2025年
5月
19日
月
春の雨。
夜半から大雨になった日の翌日、増水の影響もあって朝からあちこち転々とした末、私とAさんが最後に向かったのは湖でした。訪れるのは昨年の10月下旬からおよそ半年ぶり。十勝からはお世辞にも近いとは言いがたい東の湖です。今回は緊急かつ代打的なチョイスだったため、事前に情報を調べることはもちろん相応の準備もなく、まったく何もない状態で向かいました。
さて、日本でスティルウオーターのフライフィッシングといえばウエーディングの釣りをイメージする人が多いと思いますが、昨今ポロシリが積極的にウエーディングの釣りを選択するのは、限られた条件の時だけ、です。
2012年の開業間もない頃から積極的にボートの釣りも楽しんできた弊社ですが、世界大会に初出場した2019年頃から米国以外の国々のスティルウオーター・フィッシングの知見やイディオムが加わり、この5年で加速度的に湖の釣りが進化しました。が、今回は雨で二転三転した”都合”から、消極的選択として、湖でウエーディングの釣りをすることになったというわけです。
春の湖の定石ってなんだ?
この日のAさんは、本格的な高番手ツーハンド・ロッドにスペイ系ラインの組み合わせ。私は前日のボートフィッシングでも使ったシングルハンド7番のタックルです。フローティングラインやDi-7など予備のラインが巻かれたスプール数個とフライボックスをパックに入れ、足元にトクサが繁茂する林を抜けて水辺に向かいました。
天気は晴れときどき曇り。水辺についてすぐの時点で気温は約21℃。表面水温は約10℃です。風は南南西から4mほど。時折、南からの生暖かい風が顔を撫でるように吹いてきます。バックキャスト・ルームもなく、逆風の時はキャスティングそのものが大変でした。後ろがないので前に出たいのですが、マスの行動を考りょしてできるだけ水には入りたくない。そのせめぎ合いの妥協点が私の選ぶ”立つ位置”になりました。
私が思う、この時期の湖の釣りの世界基準というべきセオリーの一つは、1回のキャストでできるだけ同じ⚫️⚫️の⚫️⚫️を⚫️⚫️ことです(←お好みの言葉を入れてください。詳しく知りたい方はクリニックにお越しあれ)。あとは、周囲をよく観察しながら、水温とマスの活性をイメージしながら、五感をフルに使って釣り進めていくだけです。
で、釣りを始めて15分経った頃。一度マスが岸から1mくらいのところまで、しかもフライに唇が触れちゃうくらいフライの真後ろを追ってくるのが見えました。あー、やっぱりいる! フライや釣り方が合っている時は、フライの後ろ追いかけるマスの姿を見たりするものです。
続投。でも、釣れない。でも釣れそうな気がする?
開始から30分ほど経ち、そろそろ移動かな? と思い始めた頃でした。遥か先を釣っていたAさんがこちらに歩いて戻ってきました。
「どう? 何か反応あったー?」と声をかけられて「えー? あれからこっちは何にも」と返した時でした。思えば、会話に気をとられてフィギュアオブ8やってた左手が止まったのだと思います。次の瞬間、ぐい! とお辞儀するようにロッドが引っ張られ、気がついた時には条件反射的にセットフックして、魚とのやりとりが始まっていました。なんてオートマチカリーな(笑。
ティペットは⚫️X。マスは思いのほか強く7番ロッドはバットまで曲げられ、ネットに入れるまでハラハラしました。まあまあのアメマスです。
55cm。久しぶりのウエーディングでのアメマス。さほど大きいわけじゃないのですが、予定や準備もなく不用意に手持ちの道具だけで、しかも午後から出かけた湖で、その時の条件判断と”運のよさ”で釣れた魚として嬉しい1尾になりました。やっぱり湖の釣りは楽しい!
