2016年

7月

12日

Balanced Tackle

そのタックル、バランスとれてます?

これまでゲストを案内してきて、最近とみに思うことがタックルのバランスについてです。

 

「釣り道具は魚に近いところから順に考えよ」というのは佳日のさる名手の言ですが、それはフライフィッシングとて同じ。裏技的な方法はあれど、フライフィッシングの場合、最初に使うフライパターン(フライのサイズや重さなど)があって、次にそのフライに見合うティペット、その次にリーダー、その次にライン、ロッド、リール……と決めていくのが肝心要の要諦であり、誰がなんと言おうと、”基本のキ”ということです。

 

バランスを欠いたタックルの例を挙げてみましょう。

フライ:6番の、バルキーなエゾハルゼミのドライフライ

ティペット:4X

ライン:3番

 

一部の、職業的に日々釣りをしているような方、あるいは名手を除けば、上記のタックルでは、ほとんどの場面において、理想的なプレゼンテーションはできないといってよいと思います。理由は、サイズ6番の、相対的に空気抵抗および重量があるフライを、ゆとりをもってさまざまな種類のプレゼンテーションなどを行なうだけの物理的な重さがーーたとえば、音が生じるようなフォルスキャストでマスをスプークさせないよう、最低限のラインスピードで実用的な幅のループを作り、少ない回数でキャストを完了するなどーーもとより、その重さが3番ラインにはないからです。右のいちばん上の表を見てみましょう。

 

3番ラインにマッチングするフライサイズの範囲は、12〜28番とあります(一段下の図では12〜24番)。都合、このレンジの中で、3番ラインがデリバリーするのに適した、最も”旨み”のある真ん中のフライサイズは、16番あるいはそれ以下ということになるでしょうか。ここでいう”旨み”とは、突然の強風時でもタイトループにしてラインスピードを上げられるとか、失速寸前のスピードでもキャストできるとか、さまざまな種類のプレゼンテーションにゆとりをもって対応できること、です。上限の12番を使えば、車にたとえるなら、アクセル全開でエンジンは回転数いっぱい、すでにゆとりはなく追い越しや追い抜きに無理がある状態、と解釈できます。

 

昨今市場には、スティッフなグラファイトロッド向けに開発された半番手重めのラインなどがあります。またフロントテーパー部を短くパワフルに設計したラインがある一方で、フロントテーパーを長く設計されたラインもあります。30フィートの重さが規格外のラインを含め、さまざまなデザインのラインがあるいじょう話はさほど簡単ではありません。例外がたくさんあります。しかしながら、3番ラインには3番ラインに適した仕事があるということは、理にかなったフライフィッシングの道具の仕組み、そして定石として、元来古くから存在しているというわけです。

 

距離にしても同様です。例えばトム・モーガン時代のR.L.Winston社などは、カタログに、up to 45だとか、15 to 45(単位はfeet)というように、番手や長さ、つまりロッドのモデルごとに、それぞれのサオが主たる守備範囲としている釣りの距離まで明記していました。適切なラインを使うことが前提ですが、フライサイズやディスタンスに応じて、快適度の高い定石のバランスはあるのです。

 

さて、上記の6番フライに3番ラインの例にあるような、バランスを欠いたタックルで釣りをすると、フライのデザインや個人差はあれど、結果として下記のようなトラブルやミスが生じることがあります。

 

1、フォルスキャスト時に、マスにスプークされてしまう。

2、ティペットがヨレてチリチリになってしまう。

 

1の理由は簡単です。上に説明したように、3番ラインにはもとより6番のフライをキャストする物理的な重さおよびパワーがありません。したがって、キャストしようとすれば、都合ラインスピードを上げざるを得なくなります。さらに、キャストすべき距離が長ければ長いほど、フォルスキャストの回数を増やさざるをえません。

 

マスはたいていの場合において、上空の鳥などを常に警戒しています。結果として、「ビュン! ビュン!」と音を伴いながらの勢いのあるフォルスキャストの回数が増えるごとに、フライが着水する前にマスが気づいて、スプークしてしまう可能性が増えていくのです。まぁー、マスにフライを見せる前に逃げられてしまっては釣りになりませんね(蛇足ですが、欧米で、洗練された腕利きのガイドの前でこんなタックルを使うと、即座に「オレのタックルを使え!」とロッドをとり上げられてしまうこともあります)。

 

また、6番のフライに4Xのティペットというバランスは、2のトラブルの原因です。フライサイズが6番なら、原則、マッチするティペットは2Xです(参考例として、右下の図を参照)。空気抵抗のある、さらには回転しやすいデザインのフライパターンであれば、ティペットはまたたく間にチリチリに縒れてしまいます。これでは、”釣り”をさせてもらえませんし、釣れません。

