリールを紹介していたみたい。知りませんでした。へぇー。
このシリーズ、佳日米国の専門誌などでは、同社のラインやロッドと同じくよく見かけたリール。以下は、インターネット時代以降に知ったことですが、H.L.Leonard社も、当時の自社カタログに、レイズドピラーの自社リール群やマルチプライヤーのボグダンに加え、このリールを紹介していたみたい。知りませんでした。へぇー。

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2018年

1月

20日

Nothing but Net

何はなくとも……ガイドの必需品

 ランディングネットは仕事道具の一つ。ネットがないと、クライアントが掛けた魚をすくえない。特に、足腰が弱い人や年配のゲストは、わかっていてもパッとは動けないもの。だから、私のそれはガイドやるための商売道具です。
 昔から、小型のサイズから折りたたみ式の大型のものまで一貫してBrodin社のネットを使っています。魚をすくいやすくデザインは簡素。頑丈で壊れない。まさに実用一点張りの”玉網”です。
 これまで購入した5本のうち2本は、悲しいことにいずれも自分の不注意でなくちゃった。最初の1本は、たしか、Livingstonの町にある『Dan Bailey』あたりから”メールオーダー”で購った。懐かしいなぁー。
 佳日の、モンタナ州ボーズマンの町はずれ。東西を結ぶハイウェイ90号線。道路沿いにある茫々とした荒れ地に、同社の大きながサインが立ってたっけ。午後になると、傾いてきた太陽の光を盛大に受けて、デッカイ青空を背にパキーンと光ってた。あぁー、モンタナはやっぱりマス釣りのメッカなんだ。しみじみそう思った。
 ”ググった”ところ、同社は1970年代の終わりにアイダホで創業している。しばらく前までは、Christer Brodin(クリスター・ブローディン)と呼んでました。

大型のフォールディングネットと大型の標準的なネット。左はハンドルが伸縮式、ネット部も英国ハーディ社のそれのように折り畳むことができる。ゲストにも「ねぇー、これ売ってよー」とたびたび言われる。大きさのわりに軽く優れた商品ですが、すでにディスコンみたい。残念。
大型のフォールディングネットと大型の標準的なネット。左はハンドルが伸縮式、ネット部も英国ハーディ社のそれのように折り畳むことができる。ゲストにも「ねぇー、これ売ってよー」とたびたび言われる。大きさのわりに軽く優れた商品ですが、すでにディスコンみたい。残念。
80年代初頭の『Flyfisherman』誌の広告より。当時は、バンブーロッドなどのシートフィラーに見られるような、アイボリーを使ったはめ込み細工によるスクリムショーもあった。お金持ちのアメリカ人は、スクリムショーが本当に大好き。まぁー、豪華な装飾は実用品には必要ありませんが。
80年代初頭の『Flyfisherman』誌の広告より。当時は、バンブーロッドなどのシートフィラーに見られるような、アイボリーを使ったはめ込み細工によるスクリムショーもあった。お金持ちのアメリカ人は、スクリムショーが本当に大好き。まぁー、豪華な装飾は実用品には必要ありませんが。

 昨今、Brodin社のネットバッグはGhost netsに進化しました。同社のそれは、安価な輸入品に頼ることなく、”environmentally friendly material(環境にやさしい素材)and could be produced in the USA”なのだとか。
 水中で魚を脅かさないというメーカーのセールスピッチはどうあれ、このバッグ、大型のマスをすくった際も魚の重さを面で受けとめるので、ヒレが裂けてし まうような事故を抑えることに貢献している。

 魚をどうせリリースするのなら、バッグはそれ用のほうがいいに決まってる。みなさん、リリース用のネットバッグを使いましょうよ。誰だって、ヒレが割れたマスが釣れたら、 悲しいでしょ? これ、ものすごく大事。どんなことであれ、”天に向かって吐いた唾はいつか自分に落ちてくる”。

 でもまぁー、同社のこの半透明のネットバッグ、”かさ”と重さは及第点。そして、見ためや質感はどうしても好きにはなれない。でも、使いやすさと強度、耐久性など、目的をぜーんぶひっくるめて勘案すると、私の場合どうしてもBrodinになっちゃう。

 日本のフライアングラーに人気がある工芸品のような”華奢な”ネットは仕事では使えない。私がランディングネットを持ち歩く理由は、ライフタイム・レコード級の”大もの”をすくうことにある。ゲストの”ななまる”すくったらネットが折れて魚が逃げちゃった、じゃあねぇー。どんなにカッコいい高級品使ってたって、ゲストに嫌われて貧乏こじらせちゃうのです。
 そういえば、しばらく前に、メキシコの南にある中米のコスタ・リカに同社のプラントが移ったなんて話も聞きました。もしそうであれ、現在もネットの品質にさほど変化なしというのが、年間あたり平均250日使ってみての感想です。ここに報告しておきましょう。

昔は、ロゴ入りのベースボール・キャップもあった。日に焼けて色褪せちゃった今も、使った後は丁寧に手洗いしています。たまーに使う愛用品。ブランドロゴの下に刺繍されているコピーは、「Nothing but Net」(何はなくともネット)。そうだよなぁー。
昔は、ロゴ入りのベースボール・キャップもあった。日に焼けて色褪せちゃった今も、使った後は丁寧に手洗いしています。たまーに使う愛用品。ブランドロゴの下に刺繍されているコピーは、「Nothing but Net」(何はなくともネット)。そうだよなぁー。

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2018年

1月

18日

Building a Storage shed (2)

物置作りは自分でもできそうだったツーバイフォー工法にしました。作業のほとんどは、できあがった床の上で行ないます。フレーミングしてOSB合板張って、壁を立ち上げて固定し、釘で締結していきます。高所作業に欠かせない足場(写真下段左から2番め)は隣のフミ兄に借りました。写真下段右端は、コンプレッサーの圧縮空気で釘を打つためのエアネイラー。Jさん、ありがとう!
物置作りは自分でもできそうだったツーバイフォー工法にしました。作業のほとんどは、できあがった床の上で行ないます。フレーミングしてOSB合板張って、壁を立ち上げて固定し、釘で締結していきます。高所作業に欠かせない足場(写真下段左から2番め)は隣のフミ兄に借りました。写真下段右端は、コンプレッサーの圧縮空気で釘を打つためのエアネイラー。Jさん、ありがとう!

見えない所得

 ここで、木造建築のコストについて少々。

 『350万円で自分の家をつくる』(畠山サトル著・株式会社エクスナリッジ刊)によれ ば、工務店などに住まいの建築を依頼した場合、木材・建材、屋根、電気、設備類などのいわゆる材料費は、驚くなかれ総額の30%程度であることが相場のよ うです。残りの約3割は人件費、その残りが設計・管理料などのいわゆる諸経費だとか。つまり、勘定項目の名称はどうあれ、総額の半分以上が人件費ってこと。これってけっこう興味ぶかい。

 建てるのは住居ではないので条件は異なりますが、仮に100万円相当の物置を外注するとしましょう。先の著作にあった割合からいくと、材料費は総額の約3 分の1である30万円ちょっと。あとの内訳は、職人さんの人件費と、設計料や各種手数料などを含む諸経費が、それぞれ30万円少々ずつ。プロの大工さん の日当を1日3万円として2名がかりで施工したとすれば、10日以内に完成しなければなりません。
 一方で、自分で建てる場合は、物置程度なら設計や施工はもちろん、すべて自身でやるケースがほとんどです。同著にならって考えれば、必要なお金は限りなく材料費だけに。素人ゆえ日当を8,000円で計算すれば、都合75日かけて完成すればよいことになります。そして、この場合、2ヶ月半で60万円を稼いだのとの同じことになる。もし工期を短くできれば、その分1日あたりの日当が上がり、短期間により多く”稼いだこと”になるというわけです。なるほどねぇー。そりゃそうだ。