たとえば、ロングキャストはできるのに、ライズしていないと湖ではマスが釣れる気がしないとお悩みのアングラーは、一度ポロシリのクリニックの受講をおすすめいたします。良いキャスターがよいアングラーと同義にならないのは、自然や釣りを知らないから。早く、正しく湖とマスを知ることができれば、その分だけ長く生涯楽しめるようになる。それはキャスティングも釣りも同じです。ぜひお気軽にお声がけを。
なお、このマスの動画は弊社インスタにもアップしています。合わせてご覧ください。フォローもぜひ。
2025年
5月
09日
金
チェコ共和国南ボヘミアで25日から。日本選手3名も出場
今年も5月25日から31日まで、欧州のチェコ共和国の南ボヘミア(首都プラハから200kmほど南)で第44回世界フライフィッシング選手権が開催されます。場所はドイツやオーストリアの国境に近いエリアですね。
今年日本チームからは、キャプテンの鈴木等さんはじめ、10年来の弊社のゲストである小野寺秀之さんら計3名の選手が出場します。どんな試合になるのか、とても楽しみです。がんばって! ポロシリでは、日々の試合のリザルトをどうお伝えしようか考え中です。
最初に、よくご存じない方のためにこの世界大会の試合についてのみ簡単に説明します(ルールは大会ウェブに英文にて記載があります)。
河川での試合=セッションでは、規定の時間、規定の区間(出場国の数に応じて複数の区間=ビートが設定される。今大会では3時間で150〜200mを釣る。どのビートを釣るかはドローによって決まる。選手が釣るビートの発表は当日目的地へ移動中のバスの中です)をバンクやウエーディングで釣ることができます。
スティルウオーターのボートのセッションでは他チームの選手と二人1組で1艇のボートに乗って釣りをします。同じく試合時間は3時間です。
ドライフライ、ニンフ、ストリーマーなどフライ選びや釣り方は自由。
釣り場の種類にかかわらずドライフライ、ニンフ、ウエットフライ、ストーマーなど釣り方は自由。ポイントは、釣ってネットに入れた20cm以上のマスの尾数(基本の得点になる)に”さ長”に応じて加点される仕組みです。
河川でも湖でも、選手には常時コントローラーと呼ばれる監査が随行し、マスのさ長の計測、釣り場での不正の有無などをチェックします。昨今の大会では1日に5つのセクター(会場。川や湖など)で1セッションのみ行なわれ、計5日間開催されます。
5日間の合計点がその選手の個人成績です。そして選手5人の合計点の合算で、その年の世界大会の優勝国が決まるという仕組みです。
気になる今回の試合の5つのセクターですが、1つがリザーバーのボートフィッシング、残り4つが川のウエーディングの釣りです。ポイントの対象になる魚種についてはセクターのページをご覧ください(種類多すぎ!)。今年は世界各国から31のナショナルチームが出場します。5日間の試合のリザルトは左の公式ウェブサイトに日々アップされる見込みです。
日本のアングラーが知らない世界のマス釣りの現在。
いささか乱暴な言に聞こえるかもしれませんが、実際のところ本大会こそ、地球上のF.F.によるマス釣りの”今”を牽引している最大の震源地といっても過言ではありません。マス釣りが好きなフライアングラーなら知っていて損はありません。注目していないなんてもったいない。日本人が大好きな”アメリカ”を例にあげてご説明しましょう。
”震源地”の証左の一つが新製品です。日本のフライアングラーはMade in U.S.A.の釣り道具が大好きですが、欧州諸国に比べ米国は、本大会のような競技にかんしていえば後発と目されている国です。それでも、フック1本からフライロッドまで、昨今は米国ブランドのマス釣り道具の新製品に競技由来のものがとてもたくさんあります。
また、日本の場合、輸入代理店の担当者が知らない、あるいは釣り方や使い方がわからないなどの状況があれば、とうぜん小売店の店主にも知らされていません。そのためコンシューマーが知らないだけで「競技で生まれたものだったんだ」という商品がたくさんあります。
近年米国のほとんどのロッドメーカーが、ユーロニンフ・ロッドや、コンペティティブなスティルウオーター用ロッドを設計・販売するようになりました。各種フライラインも同様です。これらについては日本でももはや周知のとおりですが、震源地はすべてコンペティションなんですね。
米国メディアではどうでしょうか。70年代から日本がお手本にしてきた米国メディアの一つ「FlyFIsherman」誌も、昨今マス釣りのメソッドの解説記事や動画では、チームU.S.A.出身者や現役の選手を頻繁に起用しています。選手へのインタビューなど音声のみのpodcastもたくさんあります。
また他の先進国各国と同様にユースのナショナルチームによるアングラーの育成もさかんになり、彼らは12歳から世界大会に出場しています。ユースがある国にはマス釣りの未来がある! 子どものF.F.など話題にすらのぼらないどこかの国とは大違いですね。
そう。米国のマス釣りは確実に変わっています。でも、地球上にはマス釣りの実際が30年前とほとんど変わっていない国があります。日本を筆頭に、台湾や韓国など、アジア圏の国です。日本といえばメディアや業界は本大会にほぼ知らんぷりを貫いています。この風潮、何が原因なのでしょうか?