 

”ヨレ”のトラブルを予期したうえでティペットのサイズを一つ下げる(いわば裏技ですね)ならともかく、”基本のキ”なしでは、対処も応用もありません。結局、バランスのとれたタックルというのは、スポーツでいう体幹というか、根幹なんですね。

 

日々多くのクライアントと接していると、キャリアの長さに関係なく、上記の、普遍的な基本のバランスをご存じない方がいらっしゃることに気づきます。「趣味だし遊びだからさー、ベツにいいじゃん」(なるほど……たしかに……)。「歴史的な名竿なんだよねー。この竹ザオで釣りたいんだよー」(ウンウン……気持ちは少し……わかる……かなぁ)。

 

しかしながら、困ったことに! 「釣れなくてもオッケーなの!」なんて方には、いまだ会ったことがありません(笑。となれば……タックルは道具=手段であるいじょう……やはりバランスがとれていてこそ、でしょう?

 

普遍的かつ一般的なバランスとして、ポロシリがおすすめしているタックルについては、こちらのページをご覧ください。

フライサイズとライン(ロッド)ウエイトのマッチング(参考例)

ティペットサイズとフライサイズ(参考例)

がんばれ、編集者たち!

過去に、東京でフライフィッシング専門誌の編集者をしていた者として、最近の雑誌を見ていて残念に思うことがあります。

 

一つは、編集部の企画・構成・執筆による、普遍的な、基本のキとなる解説記事がほとんどないことです。釣りの技術の解説記事の多くが、メーカーや小売店など、広告主に関係のある著者および名手の記事頼りになっていて(これはこれでよいのですが……)、いわば世界基準の定石がわからない、あるいは、わかりづらいのです。

 

これでは、読者は、普遍的かつスタンダードな技術のあり方を知ることができません。いってみれば、一部の魚に対応するような裏技あるいは応用は知っていても、表技、つまり、定石の技術や知識を入門者のような読者は知りようがないのです。著名人の言などあまたの情報の中にありながらも、「これが世界のスタンダードな方法です!」と言って民の信頼を得られるのは、今だに影響力のある、メディアおよび編集部によって書かれた記事だけでしょう。にもかかわらず、ちょっと違うけれどーー「社説」を書かない新聞ーーじゃあねー。

 

仕事のフローに、こと日本の業界をたとえてみるなら……ロッドやラインなど釣り道具を作る人や、雑誌や放送媒体などメディアで情報発信している人が業界の最上流とするなら、小売店は真ん中あたりでしょうか。そして、季節や状況を問わず、毎日のように水辺に立ち魚を釣るお手伝いをしている多くのガイドは、いってみれば、業界のワークフローの最下流にいます。ガイドは市井の釣り人と一緒に、ヒリヒリした現実=魚たち、に向き合っています。そして、すべての”ツケ”は、いつも最下流の現場に回ってくるのです。

 

論より証拠に、時間による洗練を重ねたフライフィッシング先進国であるお隣アメリカ合衆国のフライ雑誌の、釣りの解説記事を見てみるとよくわかります。原則、対象魚に接している時間の総計が短いであろう人は、ほとんど露出していません。なぜなら、日々魚のそばにいない人が、読者にとって有益で、ワクワクするような情報や技術などもちようがないことは疑いようもなく、自明の理だからです。そういった意味では、私が編集者をやっていたような国内のコマーシャルなフライ雑誌は今、その存在意義を賭した過渡期なのかもしれません。

 

遠征を夢見て、メディアや小売店の言を参考に、小遣いを貯めて買った釣り道具のバランスが悪かった、そのうえトラブル続出で釣れなかったでは、わがニッポンの市井の釣り人たちは釣りをやめてしまいます。日本のフライフィッシングに未来はありません。でも、それじゃーねぇー。

 

インターネット全盛の時代、たしかに未曾有の出版大不況でしょう。でも、たとえ取材経費や出張経費がなくたって、よい記事を編み集め、ワクワクするようなコンテンツ満載の雑誌作りはできるはず。有能な編集者なら、そこのところわかっているはずです。

 

私自身が雑誌育ちだし、雑誌が好きだから言います。

がんばれ、Tokyoの編集者たち!