 セルフビルドの場合、実際にお金は入ってきませんが、自分が動いた分の人件費は”見えない所得”になります。でも、所得といえどこの人件費には、 消費税 がかからない。そして、たとえ工期が伸びて人件費の額がどんなに大きくなっても、借り入れもローンもないし利子もつかないのであります。自分のためにやってんだからあたりまえだけど、これってすごい。笑える。要は考え方なのですね。
 まぁー、私の場合できあがった肝心の物置は習作の”おんぼろ”だし、おまけとして、今後も使うことができる工具一式が残っただけ。でも、何より得がたい知恵と筋肉がついた。それに、ちょっぴり誇らしく、少しだけ自信がついたような、晴れやかな気分になりました。

 プロの大工さんとは、お金もらって他人様のためにクリエイティブやって、知恵を蓄えながら自分の身体を健康にしている連中のこと。
 十勝でプロの大工やってるJさんは、私にとって、気のおけない釣り友だちであり、大工仕事の先生のような人。筋骨隆々で逞しく、明るく大きな声でよく笑うナイスガイです。

 昨年彼は、薪ストーブがついたデッカイ新居をついに自分で建てた。プロの大工さんだからあたりまえかもしれないけど……なんていうんだろう……自分で住まいを作ることができるなんて! エコノミカルだしカッコいいし、夢があるなぁーと思います。


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2018年

1月

17日

Wading Staff

アングラーのための転ばぬ先の杖

 なくてもたいがい平気だけど、ごくまれに、唐突に切実に必要になるもの。そんな道具の一つが、ウエーディングスタッフです。

 足腰が弱くなってきたシニアアングラーのよき相棒であり、”だぶはん”遊びやる時の、まさに転ばぬ先の杖。ずいぶん長い間、もっていることすら忘れていたのですが、昨年久しぶりに本流でヒヤッとしたことがあって、納戸の奥から引っぱり出してきました。

 私のは、ニューヨーク州にあるTHE FOLSTAF COMPANY社のそれ、Folstaf。コルクのグリップは水に浮くし、シャフトはアルミ製で重さはそこそこ。強度は必要充分で、流れに押されて曲がることもない。畳んだ時の全長が短いため、ベルトホルスターへの収納時は本体がブラつくこともなく、歩く際も脚に接触せず快適。過去にはKUDO賞も受賞している。購うのは生涯でこれ1本だけになりそうな、釣り人のための杖です。

 フライフィッシングを始めた1980年代の、郷里熊本の『OUTHOUSE SUSUKI』さんの薄暗い店内を思い出す。入って右側に伸びるアパレル棚の、さらに奥の窓際にあった売れ残りの『FlyFisherman』や『Fly Rod & Reel』。そんな、当時はまだ珍しかったアメリカのフライ雑誌めくっても、OrvisやThomas & Thomasなど名だたるアメリカンメーカーのカタログ見ても、みーんなおんなじ。巻末の広告や、アクセサリーのページにのってる折りたたみ式のウエーディングスタッフといえば、決まってFolstafだった。

 使う前には、ジョイントのオス部分にパラフィンかロウソクを塗っておくこと。それだけで接続部の固着をかなり防ぐことができます。また、長期しまっておく時は、ショックコードを乾燥させてから”継いだ”状態で保管する。畳んだ状態で長い間放っておくと、コードに伸縮性がなくなってよろしくないのは、テントのそれと同じ。以上が、正調にして、同品を長く快適に使う秘訣であります。


 2018年の現在もメーカーは健在。現行品の写真は上のリンク先からご覧あれ。ファミリービジネスらしく、今もMade in U.S.A.みたいで素晴らしい。転ばぬ前に、いかが?

1970年代後期の『FlyFisherman』誌より。この後、ベルトホルスターは現在のマチのついた形に変わったみたい。創業して生産を始めたのは1970年代半ば、プロトタイプ誕生のきっかけはモンタナへの釣り旅だった。ニューヨーク州の真ん中あたり、シャーロットヴィル生まれ。
1970年代後期の『FlyFisherman』誌より。この後、ベルトホルスターは現在のマチのついた形に変わったみたい。創業して生産を始めたのは1970年代半ば、プロトタイプ誕生のきっかけはモンタナへの釣り旅だった。ニューヨーク州の真ん中あたり、シャーロットヴィル生まれ。

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2018年

1月

16日

Building a Storage shed (1)

春に施工を始めた。でも、4月、5月も思いのほか作業は進まず、6月と7月は1日も手がつけられなかった。電気マルノコとスライドマルノコ、エアツールを使うためのコンプレッサーなどはお隣のフミ兄に借りた。新たに購入した道具といえば、14vの充電式インパクトドライバと、フレーミング用のハンマーや専用のコンベックス、大型の水準器など手道具一式だけ。
春に施工を始めた。でも、4月、5月も思いのほか作業は進まず、6月と7月は1日も手がつけられなかった。電気マルノコとスライドマルノコ、エアツールを使うためのコンプレッサーなどはお隣のフミ兄に借りた。新たに購入した道具といえば、14vの充電式インパクトドライバと、フレーミング用のハンマーや専用のコンベックス、大型の水準器など手道具一式だけ。

日曜大工の楽しみ

 いちばん好きなことはフライフィッシング、そして、仕事はフィッシングガイド。そんなふうだから、今のところ純粋に遊びといえる趣味はありませんが、昨年の休みの日は、釣り場の調査やタイイングなど準備の時間を除けば、そのほとんどを日曜大工に費やしました。必要に迫られて始めた大工仕事ですが、今や充足感のあるいい気晴らしになっています。

 なんてったって身体にいい。長い材木を運ぶ。合板を重ねて運ぶ。高い所に登る。高い所から降りる。重いものを下から上に上げる。それを保持する。すべては健康な身体があってこそ、ですから。
 4月下旬、木造の物置作りを始めました。秋には屋根を葺き終えのですが、時間が足りず外壁を仕上げるのを後にまわしにしたので、真冬の今も壁は透湿防水シート姿です。現在、屋根には60㎝ちかい雪が積もっていて、大雪が降るたびに落ちるんじゃないかとドキドキしています。

 

 始めるにあたって、木造建築の専門書を数冊読みました。図面を書き(方眼罫の入ったノートに手書きです)、木拾いをして必要な材を発注し、最低限必要な道具を揃えて一人で施工しました。

 施工前日の夜は、翌日の作業のための図面を引きます。カットする材の寸法を決め、加工する本数を出し、作業の手順を考えてメモしておきます。施工の日は、午前中に材をカットし、午後を建方にあてました。

 夏は、ガイド時の数倍も盛大に汗をかき(Tシャツを3枚着替えた日もあります)、毎日たくさん水を飲みました。そのせいか、不思議と身体が軽くなった(体重が減ったわけではありません)。薪づくりもそうですが、身体

を使う仕事をやると、作業に必要な部分の筋肉が鍛えられる。大枚はたいてスポーツジム行ってエクササイズやるのもいい。でも、暮らしのために時間費やしながらクリエイティブな肉体労働やったほうが、万事ずっとエコノミカルだなぁー。作業をしながらそう思いました。

 夕方日が暮れる頃には作業を終え、材と現場に雨仕舞いをして道具を片付けます。何事であれ、思い描いた何かが、時間を重ねるにつれできあがっていくさまを眺める時間はいいものです。じんわりとした喜びが湧きあがってきます。

 これって、駆け出しの編集者の頃、生まれて初めて青焼き(印刷直前のフィルムから 複写した校正用のもの)を見た時の嬉しさに似てると思った。

 企画をたてて取材をし、原稿を書いて校閲を行なう。写真を選び、図版を イラストレーターに依頼し、自分が構成を考えたページ。それが、エディトリアルデザイナーの手によって洗練され、カタチになって出てきた時の喜び。大工仕事って、雑誌とか広告とか、いわばクリエイティブ仕事と同じなんだと思いました。