現在メディアに露出中のマス釣りの”名手”とされている日本の著名人やフィッシングガイド、メーカーや小売店さんなど業界関係者の皆さんにポロシリから提案が一つ。ぜひこの試合にエントリーして世界の舞台で力を発揮し、プロモーションの推進力になさってみてはいかがでしょうか。
なんてったって「XXX大会で⚫️位になった原動力と言えるロッドがこれ、ラインがこれ、フライがこれ、テクニックがこれ」みたいなストーリーは”推し”に説得力がある。売れることまちがいなし、です。そして、子どもたちが育っていけば、日本のフライフィッシングの未来、マスが生息する環境の未来に着実につながります。興味のある方はぜひ!
2025年
4月
24日
木
スイセンの葉身が伸び始めたら春本番。
鮮やかな黄色のフクジュソウの花が盛期を過ぎ、スイセンが若い葉身を伸ばし始めたら、今年も春本番になった証拠。”春一番”のような強風が吹き荒れた日の翌日、川へ調査に行ってきました。
川のそばの入渓点に駐車したのは12時頃でした。そこから約3時間。自分の慣らし運転も兼ねてゆっくり釣り上がりました。
最近の私といえば、大型をねらっているわけでも数釣りがしたいわけでもありません。あるとすれば「その日その時の自然に合わせた効果的な釣り」がメインテーマ。で、あとはその結果があるだけ。
ライズがなければ水面下の釣り、意欲的なマスのライズがあればドライフライの釣り、のような感じで、その日その時々の自然に合わせてフレキシブルに、”引き出し”をすべて使いながら、できるだけ効果的にエキサイティングに遊ぶのが好き。大きいのは、釣れたらラッキーっていう程度。
「サイズは時の運だよな」。芦ノ湖の貸しボート店の名手・野崎さんもよくそう言ってらっしゃったっけ。
マイブームは"ミニマリスト"。
そんな昨今の自分のマス釣りにテーマがあるとすれば、その一つが”ミニマルであること”です。道具は最小限に、どんな状況やどんな釣りにも対応したい。まぁー、だからロッドもリールも一つで多用途・多目的に機能するものにしか興味がない。そう、LEATHERMAN社のマルチツールみたいな(笑。もう、徹頭徹尾バーサタイル路線です。
これは湖でも同じ。シングルハンド・ロッドでシングル・ドライフライの釣りだけを楽しむなら圧倒的に9フィート以下がいい。でも、ドライからウルトラ・ファストシンキング・ラインを使うあらゆる釣りまでをカバーする1本となると、レングスはもっと長くなっちゃう。コラムに書いたカセットリールもそんなミニマリズムのあらわれです。
これでも昔は、”着せ替え遊び”にハマってたんですけどね〜。あのバンブーにこのリールをつけて的な。ふつうに男子ですから。でも、そんな遊び方も40年ちかくやってなんだか少し飽きちゃった。北海道の片田舎に移り住んで、圧倒的な自然とマスが目の前にあるようになったから、でしょうか。
さて、そんなミニマリスト気取りの私がこの日水辺に持ち込んだのは、ロッド1本、ビバレリ本体が1個、異なるラインを収納したスプールが2個。そしてフライボックス(C&F社の防水のLサイズ。味はないし重いけど便利)が2個。これがおもな持ち物。あとはティペットやフロータント、水温計などの消耗品やアクセサリー類。ほかは軽くて大型のランディングネットくらい。That's it.