 


3 コメント

2016年

6月

18日

Early-Summer

フライウエイトが、あわやバックラッシュしちゃうかってくらい走りまくった1尾。対岸のエグレに何度も遁走をはかった大美人。定常光だけじゃコントラストなさすぎということで、久しぶりにフラッシュ+パンフォーカスでリアリズム満開。小賢しい小細工なしのこういう写真が好きです。
フライウエイトが、あわやバックラッシュしちゃうかってくらい走りまくった1尾。対岸のエグレに何度も遁走をはかった大美人。定常光だけじゃコントラストなさすぎということで、久しぶりにフラッシュ+パンフォーカスでリアリズム満開。小賢しい小細工なしのこういう写真が好きです。
羽化したばかりのお腹。なんともなまめかしい色合い。
羽化したばかりのお腹。なんともなまめかしい色合い。

マッチング・ザ・ハッチの釣り……テッパンの楽しさ!

 こともあろうか……スーパーハイシーズンのまっただ中だってのに……じつはガイドはお休み中。一度キャンセルがあったまま、不思議とここだけ埋まらなかったのです。身体もそろそろ悲鳴を上げてくる頃だし、ラッキーだよね!? まぁ、いっかー。

 ということで、昨日は16時からフィールドのチェック……もとい……釣りに(笑。せっかくの6月のオフですし、たまにはねぇー。久しぶりのプライベートでのシングル遊びに。管区内の大人気ピカピカ河川は避けて……BQフィールド!?に。

 あらら……函館ナンバーのお二人さん、今立ってらっしゃるそここそ! マスのライズする場所ですよ〜(笑。……てことで、遠くからお越しの2名さまがおやりになったであろう場所から、後追いでのんびりスタート。

 結果、これまでのキャリアの中でも3指に入るくらいのヒゲナガカワトビケラのスーパーハッチに遭遇! もう、そこらじゅう、ドバッ、バシャッ!と轟音のスプラッシュライズだらけ。水面を見れば、ツツツツーと、盛大に動きながらジグザグに岸辺に向かうヒゲナガがあちこちに。ウッシッシッシ……。

 薄暮の時間帯からの遡上飛行はまさに圧巻でした。身体じゅうはもちろん、ロッドにも「コンッ!!」「コ〜〜ン!」と羽化したヒゲナガがぶつかりまくり……。で、グチャグチャが自慢のフライボックスから……べつにこっちのほうは自慢というわけじゃないのですが……壊れかかった、使い古しの1本を結んでキープキャスティング。

 けっきょくこの日は、ヤバいというか、怖いくらいに延々と釣れ続けました。写真は、虫がまとわりつくし撮るがのめんどうくさくて、そのほんの一部ですが。

 エサを大量に食べているであろうマスばかりですから、この季節のパワーとスピードは最高潮。リールは「ギィーーーーーーーーーー!!!」みたいな音をたてまくって私もカタルシス全開。何度もバックラッシュしそうなくらい、カン高い音をたてて高速逆転して、そりゃもう、この世に戻れないくらいの……か・い・か・ん……のひとときでした。

 ディスクブレーキのリールさえ付いているなら……どんなビギナーの方でも”最高速突進系のごーまる”をドライで釣ってもらえる、またとないチャンスでした……が、こういう時に限って一人なんですよネー。

 シングルハンドの、ライトラインの道具によるマッチング・ザ・ハッチの釣り。慣れ親しんだ遊びですが、これってやっぱり基本だよなぁー、と改めてその楽しさを再確認しました。ホントに最高!

 ということで……お日柄にはよるものの、この季節のイブニング延長はおすすめですヨ、という宣伝でございました〜。

シャックをお尻にくっつけて流下中のやつをキャッチ。
シャックをお尻にくっつけて流下中のやつをキャッチ。
プライベートだし、大好きなロッド&大好きなリールでGo! 休日の午後遅くにチョイ釣り。開始早々にパワフル豊満美人の”ごーまる”……。あぁシ・ア・ワ・セ……。
プライベートだし、大好きなロッド&大好きなリールでGo! 休日の午後遅くにチョイ釣り。開始早々にパワフル豊満美人の”ごーまる”……。あぁシ・ア・ワ・セ……。

0 コメント

2016年

5月

12日

Airflo F.I.S.T. Skagit Heads

こちらの図版は米国の某ショップさんより拝借。Thanks!
こちらの図版は米国の某ショップさんより拝借。Thanks!