 

 大工仕事についてはまったくの素人です。でも、門外漢のアマチュアだからこそ、こんなポストを気楽に書ける。無知の無知なんですね。だから、すべての情報に精度はありませんが悪しからず。専門誌の編集者やってたせいか、フライフィッシングについてはこうは書けない。固有名詞がまちがっていないかとか、よくも悪くも、万事にもっと慎重なのであります。


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2018年

1月

10日

Two-Handed Rods

不思議と手が伸びる”だぶはん”

 昨年はスイッチロッドやツーハンド・ロッドの釣りを目当てに、ガイドをご指名いただく機会がより増えた1年でした。ゲストの釣果にも恵まれ、じつにエキサイティングな、素晴らしい時間を経験することができました。ガイド時に初めて”だぶはん”を握ったというゲストにも、相応のニジマスを1日で数尾釣っていただくことができた日もあり、とても印象に残りました。

 現在私が川で使っているツーハンド・ロッドは写真の3本です。それぞれ、5/6番、7/8番、8/9番。スイッチロッドや湖などで使うものを除けば、この3本だけで春から初冬までの本流の釣りをカバーしています。3本ともに、長い時間魚と向き合ってきたであろう、北米のフィッシングガイドさんがかかわって生まれたロッド群です。

 発売されてから時間も経過していますし、品質を考慮すると、とりたてて優れているロッドとはいえません。感度などは鈍重な部類に入ると思います。一方でその守備範囲は広く、シャフトはいずれも癖のない中庸(ちゅうよう)といえる調子です。また、どれも魚を掛けてランディングにいたるまでの動作においてひじょうに優秀です。アメリカンメーカーのものですが、新品時リールシートに「Made in Korea」のデカールがついていました。ツーハンド・ロッドとしては、価格は廉価帯に入ると思います。

 不満もあります。商品の質にバラつきがあり、フェルール部分の密着度が及第点のものもあれば、シャフトのフェルール部分に埋め込まれたプラグの接着が悪いのか、知らないうちに抜け落ちていたことが数回あります(同じモデルを複数使ってみての結果です)。グリップのコルクの質は総じて低く、比較的速く凸凹になります。趣味・嗜好の部分をいえば、主張が強いお化粧も好きになれません。でも、”痘痕(あばた)もえくぼ”です。釣りザオは使いやすさこそ優先だと割り切って、諦めています。


 グリップ全長は長めに設計されています。コンパクトに握るのはもちろん、肩幅より広げて持つこともできます。この点は、キャスティング時の自由度に貢献していて都合がいい。グリップの径は細く、しっかり握ることができます。べつだん軽いわけでもありませんが、1日じゅう投げ続けてもあまり疲れません。不思議なロッドです。

使う頻度がいちばん高い1本は、コルクの品質ゆえグリップのあちこちががひどく凸凹になっていた。今年に入ってついにグリップの補修をした。コルクの”ス”をパテで埋め、旋盤を回してギャップを整えた。これで今シーズンも準備万端。ロッドの下のペーパーバックは、Trey Combsさんによる大著『STEELHEAD Fly Fishing』。著者が本ロッド群をデザインしたガイドと出会った頃のエピソード、フライパターンなど、若かった頃のその人を少しだけうかがい知るができる。写真はガイドその人。若いなぁー。
使う頻度がいちばん高い1本は、コルクの品質ゆえグリップのあちこちががひどく凸凹になっていた。今年に入ってついにグリップの補修をした。コルクの”ス”をパテで埋め、旋盤を回してギャップを整えた。これで今シーズンも準備万端。ロッドの下のペーパーバックは、Trey Combsさんによる大著『STEELHEAD Fly Fishing』。著者が本ロッド群をデザインしたガイドと出会った頃のエピソード、フライパターンなど、若かった頃のその人を少しだけうかがい知るができる。写真はガイドその人。若いなぁー。

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2018年

1月

06日

Woodburning Stove

万民にフェアな鋳物の箱

 わが家の冬の暖房機器は薪ストーブです。

 例年11月くらいから焚き始めて翌年のゴールデンウィークくらいまで、1年のうちの約半年間を薪を燃やして暖をとっています。

 最初に断っておくと、設備あるいは耐久消費財として鑑みれば、薪ストーブはコストが低いわけでも、簡単でも便利でもありません。なんてったってスイッチ一つで暖かくなるわけでもなく、燃料の薪は自動的に供給されるわけでもない。自分の力で運んでこなきゃならない。それに、経験を積んだ上級者は扱いが上手。少ない量の薪でより暖かく保つことができる。

 いってみれば、自分の筋力と費やした時間に訴えてこそ相応の恵みを受けられるという、おしなべて不便でフェアな道具です(もちろん、お金さえ出せばどんな高級薪ストーブでもお金払えば業者が”設置”してくれますが)。そう、薪ストーブは、世の金満家にとってはじつに不都合な鋳物の箱。これって、最新型で最高級のフライロッド買ったからといって、デッカイ魚が釣れるようにならないフライフィッシングと同じですね。

 でも、何事も簡便になれば万人が幸せになれるかといえば……そうでもないらしい。昨今、美味しいお米を食べたいわが国のご婦人の間では、炊飯用に昔ながらの土鍋が売れているらしい。人というのは摩訶不思議な生き物ですね。

 

 ストーブの話でした。わが家で薪として使っているのは、軽くて柔らかいハンノキ、各種のヤナギ、中くらいの火力を生じるシラカンバやエゾヤマザクラ、ニレ、高カロリーを生じる堅木のカシワなど。現在は、敷地に自生しているそれらを間引きながら、薪小屋で乾燥させて薪にしています。適切に間伐すれば木立の環境もよくなって光合成が促進され、残された木もよく太る。

 ご近所の村の男衆はウチの屋根に煙突がついているのを知っています。そのせいか「ウタノさーん。家の裏のカシワと青木(常緑のマツ類のこと)伐ったんだー。薪に使うかーい?」と、不要な木を譲り受けることもたびたび。そんな理由もあって、手元にある薪用の樹種も多様です。

 焚き付け時、いちばん最初は燃え尽きやすいハンノキやマツの仲間などを燃やします。そうして、たくさんの熾(おき)ができたらカロリーのあるカシワやミズナラの薪を入れる。ナラが一級品なのはわかるけど、間引きした木を捨てるのはもったいない。樹種に神経質にならず、燃やし方のほうを工夫して日々の暖をとっています。

 まぁー、私の薪作りは、樹々の手入れと庭いじり、ついでに日頃使っていない筋肉の”筋トレ”も兼ねてます。この種の仕事は村の森林組合などに頼めばプロがやってくれる。でも、薪はインフラを運転させる源であり、そのコストは冬に暖をとるために必要な固定費みたいなもの。支出を減らして燃料を得、身体使って健康でいられるなら、 結局それがいちばんエコノミカルです。いっぱい稼いでも、ストレスと運動不足で病気になったらねぇー。元の木阿弥ってもの。

 初めはお金払ってプロに頼んで仕事を見取り、教わる。次は自分で経験して筋肉に訴えながら知恵を蓄える。そのほうが、おしなべてスマートってものではなかろうかと思います。フライキャスティングと同じですね。

 

 焚き付け用の小枝は、わが家ではカラマツの枯れ枝が定番。小ぶりの松かさ(まつぼっくり)が盛大に付いた枝は見た目にも楽しく、着火がよくて瞬発的な火力がある。ガラス越しに見える炎がとっても綺麗だし、パチパチはぜる音も耳に心地いい。キャンプの焚き火にもぴったりです。