入渓してすぐの水温は10.5℃。相応のスポットをしばらく観察してもライズはなし。まずはニンフのセットアップで釣り上がることにしました。
少し釣ってわかったのですが、厳寒期に群れているようなプールにはマスの姿はすでになく、20cm以下の小型のマスですら川のあちこちに散らばっている感じ。ふつう低水温になると、マスはメタボリックレートの関係で大型しか釣れなくなっちゃうわけですが、もうその季節じゃないぞと。
合点承知。途中ライズを2回見つけてセットアップを変えようか立ち止まりましたが、いずれも散発で続きませんでした。
たしかに、よく考えれば1kmほど下流に1台車があったのですが、どうも先行者がすでに釣った後らしく(そりゃ昼に入渓してるわけですからね)反応はいまひとつでした。
昼からのんびり3時間釣って、釣果は計43尾。うち40cm越えが3尾、最大が写真の48cmの1尾でした。早めだったけどこれにて納竿。懸案だった実験もできたし、あー面白かった。人もいないし、春はいいなぁー。
数が釣れる人と釣れない人の違い。
いつもゲストに言ってることですが、その日のマスに合った釣り方をすれば数が釣れます。
釣れた尾数は、公約数的とはいえどその釣り方がマスにマッチしているかどうかの指標です。そして、小型のマスしかいないなど特殊な水域や状況を除けば、釣ったマスの数、すなわち分母を増やすことができれば否が応でも大型が掛かってきます。これは自然なことです。
道内での私の経験則による”感覚的な”確率をいえば、1日に20cm以上のマスを100尾釣れば、1〜3尾の50cm以上のマスはしぜんと混ざってくる感じ。そう、「オレは大型しかねらってないから小型は興味ない」みたいに大上段にかまえてなくても、ふつうに釣れるんですね。
また、1日にセットフックしたマスの数が相対的に少ない人は、やりとりのスキルを磨くことができずランディングの技術はいつまでも洗練されません。キャッチレートも低いままです。20cm以下の小型のマスが釣れた時やりとりの途中でバレても気にもとめない人がいますが、これもスキルが低い証拠です。
「このフライでこのロッドで、こんなマスをこんなふうに釣りたい」的な、自然やマスに自分の嗜好を押しつける釣りや、インターネット上の情報との答え合わせもいい。でも、目の前の自然にまっすぐ向き合って鑑みて、それにひたすら寄り添っていく釣りも楽しいですよ。
フライフィッシングは自然遊びです。流行やスタイル、新製品や買い物や、SNSや情報集めが先ではなく、そこにある自然やマスが先ですから。
「F.F.は釣れない」というアングラーは釣りそのものを誤認している可能性があります。釣り方でお悩みの方がいらっしゃったら、ポロシリのクリニックにお越しください。コンペティション譲りの技術は頼もしい杖になるはずです。
2025年
1月
01日
水
”自然をよく知る”
近年、スティルウオーターの釣りのクリニックをご用命いただいているゲストのAさんから、年の瀬に写真が送られてきたのでご紹介します。
レインボー77cm(カバー写真も同じマス)。Aさん、おめでとうございます! カッコいい! いやぁーよかったよかった。
ちなみにこれ、ガイド時の写真ではなく、ご自身が一人でスティルウオーターに行き、キャッチしたもの。すごいすごい。ここ数年、大型を確実に手にしているAさんは今や湖の名手そのもの。いやぁー参っちゃう。
さて、ガイドなどをともなわず、自分だけで行く湖やリザーバーの釣りの最大の要諦は何でしょう。エッセンスってなんだ? 新年だし、このブログを読んでらっしゃる方にコッソリお伝えしましょう。他言無用ですよ。
ポロシリに言わせるとそれはずばり、「自然をよく知ること」です。”知る”には、正しく”認識すること”の意が含まれてる。かみ砕いて言えば「スティルウオーターとそれを取り巻く自然そのものと、そこに生きるマスをよく知り、マスの行動を鑑みること」でしょうか。え? 拍子抜けしたって?
とっさに「そうか! それが必要だったんだ。もっと知りたい!」と思った”勘がよい”方。ポロシリのクリニックにぜひお越しください。
2024年
9月
28日
土
フライっぽくない?
カッコ悪いから嫌い?