 これまで、米国の一部で秘やかに販売されてきた同ラインが、やっと本国英国のウェブサイトにも掲載されましたので、改めまして本ブログでもご紹介します。正直に申し上げましょう。ずーっと隠してました(笑。

 このポストを書いている5月12日時点では、インターネット上をどんなにサーフィンしても日本語による記事は1件もヒットしなかった。代理店が販売していないため国内のフライフィッシング誌上には掲載されていないだろうし、認知度はひじょうに低いみたい。道内の「スカジット大好き!」な人たちにも話題にはなっていないらしい。

 

 このライン、ティップを接続する先端側から、Type-3〜Int〜Fltと異なるシンクレートを組み合わせたスカジットボディ。現在販売されているウエイトのレンジは450から720まで。現在でもType-4程度までふつうにラインナップされているスカンジ系ラインでは珍しくないが、一部の、Type-2程度までしかなかったスカジット系のラインの中では、まぎれもなく新規格だ。

 デザインしたのは、米国の同社ラインのディストリビューターであり、ご存じEchoブランドやってるティム・レイジェフさんと一部のスティールヘッダーのみなさんとか。ティムは、過去に知人や取材仕事を介してご縁があった方。ワシントン州のご自宅に泊めてもらったり、半ば強制的にキャスティングのレッスンしてくださったり(笑。まあ、フライキャスティングの森羅万象に目がない、とーっても元気な人であります。

 

 さて。Nothing but the FLY LINE! な、日々現場にいあわせる者からいえば、やっと出たのかー、そりゃそうだよなー、という感じです。

 これまでーー表層の流速がメチャクチャに速い流れ、その流れの下に入っている魚をねらう時、さらには、気象条件などによる状況が芳しくない時、あるいは、ひじょうにスローな魚が相手という時ーーこの種のラインシステムでは、いったいぜんたいどんなセットアップで釣るの? って感じでしたから。もちろん、アプローチ方法やフィールドしだいでは不要なラインでしょうし、ガンガンの荒瀬が点在するような川をホームとするガイドたちのリクエストが本ラインの揺籃であるのは火を見るより明らか。各々の風土に合わせて、より細やかにメソッドや道具が進化してこそ正常ってものだし、同時にそれは、この釣りがまだまだ進化の途上にある証拠。その潜在能力には期待がふくらみます。

 

 現在、国内正規代理店さんでの販売開始は未定のもよう。いずれにしても、楽しみですね。


0 コメント

2016年

4月

04日

Mid Summer

5番スイッチロッド(上)。ニジマスのドライフライ遊び用5番8フィート半のグラファイトロッド(中)。オショロコマ、エゾイワナ用の4番7フィートのバンブーロッド(下)。フィネス傾向のラインもよいのですが、ごくショートレンジの釣りには、フロントテーパーが”キツめ”の、適度にパワフルなラインを強くおすすめいたします。
5番スイッチロッド(上)。ニジマスのドライフライ遊び用5番8フィート半のグラファイトロッド(中)。オショロコマ、エゾイワナ用の4番7フィートのバンブーロッド(下)。フィネス傾向のラインもよいのですが、ごくショートレンジの釣りには、フロントテーパーが”キツめ”の、適度にパワフルなラインを強くおすすめいたします。
大型フライを用いるエゾイワナの釣りや、小渓流のニジマス釣りにはこんなロッド群も。写真上は5番8フィート。みんな大好きファイバーグラス・ロッド。続いてこちらも北海道ならでは!? 5番7フィート半のバンブーロッド(下)。フィールドで快適に楽しむ要諦は、釣りの内容に見合ったサオの調子選びはもちろん、距離やフライサイズにマッチしたライン番手やテーパーをチョイスすること、のような気がします。特に、夏の近距離の釣りでは大事かも。
大型フライを用いるエゾイワナの釣りや、小渓流のニジマス釣りにはこんなロッド群も。写真上は5番8フィート。みんな大好きファイバーグラス・ロッド。続いてこちらも北海道ならでは!? 5番7フィート半のバンブーロッド(下)。フィールドで快適に楽しむ要諦は、釣りの内容に見合ったサオの調子選びはもちろん、距離やフライサイズにマッチしたライン番手やテーパーをチョイスすること、のような気がします。特に、夏の近距離の釣りでは大事かも。

真夏……あぁ、妄想が止まらない。

 まだ、4月になったばかり。なのに、6月を越えて7月下旬から始まる盛夏が恋しくてたまらない。まぁー、新緑の季節がいいのはあたりまえですからー。

 初夏のハイシーズンの喧噪もなんとなくひと段落したこの季節。日中の最高気温が30℃を越えるような日が続くミッドサマーこそ、本当のことをいってしまえば、めちゃくちゃ好きな季節です。フルサイズのスペイロッドからシングルハンドのショートロッド遊びまで楽しめる十勝ですが、ポロシリの感覚では、真夏から秋以降にかけてこそ! 遊びのバリエーションは”てんご”(1.5倍の意)になるから、がその理由。

 もちろん! 真夏に超ハッピーな経験が何度となくあるから楽しみなわけで……あぁ……妄想が止まらないーー。

 