 このカラマツ、よく晴れて強い風が吹いた日の後が枯れ枝集めの”時合”。強風の後は、枯れ枝だけがそこらじゅうにたくさん落ちているから、短時間に量を集めることができます。釣りと同じで、人間の都合や嗜好ではなく、天候や状況に合わせたほうがけっきょくムダがなく、無理もありません。虫に興味がないマスにドライフライやニンフ投げても、ねぇー。推して知るべし。

 スノーシューをはいてソリを引き、カラマツ林を歩きます。風で落ちちゃうような枯れ枝は生のそれとは違い、細いものはポキポキ手折ることができます。太いものでも両手と太腿を使えば簡単に折れる。枝を集めた後は農業用コンテナに入れ、その上に乗って足で踏みつけ、体重をかけて”かさ”を小さくしておきます。大型のソリにいっぱい集めて、ちょうどコンテナ1杯分。ラッセルしながら拾い集め、これを2杯分もやると、氷点下でもたいてい汗が出てきます。

 北海道では、一般的に敬遠されがちなトドマツなどマツの仲間をストーブの主燃料に使う人もいる。乾燥させたこれらの木は、弱火での運転や火もちの面で難があるものの、樹種の特性で油分があって火力が強い。特に空気をたくさん入れてストーブの温度を上げる際には良好だそうです。

 

 十勝の厳寒期といえば氷上ワカサギ釣りです。昨年の暮れには、パキーンと晴れた真っ青な空の下、今シーズン初のテスト釣行に行ってきたばかり。見事なまでに大型揃いでした。

 そうだ。釣ってきた新鮮なワカサギと薪ストーブの相性が抜群であることを報告しておきましょう。一夜干しをあぶって酒の肴にするのもいいし、クッキンググリドルの上でアヒージョにしてもいい。そこに熱くなった鉄板があればねぇー。朝ご飯の明太子くらい手軽に焼けちゃう。そう、熱を再利用できる点も、冬の薪ストーブ暮らしの大きな副次的恩恵であります。

 そういえば、朝鮮半島の家屋にある伝統的なオンドルは、かまどで煮炊きした際に出る煙の熱を再利用した床暖房設備です。15年くらい前、晩秋の韓国へ釣りに行った時、民宿の部屋にオンドルがあった。頭寒足熱にかなっていて下半身はいつもじんわりと暖かく、夜も快適そのものでした。わが国の設備屋さんも、職人さんに弟子入りしてオンドルやればいいのに。そう思います。

わが家の薪小屋、晩秋の姿。このほか、6立米ほどの薪をパレットの上に積み、シートを掛けて野積みにしています。
わが家の薪小屋、晩秋の姿。このほか、6立米ほどの薪をパレットの上に積み、シートを掛けて野積みにしています。
焚き付けに使うカラマツの枯れ枝。油分を含んでいて火力が強い。燃やすと綺麗な炎が上がる。わが家では、トネリコを編んだバスケットに入れて使っています。ストーブ周りが散らかることもなくとってもユースフル。
焚き付けに使うカラマツの枯れ枝。油分を含んでいて火力が強い。燃やすと綺麗な炎が上がる。わが家では、トネリコを編んだバスケットに入れて使っています。ストーブ周りが散らかることもなくとってもユースフル。
秋は黄金色になって紅葉を楽しませてくれるカラマツ林(右)は焚き付けの宝庫。風が吹いた日の後は、スノーシューをはいてせっせと拾い集めます。乾燥していて軽く、よく燃えるばかりか、なんてったってタダ。カラマツは、日本に自生するマツ類では唯一落葉する種。
秋は黄金色になって紅葉を楽しませてくれるカラマツ林(右)は焚き付けの宝庫。風が吹いた日の後は、スノーシューをはいてせっせと拾い集めます。乾燥していて軽く、よく燃えるばかりか、なんてったってタダ。カラマツは、日本に自生するマツ類では唯一落葉する種。
わが家の1台はVERMONT CASTINGS社の中型機種。触媒式ゆえか扱いは簡便ではありませんが、煙に含まれるクレオソートなどを浄化してくれるエコロジカルなストーブだそうです。あ、蛇足ですが、『〜だそうだ」とか「〜のようだ」「〜みたいだ」と書くのは無責任で好きじゃありませんが、私は薪ストーブの専門家じゃない。素人ゆえ、厚顔無知。だからこんなポストを気楽に書けるというわけ。プロの場合、こうはいかない。これは生活者からの報告なのであります。情報に精度がなくても悪しからず。
わが家の1台はVERMONT CASTINGS社の中型機種。触媒式ゆえか扱いは簡便ではありませんが、煙に含まれるクレオソートなどを浄化してくれるエコロジカルなストーブだそうです。あ、蛇足ですが、『〜だそうだ」とか「〜のようだ」「〜みたいだ」と書くのは無責任で好きじゃありませんが、私は薪ストーブの専門家じゃない。素人ゆえ、厚顔無知。だからこんなポストを気楽に書けるというわけ。プロの場合、こうはいかない。これは生活者からの報告なのであります。情報に精度がなくても悪しからず。
薪ストーブに必要なアクセサリーの筆頭といえばサーモメーター。スマートな運転をするためにはこのツールが欠かせない。わが家の機種の場合、ストーブ内の温度が安定して薪全体に火がまわりメーターが230℃を越えたら、ダンパーを閉めて水平燃焼モードに切り換える。以降の運転は触媒が一つの要だからキャタリティックブロック周りは、シーズン中も定期的な清掃が欠かせない。メンテナンスが万事面倒な人には向いていない薪ストーブなのかも。わが家のそれはフライロッド・メーカーのOrivi社と同じVermont州生まれ。
薪ストーブに必要なアクセサリーの筆頭といえばサーモメーター。スマートな運転をするためにはこのツールが欠かせない。わが家の機種の場合、ストーブ内の温度が安定して薪全体に火がまわりメーターが230℃を越えたら、ダンパーを閉めて水平燃焼モードに切り換える。以降の運転は触媒が一つの要だからキャタリティックブロック周りは、シーズン中も定期的な清掃が欠かせない。メンテナンスが万事面倒な人には向いていない薪ストーブなのかも。わが家のそれはフライロッド・メーカーのOrivi社と同じVermont州生まれ。
アニュアルメンテナンス時は、ストーブが冷めて灰が燃え尽きたのを確認してから内部をここまで分解します。事前に、周りが灰や煤で汚れてもよい準備を。分解には、ボックスレンチやプライヤー、掃除機などの道具が必要。各部を点検し、灰を清掃します。元どおりに戻したら、作業はおしまい。図版はユーザーマニュアル(英語版)より。
アニュアルメンテナンス時は、ストーブが冷めて灰が燃え尽きたのを確認してから内部をここまで分解します。事前に、周りが灰や煤で汚れてもよい準備を。分解には、ボックスレンチやプライヤー、掃除機などの道具が必要。各部を点検し、灰を清掃します。元どおりに戻したら、作業はおしまい。図版はユーザーマニュアル(英語版)より。
ご存じ、焚き付け作りの大定番ツール、ニュージーランド生まれのKINDLING CRACKER、通称”キンクラ”。これは、以前ポロシリでガイドやってたムツオ君からのプレゼント。適当な丸太にコーチスクリューで留めて日々愛用中です。
ご存じ、焚き付け作りの大定番ツール、ニュージーランド生まれのKINDLING CRACKER、通称”キンクラ”。これは、以前ポロシリでガイドやってたムツオ君からのプレゼント。適当な丸太にコーチスクリューで留めて日々愛用中です。
キンクラを使えば、あっという間に農業用コンテナ1杯分の焚き付けを作ることができます。単調な作業を生理的に楽しくさせてくれる稀なツールです。キャンプにもいいかも。
キンクラを使えば、あっという間に農業用コンテナ1杯分の焚き付けを作ることができます。単調な作業を生理的に楽しくさせてくれる稀なツールです。キャンプにもいいかも。
ストーブ運転真っ最中の冬のある日。内部のアッパーファイヤーバックを外し、キャタリティックブロックを取り出して清掃しました。変形や破損が多いと聞く消耗品ですが、現時点では特に異常もないようでひと安心。
ストーブ運転真っ最中の冬のある日。内部のアッパーファイヤーバックを外し、キャタリティックブロックを取り出して清掃しました。変形や破損が多いと聞く消耗品ですが、現時点では特に異常もないようでひと安心。
ほかの暖房機器と併用するのなら、お隣のフミ兄んちのストーブのように、シンプルな機構のクリーンバーン方式のストーブがいいのかもしれない。なんてったって楽チン。綺麗な炎が揺れるのを眺めていたいのなら、絶対的にこっちだ。触媒式のわが家のストーブは、1日の大半を薪ストーブのある部屋で過ごしているような、長時間薪を焚き続ける人向けなのかも。メーカー公表値では、約25%の薪を節約できるとか。いずれのストーブにしても、ひと冬に使う薪の量は相当なものだから、燃費はシリアスな問題です。
ほかの暖房機器と併用するのなら、お隣のフミ兄んちのストーブのように、シンプルな機構のクリーンバーン方式のストーブがいいのかもしれない。なんてったって楽チン。綺麗な炎が揺れるのを眺めていたいのなら、絶対的にこっちだ。触媒式のわが家のストーブは、1日の大半を薪ストーブのある部屋で過ごしているような、長時間薪を焚き続ける人向けなのかも。メーカー公表値では、約25%の薪を節約できるとか。いずれのストーブにしても、ひと冬に使う薪の量は相当なものだから、燃費はシリアスな問題です。
タラの代わりにワカサギを入れ、アヒージョに。伝統的にカスエラで煮るのもいいし、鋳物のスキレットでグツグツやるのもいい。香ばしいニンニクの香りが食欲をそそります。
タラの代わりにワカサギを入れ、アヒージョに。伝統的にカスエラで煮るのもいいし、鋳物のスキレットでグツグツやるのもいい。香ばしいニンニクの香りが食欲をそそります。