ーー午前中からお昼にかけては元気なニジマスをねらって”それなり”の規模の川でニジマスねらい。このへんは5番9フィート前後の、シングルハンド・ロッドの出番。”ありんこ”などドライフライ中心で遊ぶのはもちろん、水面をちょっとだけでも切ってあげるとマスの反応が面白くなること請け合い。たっぷり遊んで汗をかいたら、冷えたビールと一緒に涼しい木陰でランチをどうぞーー。

 

ーー最高気温に近づく昼食の後は、涼しい風が吹き渡る源流域に、エゾイワナ、あるいはオショロコマのドライフライ遊びにGo! エゾイワナは”よんまる”越え、オショロコマは尺上ねらいです。ポロシリ的には、いろいろ融通のきく4番ライン、レングスが8フィート以下のショートロッドがおすすめです。いずれも近距離を釣る遊びですから、それなりのアクション、それなりのラインが便利で実用的。グラファイトはもちろん、竹やファイバーグラスなど、道具選びも遊び心満載でどうぞ。無垢なマスたちの、ドライフライをくわえそこなってキョロキョロあたりを捜すしぐさなんて可愛いったらありゃしない! ね? サイコーでしょ?ーー

 

ーー暗くなる前に山を降りたら、開けた大場所でスイッチロッド遊びに行きましょう。番手は北米基準なら、おおむね4〜5番がおすすめ。気分的にはホワイトウルフだな〜、でもやっぱりここは獣毛ダウンウイング系かな〜なんて悩みつつも、潔くビッグ・ドライフライを結ぶもよし、ライズに合わせてちょっと沈めてサブサーフェスをねらうもよし、しっかり沈めてDredgingするのもオツですヨ。えっ、もちろんです! ポイント遠いしバックルームあんまりないし、ここはウォーターボーンで投げてOKですから。キャスティング、楽しいですよねぇー。あっ、ライズ見っけ!ーーみたいな(笑。

 

 ああん! 早く夏にならないかなっ。ワクワクが止まりません。

 

 というわけで……ご予約、お待ちしております。なお、シングルはもちろん、スイッチロッドなどは、ロッドや、十勝のフィールドや釣りにぴったりのラインのセットアップなど、釣行前のご準備のご相談も承っております。予約時にお気軽におたずねくださいませ。m(ーー)m


8 コメント

2016年

2月

03日

Fly Line

 フライラインを新調しました。

 買ったのはS.A.社のニンフ用4番のフローティングラインNymph/Indicatorです。

 まぁー、廃盤になったこんなマイナーなラインを買うのも、元といえば超モダン……というよりヘンテコで使いづらい!?……4番10フィートなんてサオを使っているから。さらにその元をただせば、シーズン中用いる機会の少なくないシングルハンドのニンフの釣りを、少しでも快適に、ほんの少しでも効果的に行ないたいから。ともあれ、今回も自分のウデを棚に上げての、モノ頼りの、ささやかなバージョンアップ、です。

 このライン、注目すべきはその重さです。ジャーン! メーカーが公表しているGrain Weight(レベルティップ部を除く先端から30フィートの重さ)はなんと198グレイン、なのです。4番ですよ、4番! 

 テーパーや素材などの違いこそあれど、先端30フィートが約200グレインのラインといえば、多少ヘビーウエイトのストリーマーだろうが、バルキーで空気抵抗があるものだろうが、たいていのものをデリバリーできる重さ。

 ……ってことはラインが太いんでしょ? とツッコミたくなりますが、このラインはさにあらず。たしかに、ライン先端、ループのすぐ後ろあたりのライン直径は手元にある同社製旧SUPRAのWF-7-F(!)ほどの太さ。ですが、フロントテーパーが終わって以降のベリー部の直径は、なんと同社AIRCEL DT-4-Fのベリー部とほぼ同じ直径なのです。現代のテクノロジーってすごいのですねー。

 細いのに重さがある。これって佳日のシルクラインのよう。さらに「よく浮く」ならば、釣りにおけるぜんたいの効能は火を見るより明らか。あんな場所のこ〜んなデッカいマスを釣るためのフライや仕掛けがいろいろ思いつきまくって……もう……ワクワクしまくりなのです。

 ちなみに、こちらの後継機種らしき同社の現行品、WAVELENGTHのNymph/Indicator WF-4-FのGrain Weightは150グレインです。都合48グレインも軽くしたのですね。なるほどなー。

 さて、現行品と廃盤品、最大の違いは、なんといっても”考えた人”。やはり、何事も人がいちばん大事かも。そして、”マスと水に近い人”が考えることは興味ぶかくて面白い。ちなみに、ディスコンになっちゃったほうのヘビーな同ラインのデザインは、16歳から(!)マディソン川でガイドやってる、ケリー・ギャロップさんによるものであります。

 ギャロップ先生、昨今とみに脂が乗ってますねー。現在は移籍してAirflo社でコンサルなさってる。同社の日本語カタログにはこうあります(以下、一部抜粋)。

「(中略)私はカジュアルな釣りを好みません。それは巨大なプレデターを求める厳しい狩りですから〜(中略)それらの製品は白衣を着た技術者ではなく、激しく釣りをする人間によってテストされたことを保証いたします」

これまで使っていたのは、サンセット色の同社MASTERY NYMPHテーパー4番(古っ!)。懐かしいけど現役の、Anglers Image社のラインワインダーで綺麗に巻き取りました。
これまで使っていたのは、サンセット色の同社MASTERY NYMPHテーパー4番(古っ!)。懐かしいけど現役の、Anglers Image社のラインワインダーで綺麗に巻き取りました。
AIRCEL DT-4-Fのライン先端(左)と”おニュー”ラインの先端(右)を比べると……。これで同じ4番? なのです。
AIRCEL DT-4-Fのライン先端(左)と”おニュー”ラインの先端(右)を比べると……。これで同じ4番? なのです。

0 コメント

2016年

1月

26日

Stanley E. Bogdan

きらめく本命チャンピオン糸巻き

 マスやサケを釣るための大型リールの中で、一等好きなのはBogdanボグダンだ。

 乾いた、低すぎず高すぎない逆転音は耳に心地よい。10ポジションのブレーキは鮭鱒類の釣りに必要充分な調整幅と強さでしっかり効く。マルチプライヤー(ハンドル1回転に対してスプール2回転)で巻き上げが速いところもこのフライリールの美徳だ。長駆ラインを出していても、いざとなればビューッ! と一気に巻き取れる。そして、マスが一気に走った時は、ハンドルはスプールの半数しか逆転しない。これは、じつのところ現実的で優れた機能だ。

 使い手が触れそうなリールの角のほとんどはていねいに面取りされている。手や指先が引っかかるようなところがなく、リールのあちこちは丸くなめらかな触り心地だ。フライリールは、機能はむろんのこと音や触れた時の感触が大事。最終的には、生理的に心地よい道具に手が伸びるからだ。

 どんな美人にもほころびはある。ここだけの話だが、大美人の泣き所もコッソリ報告しておきましょう。ボグダンの内部、中心のスピンドルは意外に細くて華奢だ。やはり、せいぜい大型のサーモン相手がいいところ。取りざたされるブレーキの機構は複雑で、ことのほか部品点数が多い(パーツの少ないリールはよいリールという人もいる)。また、ほかのアメリカ製両軸リールに比べ、そのS字ハンドルは素材が悪いの厚みが薄いのか、けっこう曲がりやすい。これとて巨匠の意図なのだろうか。よくわからない。

 

 しかしながら! 私にとってボグダンは、何よりフライフィッシングの空気を全体にまとった具現そのもの。痘痕(あばた)も靨(えくぼ)のうちだ。些細なことは欠点にならない。大好きなミステリ小説家、ディック・フランシスふうにいうなら、やっぱり「ゆうゆう3馬身は引き離しての、きらめく本命チャンピオン糸巻き」なのだ。まぁー、いささか大げさな表現ではありますが、お許しあれ。

 たしかにボグダンは安くない。でも、同じ年くらいのトーキョーのサラリーマン、みんな高級車乗ってるでしょ? 私は高級車にも乗ってなきゃ都心に高級マンションももってない。そして、フライフィッシングのガイドだし釣りは生業だ。だから、イヤミを言われたらわざと真剣な面もちでこう言うことに決めている。

「えー? 職人がいい旋盤買うのと同じですよー。仕事ですからー」と。イヒヒヒッ(笑)。

同時代の空気

 さて、このタイプのアメリカ製両軸リールといえば……古くは堂々たる一等星であるフレデリック、ジュリアス、エドワードのVom Hofeボン・ホフ・ファミリーはもちろん、一家の血脈を継いだOtto Zwarg(エドワードの工場長だった)、さらには同社のパテントを取得したA.L.Walker、現代ではボグダンと同じマサチューセッツ州ナシュアの町のボブ・コルセッティによるPeerlessピアレスなどなど……いろんなメーカーがある。

 

 釣り道具好きのみなさんと同じく、じつはあれこれ手に入れた。そして、古いものはすべて手放してしまった。理由は「自分の”だぶはん”に合わない」と思ったからだ。

 私のツーハンド・ロッドは多くがこの10年以内に作られたモダンなものばかり。大枚はたいて手にしたE.V.H.を喜びいさんでリールシートに付けた時はやるせなくなった。時代が違いすぎるせいかリールだけがくっきり浮いて見え、どこから見てもキマってないのだ。これはミスマッチなんだ……。その時はっきりそう思った。私の目にはそう映ったのだから仕方ない。