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2017年

7月

19日

『Fly Fishing Trips 』By Victer R. Johnson, Jr. (EP Press)

同著作にポロシリが紹介されました。

 久しぶりのブログですが、ご報告を1件。ポロシリが米国の本に紹介されました。

 

 本の題名は『Fly Fishing Trips 』、副題は『Short Duration & Car Accessible』(EP Press刊)。200のロケーションを収録、アメリカ合衆国27州のガイドサービスと、ほか世界33カ国のガイドを編み集めて紹介した本です。著者は、ビクター・ジョンソンさん。

 

 ビクターさんといえば……そう、昔買ったあの1冊の著者。編集者時代、取材前の資料として、時には原稿書きの参考文献として辞書片手に読んだ本『Fiberglass Fly Rods』のお方。

 今や空前のグラスロッド・ブームのようですが、この本を入手したのは2000年頃だったと記憶しています。当時は、少し前に世に出たデニス・フランキーさんによる『グラステック』くらいしか、グラスを主体としたスモール・ロッドメーカーが見当たらなかった時代。昨今のグラスロッド業界ときたら……まぁー、いっぱいあることといったら! 驚きです。

 今回同著を書棚から引っぱりだしてみたところ、いろんなページには付箋が付いたまんま、裏表紙には油性マーカーで自分の名前がカタカナで大きく書いてありました(会社所有の資料本と区別するためなのですね、これ)。懐かしいなぁー。

 

 さて、本作『Fly Fishing Trips』で紹介された日本のガイドサービスはたったの7社。本州エリアは東京や神奈川などのシーバス釣りのガイドが中心です。北海道で掲載されたのは弊社含む3社のみ。なんとも身に余る幸せというか光栄というか。まことにありがたいお話です。

 ビクターさんの著作のファンの方はもちろん、フライロッド持って世界各地へ釣り旅に行きたい方、ぜひ本書をお手にとってご覧あれ。読んでたら、私まで久しぶりにどこか遠くの国まで釣りに行きたくなっちゃいました。

 版元のEP Pressことエンジニアリング・パスウェイズさんのウェブサイトはこちら。

 みんな大好きグラスの本や、フェンウィック社の歴史本、アメリカン・フライラインの本など勉強になる著作が目白押し。ぜひリンク先でご覧あれ。

 

Thanks a bunch, Big broher!

編集者時代に資料として使っていた著作がこちら『Fiber Glass Fly Rods』。勉強好きな方めがけて編まれた貴重な資料本です。しかしながら、20年ちかく前に刊行しているあたりはさすが。今のブームを予測してなのか、まさに慧眼そのものです。
編集者時代に資料として使っていた著作がこちら『Fiber Glass Fly Rods』。勉強好きな方めがけて編まれた貴重な資料本です。しかしながら、20年ちかく前に刊行しているあたりはさすが。今のブームを予測してなのか、まさに慧眼そのものです。
コンテンツはご覧のとおり。東西のビッグメーカーはもちろん、当時のアバクロ・ブランドのロッド群をはじめ、カミングスやクラウディオのページまで編み込まれている貴重な一冊です。グラス好きの方はご一読あれ。
コンテンツはご覧のとおり。東西のビッグメーカーはもちろん、当時のアバクロ・ブランドのロッド群をはじめ、カミングスやクラウディオのページまで編み込まれている貴重な一冊です。グラス好きの方はご一読あれ。
今回の本のダミー版がこちら。Victorさんから直接送られてきました。ありがとうございました。
今回の本のダミー版がこちら。Victorさんから直接送られてきました。ありがとうございました。
獣毛製の「ねずみ5尾」で囲んだところが弊社紹介の部分。世界34カ国の紹介記事に掲載されるなんて、まさに身に余る幸せ! がんばろっと!
獣毛製の「ねずみ5尾」で囲んだところが弊社紹介の部分。世界34カ国の紹介記事に掲載されるなんて、まさに身に余る幸せ! がんばろっと!
R.L.Winston社のグラスのページをめくるとこんな感じ。巨匠ゲーリー・ハウエルズさんはもちろん、先日亡くなったトム・モーガンさん、グレン・ブラケットさんの写真も。ちなみに写真下段左端はジェリー・シームさん! 若っ! 『Fiberglass Fly Rods』より。
R.L.Winston社のグラスのページをめくるとこんな感じ。巨匠ゲーリー・ハウエルズさんはもちろん、先日亡くなったトム・モーガンさん、グレン・ブラケットさんの写真も。ちなみに写真下段左端はジェリー・シームさん! 若っ! 『Fiberglass Fly Rods』より。

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2016年

6月

18日

Early-Summer

ライトウエイトが、あわやバックラッシュしちゃうかってくらい走りまくった1尾。対岸のエグレに何度も遁走をはかった大美人。定常光だけじゃコントラストなさすぎということで、久しぶりにフラッシュ+パンフォーカスでリアリズム満開。小賢しい小細工なしのこういう写真が好きです。
ライトウエイトが、あわやバックラッシュしちゃうかってくらい走りまくった1尾。対岸のエグレに何度も遁走をはかった大美人。定常光だけじゃコントラストなさすぎということで、久しぶりにフラッシュ+パンフォーカスでリアリズム満開。小賢しい小細工なしのこういう写真が好きです。
羽化したばかりのお腹。なんともなまめかしい色合い。
羽化したばかりのお腹。なんともなまめかしい色合い。

マッチング・ザ・ハッチの釣り……テッパンの楽しさ!

 こともあろうか……スーパーハイシーズンのまっただ中だってのに……じつはガイドはお休み中。一度キャンセルがあったまま、不思議とここだけ埋まらなかったのです。身体もそろそろ悲鳴を上げてくる頃だし、ラッキーだよね!? まぁ、いっかー。

 ということで、昨日は16時からフィールドのチェック……もとい……釣りに(笑。せっかくの6月のオフですし、たまにはねぇー。久しぶりのプライベートでのシングル遊びに。管区内の大人気ピカピカ河川は避けて……BQフィールド!?に。

 あらら……函館ナンバーのお二人さん、今立ってらっしゃるそここそ! マスのライズする場所ですよ〜(笑。……てことで、遠くからお越しの2名さまがおやりになったであろう場所から、後追いでのんびりスタート。

 結果、これまでのキャリアの中でも3指に入るくらいのヒゲナガカワトビケラのスーパーハッチに遭遇! もう、そこらじゅう、ドバッ、バシャッ!と轟音のスプラッシュライズだらけ。水面を見れば、ツツツツーと、盛大に動きながらジグザグに岸辺に向かうヒゲナガがあちこちに。ウッシッシッシ……。

 薄暮の時間帯からの遡上飛行はまさに圧巻でした。身体じゅうはもちろん、ロッドにも「コンッ!!」「コ〜〜ン!」と羽化したヒゲナガがぶつかりまくり……。で、グチャグチャが自慢のフライボックスから……べつにこっちのほうは自慢というわけじゃないのですが……壊れかかった、使い古しの1本を結んでキープキャスティング。

 けっきょくこの日は、ヤバいというか、怖いくらいに延々と釣れ続けました。写真は、虫がまとわりつくし撮るがのめんどうくさくて、そのほんの一部ですが。

 エサを大量に食べているであろうマスばかりですから、この季節のパワーとスピードは最高潮。リールは「ギィーーーーーーーーーー!!!」みたいな音をたてまくって私もカタルシス全開。何度もバックラッシュしそうなくらい、カン高い音をたてて高速逆転して、そりゃもう、この世に戻れないくらいの……か・い・か・ん……のひとときでした。

 ディスクブレーキのリールさえ付いているなら……どんなビギナーの方でも”最高速突進系のごーまる”をドライで釣ってもらえる、またとないチャンスでした……が、こういう時に限って一人なんですよネー。

 シングルハンドの、ライトラインの道具によるマッチング・ザ・ハッチの釣り。慣れ親しんだ遊びですが、これってやっぱり基本だよなぁー、と改めてその楽しさを再確認しました。ホントに最高!

 ということで……お日柄にはよるものの、この季節のイブニング延長はおすすめですヨ、という宣伝でございました〜。

シャックをお尻にくっつけて流下中のやつをキャッチ。
シャックをお尻にくっつけて流下中のやつをキャッチ。
プライベートだし、大好きなロッド&大好きなリールでGo! 休日の午後遅くにチョイ釣り。開始早々にパワフル豊満美人の”ごーまる”……。あぁシ・ア・ワ・セ……。
プライベートだし、大好きなロッド&大好きなリールでGo! 休日の午後遅くにチョイ釣り。開始早々にパワフル豊満美人の”ごーまる”……。あぁシ・ア・ワ・セ……。

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2016年

5月

12日

Airflo F.I.S.T. Skagit Heads

こちらの図版は米国の某ショップさんより拝借。Thanks!
こちらの図版は米国の某ショップさんより拝借。Thanks!

 これまで、米国の一部で秘やかに販売されてきた同ラインが、やっと本国英国のウェブサイトにも掲載されましたので、改めまして本ブログでもご紹介します。正直に申し上げましょう。ずーっと隠してました(笑。

 このポストを書いている5月12日時点では、インターネット上をどんなにサーフィンしても日本語による記事は1件もヒットしなかった。代理店が販売していないため国内のフライフィッシング誌上には掲載されていないだろうし、認知度はひじょうに低いみたい。道内の「スカジット大好き!」な人たちにも話題にはなっていないらしい。

 

 このライン、ティップを接続する先端側から、Type-3〜Int〜Fltと異なるシンクレートを組み合わせたスカジットボディ。現在販売されているウエイトのレンジは450から720まで。現在でもType-4程度までふつうにラインナップされているスカンジ系ラインでは珍しくないが、一部の、Type-2程度までしかなかったスカジット系のラインの中では、まぎれもなく新規格だ。

 デザインしたのは、米国の同社ラインのディストリビューターであり、ご存じEchoブランドやってるティム・レイジェフさんと一部のスティールヘッダーのみなさんとか。ティムは、過去に知人や取材仕事を介してご縁があった方。ワシントン州のご自宅に泊めてもらったり、半ば強制的にキャスティングのレッスンしてくださったり(笑。まあ、フライキャスティングの森羅万象に目がない、とーっても元気な人であります。

 

 さて。Nothing but the FLY LINE! な、日々現場にいあわせる者からいえば、やっと出たのかー、そりゃそうだよなー、という感じです。

 これまでーー表層の流速がメチャクチャに速い流れ、その流れの下に入っている魚をねらう時、さらには、気象条件などによる状況が芳しくない時、あるいは、ひじょうにスローな魚が相手という時ーーこの種のラインシステムでは、いったいぜんたいどんなセットアップで釣るの? って感じでしたから。もちろん、アプローチ方法やフィールドしだいでは不要なラインでしょうし、ガンガンの荒瀬が点在するような川をホームとするガイドたちのリクエストが本ラインの揺籃であるのは火を見るより明らか。各々の風土に合わせて、より細やかにメソッドや道具が進化してこそ正常ってものだし、同時にそれは、この釣りがまだまだ進化の途上にある証拠。その潜在能力には期待がふくらみます。

 

 現在、国内正規代理店さんでの販売開始は未定のもよう。いずれにしても、楽しみですね。


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2016年

4月

04日

Mid Summer

5番スイッチロッド(上)。ニジマスのドライフライ遊び用5番8フィート半のグラファイトロッド(中)。オショロコマ、エゾイワナ用の4番7フィートのバンブーロッド(下)。フィネス傾向のラインもよいのですが、ごくショートレンジの釣りには、フロントテーパーが”キツめ”の、適度にパワフルなラインを強くおすすめいたします。
5番スイッチロッド(上)。ニジマスのドライフライ遊び用5番8フィート半のグラファイトロッド(中)。オショロコマ、エゾイワナ用の4番7フィートのバンブーロッド(下)。フィネス傾向のラインもよいのですが、ごくショートレンジの釣りには、フロントテーパーが”キツめ”の、適度にパワフルなラインを強くおすすめいたします。
大型フライを用いるエゾイワナの釣りや、小渓流のニジマス釣りにはこんなロッド群も。写真上は5番8フィート。みんな大好きファイバーグラス・ロッド。続いてこちらも北海道ならでは!? 5番7フィート半のバンブーロッド(下)。フィールドで快適に楽しむ要諦は、釣りの内容に見合ったサオの調子選びはもちろん、距離やフライサイズにマッチしたライン番手やテーパーをチョイスすること、のような気がします。特に、夏の近距離の釣りでは大事かも。
大型フライを用いるエゾイワナの釣りや、小渓流のニジマス釣りにはこんなロッド群も。写真上は5番8フィート。みんな大好きファイバーグラス・ロッド。続いてこちらも北海道ならでは!? 5番7フィート半のバンブーロッド(下)。フィールドで快適に楽しむ要諦は、釣りの内容に見合ったサオの調子選びはもちろん、距離やフライサイズにマッチしたライン番手やテーパーをチョイスすること、のような気がします。特に、夏の近距離の釣りでは大事かも。