 たとえば、洋服好きにはたまらない博物館級のLevi'sの501XXのデニムはどうだろう。今や、金さえあれば夢のようなヴィンテージすら手に入る。けれど、ここからが問題だ。いくら垂涎の品でも、戦前の服をモダンな手持ちの服と合わせながら粋に着こなせるのは、実際のところ本当の洒落者だけだ。フツーの男が着ようものなら、それは”時代遅れのジーパン”にしか見えない。しかも、私といえばまぎれもなく後者のほうだ。

 もっといえばリールはお洒落するための服じゃない。道具として最初に検討すべき、いちばん大切な機能面でのバランスはどうだろう。つまるところ、バンブーロッド全盛の時代のリールはおおむね同時代の竹ザオとのバランスがいいし、現代の高弾性グラファイトのサオにはティペットを守る意味でも今のリールがいい。重さのバランスについても大概同じことがいえる。これは道理だろう。

 たとえ何がなんであれ、使わない物のコレクション趣味はない。高級品は好きだがなんてったって根は貧乏人、道具にかんしていえば、値段に関係なく”働かざるもの〜”が身上だ。そんなわけで、ほかの大型両軸リールはあっさりすべて手放した。

 

 巨匠スタンリー・ボグダンさんが他界したのは2011年。ご子息のステファンさんが作ったものを含めれば、ボグダンブランドのリールは、デザインを変えずに最近まで製造されている。機能面のバランスはもちろんのこと、同時代性やその調和を鑑みるなら、”現代的だぶはん”に合う、数少ない両軸リールだと思います。やれやれ。

由緒正しいマルチ系ボグダン使いの小物といえばコレ、米国の1ダイム(10セント)。これをドライバー代わりに使うのが正調って知ってた? ”A ten cent piece used as a screwdriver is〜”とリールに付属のドキュメントにも記載されている。
由緒正しいマルチ系ボグダン使いの小物といえばコレ、米国の1ダイム(10セント)。これをドライバー代わりに使うのが正調って知ってた? ”A ten cent piece used as a screwdriver is〜”とリールに付属のドキュメントにも記載されている。
フェイス側のプレートにある三つのマイナスねじにぴったり。誰もがポケットの中に1枚くらい忍ばせている硬貨ということか。どこでもスプール交換できるための配慮。
フェイス側のプレートにある三つのマイナスねじにぴったり。誰もがポケットの中に1枚くらい忍ばせている硬貨ということか。どこでもスプール交換できるための配慮。
内部のブレーキをちょっぴりお披露目。半月状の、スリットの入った両サイド2個の白い樹脂がいわばブレーキシュー。初期のリールには赤いマイカルタ(ナイフのハンドルなどに使われる樹脂)を用いたものもある。さ〜、お掃除しますか。
内部のブレーキをちょっぴりお披露目。半月状の、スリットの入った両サイド2個の白い樹脂がいわばブレーキシュー。初期のリールには赤いマイカルタ(ナイフのハンドルなどに使われる樹脂)を用いたものもある。さ〜、お掃除しますか。
大西洋サケ釣りが好きだったスタンリーさんにあやかって、昨年の晩夏は道東の川のサケ釣りにも連れて行った。これぞ本懐とばかりにあたりに逆転音を響かせつつ、シロザケやカラフトマスに八面六臂(はちめんろっぴ)の働きぶりだった。
大西洋サケ釣りが好きだったスタンリーさんにあやかって、昨年の晩夏は道東の川のサケ釣りにも連れて行った。これぞ本懐とばかりにあたりに逆転音を響かせつつ、シロザケやカラフトマスに八面六臂(はちめんろっぴ)の働きぶりだった。

0 コメント

2016年

1月

17日

Sawyer Pheasant Tail Nymph

フェザントテイル・ニンフでゲストのMさんが釣った”ろくまる”越え。お見事!
フェザントテイル・ニンフでゲストのMさんが釣った”ろくまる”越え。お見事!