真夏……あぁ、妄想が止まらない。

 まだ、4月になったばかり。なのに、6月を越えて7月下旬から始まる盛夏が恋しくてたまらない。まぁー、新緑の季節がいいのはあたりまえですからー。

 初夏のハイシーズンの喧噪もなんとなくひと段落したこの季節。日中の最高気温が30℃を越えるような日が続くミッドサマーこそ、本当のことをいってしまえば、めちゃくちゃ好きな季節です。フルサイズのスペイロッドからシングルハンドのショートロッド遊びまで楽しめる十勝ですが、ポロシリの感覚では、真夏から秋以降にかけてこそ! 遊びのバリエーションは”てんご”(1.5倍の意)になるから、がその理由。

 もちろん! 真夏に超ハッピーな経験が何度となくあるから楽しみなわけで……あぁ……妄想が止まらないーー。

 

ーー午前中からお昼にかけては元気なニジマスをねらって”それなり”の規模の川でニジマスねらい。このへんは5番9フィート前後の、シングルハンド・ロッドの出番。”ありんこ”などドライフライ中心で遊ぶのはもちろん、水面をちょっとだけでも切ってあげるとマスの反応が面白くなること請け合い。たっぷり遊んで汗をかいたら、冷えたビールと一緒に涼しい木陰でランチをどうぞーー。

 

ーー最高気温に近づく昼食の後は、涼しい風が吹き渡る源流域に、エゾイワナ、あるいはオショロコマのドライフライ遊びにGo! エゾイワナは”よんまる”越え、オショロコマは尺上ねらいです。ポロシリ的には、いろいろ融通のきく4番ライン、レングスが8フィート以下のショートロッドがおすすめです。いずれも近距離を釣る遊びですから、それなりのアクション、それなりのラインが便利で実用的。グラファイトはもちろん、竹やファイバーグラスなど、道具選びも遊び心満載でどうぞ。無垢なマスたちの、ドライフライをくわえそこなってキョロキョロあたりを捜すしぐさなんて可愛いったらありゃしない! ね? サイコーでしょ?ーー

 

ーー暗くなる前に山を降りたら、開けた大場所でスイッチロッド遊びに行きましょう。番手は北米基準なら、おおむね4〜5番がおすすめ。気分的にはホワイトウルフだな〜、でもやっぱりここは獣毛ダウンウイング系かな〜なんて悩みつつも、潔くビッグ・ドライフライを結ぶもよし、ライズに合わせてちょっと沈めてサブサーフェスをねらうもよし、しっかり沈めてDredgingするのもオツですヨ。えっ、もちろんです! ポイント遠いしバックルームあんまりないし、ここはウォーターボーンで投げてOKですから。キャスティング、楽しいですよねぇー。あっ、ライズ見っけ!ーーみたいな(笑。

 

 ああん! 早く夏にならないかなっ。ワクワクが止まりません。

 

 というわけで……ご予約、お待ちしております。なお、シングルはもちろん、スイッチロッドなどは、ロッドや、十勝のフィールドや釣りにぴったりのラインのセットアップなど、釣行前のご準備のご相談も承っております。予約時にお気軽におたずねくださいませ。m(ーー)m


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2016年

1月

26日

Stanley E. Bogdan

きらめく本命チャンピオン糸巻き

 マスやサケを釣るための大型リールの中で、一等好きなのはBogdanボグダンだ。

 乾いた、低すぎず高すぎない逆転音は耳に心地よい。10ポジションのブレーキは鮭鱒類の釣りに必要充分な調整幅と強さでしっかり効く。マルチプライヤー(ハンドル1回転に対してスプール2回転)で巻き上げが速いところもこのフライリールの美徳だ。長駆ラインを出していても、いざとなればビューッ! と一気に巻き取れる。そして、マスが一気に走った時は、ハンドルはスプールの半数しか逆転しない。これは、じつのところ現実的で優れた機能だ。

 使い手が触れそうなリールの角のほとんどはていねいに面取りされている。手や指先が引っかかるようなところがなく、リールのあちこちは丸くなめらかな触り心地だ。フライリールは、機能はむろんのこと音や触れた時の感触が大事。最終的には、生理的に心地よい道具に手が伸びるからだ。

 どんな美人にもほころびはある。ここだけの話だが、大美人の泣き所もコッソリ報告しておきましょう。ボグダンの内部、中心のスピンドルは意外に細くて華奢だ。やはり、せいぜい大型のサーモン相手がいいところ。取りざたされるブレーキの機構は複雑で、ことのほか部品点数が多い(パーツの少ないリールはよいリールという人もいる)。また、ほかのアメリカ製両軸リールに比べ、そのS字ハンドルは素材が悪いの厚みが薄いのか、けっこう曲がりやすい。これとて巨匠の意図なのだろうか。よくわからない。

 

 しかしながら! 私にとってボグダンは、何よりフライフィッシングの空気を全体にまとった具現そのもの。痘痕(あばた)も靨(えくぼ)のうちだ。些細なことは欠点にならない。大好きなミステリ小説家、ディック・フランシスふうにいうなら、やっぱり「ゆうゆう3馬身は引き離しての、きらめく本命チャンピオン糸巻き」なのだ。まぁー、いささか大げさな表現ではありますが、お許しあれ。

 たしかにボグダンは安くない。でも、同じ年くらいのトーキョーのサラリーマン、みんな高級車乗ってるでしょ? 私は高級車にも乗ってなきゃ都心に高級マンションももってない。そして、フライフィッシングのガイドだし釣りは生業だ。だから、イヤミを言われたらわざと真剣な面もちでこう言うことに決めている。

「えー? 職人がいい旋盤買うのと同じですよー。仕事ですからー」と。イヒヒヒッ(笑)。

同時代の空気

 さて、このタイプのアメリカ製両軸リールといえば……古くは堂々たる一等星であるフレデリック、ジュリアス、エドワードのVom Hofeボン・ホフ・ファミリーはもちろん、一家の血脈を継いだOtto Zwarg(エドワードの工場長だった)、さらには同社のパテントを取得したA.L.Walker、現代ではボグダンと同じマサチューセッツ州ナシュアの町のボブ・コルセッティによるPeerlessピアレスなどなど……いろんなメーカーがある。

 

 釣り道具好きのみなさんと同じく、じつはあれこれ手に入れた。そして、古いものはすべて手放してしまった。理由は「自分の”だぶはん”に合わない」と思ったからだ。

 私のツーハンド・ロッドは多くがこの10年以内に作られたモダンなものばかり。大枚はたいて手にしたE.V.H.を喜びいさんでリールシートに付けた時はやるせなくなった。時代が違いすぎるせいかリールだけがくっきり浮いて見え、どこから見てもキマってないのだ。これはミスマッチなんだ……。その時はっきりそう思った。私の目にはそう映ったのだから仕方ない。

 たとえば、洋服好きにはたまらない博物館級のLevi'sの501XXのデニムはどうだろう。今や、金さえあれば夢のようなヴィンテージすら手に入る。けれど、ここからが問題だ。いくら垂涎の品でも、戦前の服をモダンな手持ちの服と合わせながら粋に着こなせるのは、実際のところ本当の洒落者だけだ。フツーの男が着ようものなら、それは”時代遅れのジーパン”にしか見えない。しかも、私といえばまぎれもなく後者のほうだ。

 もっといえばリールはお洒落するための服じゃない。道具として最初に検討すべき、いちばん大切な機能面でのバランスはどうだろう。つまるところ、バンブーロッド全盛の時代のリールはおおむね同時代の竹ザオとのバランスがいいし、現代の高弾性グラファイトのサオにはティペットを守る意味でも今のリールがいい。重さのバランスについても大概同じことがいえる。これは道理だろう。

 たとえ何がなんであれ、使わない物のコレクション趣味はない。高級品は好きだがなんてったって根は貧乏人、道具にかんしていえば、値段に関係なく”働かざるもの〜”が身上だ。そんなわけで、ほかの大型両軸リールはあっさりすべて手放した。

 