 シーズン中、必ずフライボックスに忍ばせているフライの1本がコレ、フェザントテイル・ニンフです。ピーコックハールをソラックスに巻いたものなどバリエーションが多く存在するパターンですが、私がガイド時に常備しているのはコパーワイヤで巻く本家風味のほう。汎用性がたかくいろんな使い方ができるパターンなので、日々ガイドが続く繁忙期ですら、フライボックスになければ、朝から2〜3本くらいチャチャッと巻いて補充するほどです。

 デザインしたのは言わずとしれた英国のFrank Sawyerフランク・ソーヤーさん。紹介したフィルムは、ソーヤーさん本人がフェザントテイル・ニンフをタイイングしているところを収めた貴重なものです。戦後のものとはいえ……ご本人のタイイングが見られるなんて……なんて素晴らしい時代なのだろう! アップしてくださった方に深謝です。

 このパターン、むろんニンフに分類されるわけですが、ニンフィングが苦手な方あるいは食わず嫌いな方も少なくないはず。そこで、ソーヤーさんがニンフの釣りをどのようにとらえていたのか、象徴的な記述をちょいとご紹介。『ニンフの達人たち』(原題は『THE MASTERS ON THE NYMPH』1979年。ティムコ刊)のご本人の章より、以下にその一節を抜粋します。

 

”(中略)スキューズが「マイナー・タクティックス」と言った釣り方は、今や世界に広がり、あらゆるタイプの釣り場で、何らかのニンフが使われている。まったく、今では、ニンフ・フィッシングを「メジャー・タクティックス」と言い、ドライフライを「マイナー」と呼んでもいいようでさえある。わたし自身は、どんな種類のトラウト・フィッシングよりも、ニンフィングがずっと好きだ。(以下略)”

 

 フェザントテイル・ニンフやソーヤーさんのニンフィングに興味がある方は御大の著作『Nymphs and the Trout』や『Keeper of the Stream』をご覧あれ。『Keeper〜』のほうは『イギリスの鱒釣り』(晶文社刊。倉本護訳。1990年)として日本語版で出版されていました。また、最近では『フライの雑誌』に島崎憲司郎さんが同フライについて詳しく書いてらっしゃっる記事(とても興味ぶかい内容でした)があったと思います。

 

 さあて、明日はゲストと氷上ワカサギ釣りの予定。楽しみです。


0 コメント

2016年

1月

15日

The Way of Trout

The Way of Trout

 新年明けましておめでとうございます。さっそくですが、今年から本ウェブサイト内にブログを設置することにしました。日々のことなど、ぼちぼちポストしていくつもりです。よろしくご覧くださいせ。

 

 記念すべき初回ポストはショートムービー『The Way of Trout』のご紹介。このフィルム、郷里・熊本のプロショップ『アウトハウスススキ』さんの店主、須々木さんにすすめられて見たのが30年ちかく前のこと。当時は私も紅顔のティーンエイジャー(笑)。仲間たちに先んじて、噂の舶来遊びの海の向こうの実際を一人コッソリ知ったようで、

「これ……キテる……!!」

 とブラウン管を前に興奮で胸がドキドキしたのでした。

 

 ともあれ、文字どおりマスの一生と、マスをとりまく自然、そしてフライフィッシングとのかかわりを、これほど簡素高潔に美しく、しかもわかりやすく描いた秀作って、それ以降現在まであまり見たことがありません。

 ナレーションと並行してBGMとして挿入されているオケ(オーケストラ)も素晴らしく、まるで初期ディズニーの名作アニメーション映画『Fantacia』(1940年)のよう。しかるべき楽器群で、それぞれのシーンの演出意図にぴったり合わせて演奏・録音・編集されています。

 撮影や編集はもちろんのこと、台本やナレーション、演出にかなったBGMすべてにいたるまで、まさに微に入り細に入り。特機撮影などによる目をひくようなカットなどが皆無であるにもかかわらず、”言いたいこと伝わりまくり!”の濃密なショートフィルムに仕上がっています。不要な字幕がないところもいいよなー。

 登場するフライもカッコいい! ジンジャーケイヒル、ファンウイング・コーチマン、グーファスバグ……そう、往年の銘パターンたち。アングラーが使っているフライボックスがLITE-TUFF FLY BOXであるあたりも、かぶれやすいタチの私は見逃しませんでした(笑)。

 劇中、マスは流下するナチュラルにライズを続けているのに手持ちのフライには出ないため、アングラーが川っぺりでタイイングを始めるあたりの一連のシークエンスなんてたまらない。70年代前半から始まるアメリカにおけるマッチング・ザ・ハッチの釣りの一大ムーブメントを鑑みても、このフィルムの先見の明に頭が下がるばかりです。

 

 制作されたのは今から47年前の1969年。アメリカのロッドメーカーでは、二人の若きトム御大によってTHOMAS & THOMAS社が創業した年でした。話ついでに、一方で西のほうのトム御大……トム・モーガンさんがWinston社の社主になったのはそれから4年後の1973年。なんとも時代が忍ばれるというものです。

 製作元はごぞんじ『TROUT UNLIMITED』そして、当時フライ業界のご意見番的メーカーだった『Scinetific Anglers/3M』による1本です。なるほど! でしょう? 尺は約30分。お楽しみあれ。


0 コメント