 巨匠スタンリー・ボグダンさんが他界したのは2011年。ご子息のステファンさんが作ったものを含めれば、ボグダンブランドのリールは、デザインを変えずに最近まで製造されている。機能面のバランスはもちろんのこと、同時代性やその調和を鑑みるなら、”現代的だぶはん”に合う、数少ない両軸リールだと思います。やれやれ。

由緒正しいマルチ系ボグダン使いの小物といえばコレ、米国の1ダイム(10セント)。これをドライバー代わりに使うのが正調って知ってた? ”A ten cent piece used as a screwdriver is〜”とリールに付属のドキュメントにも記載されている。
由緒正しいマルチ系ボグダン使いの小物といえばコレ、米国の1ダイム(10セント)。これをドライバー代わりに使うのが正調って知ってた? ”A ten cent piece used as a screwdriver is〜”とリールに付属のドキュメントにも記載されている。
フェイス側のプレートにある三つのマイナスねじにぴったり。誰もがポケットの中に1枚くらい忍ばせている硬貨ということか。どこでもスプール交換できるための配慮。
フェイス側のプレートにある三つのマイナスねじにぴったり。誰もがポケットの中に1枚くらい忍ばせている硬貨ということか。どこでもスプール交換できるための配慮。
内部のブレーキをちょっぴりお披露目。半月状の、スリットの入った両サイド2個の白い樹脂がいわばブレーキシュー。初期のリールには赤いマイカルタ(ナイフのハンドルなどに使われる樹脂)を用いたものもある。さ〜、お掃除しますか。
内部のブレーキをちょっぴりお披露目。半月状の、スリットの入った両サイド2個の白い樹脂がいわばブレーキシュー。初期のリールには赤いマイカルタ(ナイフのハンドルなどに使われる樹脂)を用いたものもある。さ〜、お掃除しますか。
大西洋サケ釣りが好きだったスタンリーさんにあやかって、昨年の晩夏は道東の川のサケ釣りにも連れて行った。これぞ本懐とばかりにあたりに逆転音を響かせつつ、シロザケやカラフトマスに八面六臂(はちめんろっぴ)の働きぶりだった。
大西洋サケ釣りが好きだったスタンリーさんにあやかって、昨年の晩夏は道東の川のサケ釣りにも連れて行った。これぞ本懐とばかりにあたりに逆転音を響かせつつ、シロザケやカラフトマスに八面六臂(はちめんろっぴ)の働きぶりだった。

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2016年

1月

17日

Sawyer Pheasant Tail Nymph

フェザントテイル・ニンフでゲストのMさんが釣った”ろくまる”越え。お見事!
フェザントテイル・ニンフでゲストのMさんが釣った”ろくまる”越え。お見事!

 シーズン中、必ずフライボックスに忍ばせているフライの1本がコレ、フェザントテイル・ニンフです。ピーコックハールをソラックスに巻いたものなどバリエーションが多く存在するパターンですが、私がガイド時に常備しているのはコパーワイヤで巻く本家風味のほう。汎用性がたかくいろんな使い方ができるパターンなので、日々ガイドが続く繁忙期ですら、フライボックスになければ、朝から2〜3本くらいチャチャッと巻いて補充するほどです。

 デザインしたのは言わずとしれた英国のFrank Sawyerフランク・ソーヤーさん。紹介したフィルムは、ソーヤーさん本人がフェザントテイル・ニンフをタイイングしているところを収めた貴重なものです。戦後のものとはいえ……ご本人のタイイングが見られるなんて……なんて素晴らしい時代なのだろう! アップしてくださった方に深謝です。

 このパターン、むろんニンフに分類されるわけですが、ニンフィングが苦手な方あるいは食わず嫌いな方も少なくないはず。そこで、ソーヤーさんがニンフの釣りをどのようにとらえていたのか、象徴的な記述をちょいとご紹介。『ニンフの達人たち』(原題は『THE MASTERS ON THE NYMPH』1979年。ティムコ刊)のご本人の章より、以下にその一節を抜粋します。

 

”(中略)スキューズが「マイナー・タクティックス」と言った釣り方は、今や世界に広がり、あらゆるタイプの釣り場で、何らかのニンフが使われている。まったく、今では、ニンフ・フィッシングを「メジャー・タクティックス」と言い、ドライフライを「マイナー」と呼んでもいいようでさえある。わたし自身は、どんな種類のトラウト・フィッシングよりも、ニンフィングがずっと好きだ。(以下略)”

 

 フェザントテイル・ニンフやソーヤーさんのニンフィングに興味がある方は御大の著作『Nymphs and the Trout』や『Keeper of the Stream』をご覧あれ。『Keeper〜』のほうは『イギリスの鱒釣り』(晶文社刊。倉本護訳。1990年)として日本語版で出版されていました。また、最近では『フライの雑誌』に島崎憲司郎さんが同フライについて詳しく書いてらっしゃっる記事(とても興味ぶかい内容でした)があったと思います。

 

 さあて、明日はゲストと氷上ワカサギ釣りの予定。楽しみです。


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2016年

1月

15日

The Way of Trout

The Way of Trout

 新年明けましておめでとうございます。さっそくですが、今年から本ウェブサイト内にブログを設置することにしました。日々のことなど、ぼちぼちポストしていくつもりです。よろしくご覧くださいせ。

 

 記念すべき初回ポストはショートムービー『The Way of Trout』のご紹介。このフィルム、郷里・熊本のプロショップ『アウトハウスススキ』さんの店主、須々木さんにすすめられて見たのが30年ちかく前のこと。当時は私も紅顔のティーンエイジャー(笑)。仲間たちに先んじて、噂の舶来遊びの海の向こうの実際を一人コッソリ知ったようで、

「これ……キテる……!!」

 とブラウン管を前に興奮で胸がドキドキしたのでした。

 

 ともあれ、文字どおりマスの一生と、マスをとりまく自然、そしてフライフィッシングとのかかわりを、これほど簡素高潔に美しく、しかもわかりやすく描いた秀作って、それ以降現在まであまり見たことがありません。

 ナレーションと並行してBGMとして挿入されているオケ(オーケストラ)も素晴らしく、まるで初期ディズニーの名作アニメーション映画『Fantacia』(1940年)のよう。しかるべき楽器群で、それぞれのシーンの演出意図にぴったり合わせて演奏・録音・編集されています。

 撮影や編集はもちろんのこと、台本やナレーション、演出にかなったBGMすべてにいたるまで、まさに微に入り細に入り。特機撮影などによる目をひくようなカットなどが皆無であるにもかかわらず、”言いたいこと伝わりまくり!”の濃密なショートフィルムに仕上がっています。不要な字幕がないところもいいよなー。

 登場するフライもカッコいい! ジンジャーケイヒル、ファンウイング・コーチマン、グーファスバグ……そう、往年の銘パターンたち。アングラーが使っているフライボックスがLITE-TUFF FLY BOXであるあたりも、かぶれやすいタチの私は見逃しませんでした(笑)。

 劇中、マスは流下するナチュラルにライズを続けているのに手持ちのフライには出ないため、アングラーが川っぺりでタイイングを始めるあたりの一連のシークエンスなんてたまらない。70年代前半から始まるアメリカにおけるマッチング・ザ・ハッチの釣りの一大ムーブメントを鑑みても、このフィルムの先見の明に頭が下がるばかりです。

 

 制作されたのは今から47年前の1969年。アメリカのロッドメーカーでは、二人の若きトム御大によってTHOMAS & THOMAS社が創業した年でした。話ついでに、一方で西のほうのトム御大……トム・モーガンさんがWinston社の社主になったのはそれから4年後の1973年。なんとも時代が忍ばれるというものです。

 製作元はごぞんじ『TROUT UNLIMITED』そして、当時フライ業界のご意見番的メーカーだった『Scinetific Anglers/3M』による1本です。なるほど! でしょう? 尺は約30分。お楽しみあれ。


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