北海道なら、洞爺湖、支笏湖、然別湖に朱鞠内湖、阿寒湖など。
関東でいくなら、芦ノ湖、中禅寺湖をはじめ、丸沼や大尻沼など、各地に点在するマス釣りが楽しめるスティルウオーター=湖や沼、リザーバーですが、バンクやウエーディングの釣りならともかく、ボートフィッシングが好きでいつも楽しんでいるというフライアングラーは、日本ではいまだごく少数のようです。
これまでいろんな人に聞いたところによると、「フライっぽくない」「カッコ悪い」というのが、ボート釣りをしない原因としていちばん多いようです。ポロシリに言わせると、そんなことをおっしゃる方は、おしなべて、世界各国の、ウォータークラフトによるフライフィッシングのリアルな現実をよくご存じではない方のよう。また、それらは偏った情報源ーー日本のメディアによる記事や動画、国内のメーカーのSNSなどしか見ていないなどーーによる知識不足、あるいは”食べず嫌い”が大半じゃないかと思います。
実際、マスが生息してボートが使える湖が相応にある北海道でも、プロのフィッシングガイドですら、相応のサイズのスティルウオーターに適したフィッシングボートを所有し、日々運用しているガイドはほとんどいません。なぜでしょうか。バスフィッシングの世界では考えられない状況です。
一方、日本以外の世界の実際はどうかといえば、マスのいるスティルウオーターでは、バンクやウエーディングの釣り以上に、ボートやフロートチューブなどウオータークラフトを用いた釣りが盛んです。国や地域によっては、むしろボート釣りこそ、マスねらいのフライフィッシングの中心といえる所もあるくらいです(某ラインメーカーの本拠地がその際たる例)。そしてそこには、岸からの釣りではなく、ボートのマス釣りがいちばん愛される理由がちゃんとあります(ここでは割愛します)。
マスが生息する国の大半では、スティルウオーターの、ボートによるフライフィッシングのコンペティションも頻繁に開催されています。また、日本ではまったく知られていませんが、トラディショナルなクリンカースタイルの船ーーC社やS社製のそれのようなーーそう、レイクおよびフライフィッシング用にデザインされた、美しいフィッシングボートだってあるのです。
こんな海外の現実を知らないのはもったいないことですが、言い替えればこれは、日本では今まだ大きなチャンスがあることを示唆しています。
ボート釣りの悩みと疑問点
ボート釣りの経験者の中には以下のようなお悩みをもっている方がいると思います。関東なら、芦ノ湖や中禅寺湖、丸沼などで、貸しボート店のレンタルボートで釣りをしたことがあるアングラーですね。中には自分でボートを入手して使ってみたいという人もいると思います。
●安全確保のために、何に留意すればよいかわからない。
●トローリングモーター(エレキ)のセットアップの基本を知らない。
●一人で出船すると、操船が煩雑で満足に釣ることができない。
●手こぎボートでもエンジン付きの船でも、思うようにコントロールできない。釣りがしづらい。
●何度かトライしたが、ボートはフライフィッシングには向いていないと感じている。
●危ない感じがして怖い。何が危険な行為か知らない。
●ボートを購入したいが、どんな船がよいのかわからない。
●ボート釣りのマナーやルールがわからない。
●風が出て波が高くなった際にどうすればよいかわからない。
ポロシリのボートフィッシングのクリニックでは、上記のような疑問や悩みに対して明快な答えや具体策を用意しています。
たとえば、トローリングモーターなどはバッテリーに接続すれば動くシンプルな動力ですが、基本どおり適切にセットアップし、定期的にメンテナンスしていないと、いくつかの原因で突然故障して動かなくなることがあります。もし沖で動力がなくなったらと考えると怖いですね。
クリニックでは、何よりボート釣りの基本を知ることができます。ボートなどのウオータークラフトの釣りを安全に楽しむために必要な知識と装備、ボートで釣りをするために欠かせない備品やアクセサリーは何か、その適切な使い方まで知ることができます。
また、以下のような疑問点もあるかもしれません。
●湖やリザーバーでは、ライズ、あるいは魚を見つけてねらう釣りしかできない。あるいは、釣れたことがない。
●湖のどこで釣りをすればよいかわからない。
これらは「スティルウオーターの釣り場選び」や「季節のスティルウオーターの釣り方」などのクリニックで解説している内容ですが、本クリニックと合わせて受講していただくことができます。
クリニック中にもしっかりキャッチ
ガイド(釣り場の案内業務)を兼ねているのですから当然といえばそうですが、今年9月中旬に二日間行なったクリニックでは、受講中にしっかりワイルドのレインボーを釣っていただくことができました。関東から来た、ボート釣り経験のあるゲストです。案内したスポットでは、ゲストのフロートチューブが一時ライズに囲まれる場面もありました。
この日のクリニックに用いたウオータークラフトは、都合によりボートではなく、オール付きのフロートチューブでした。でも、学んだ内容はそのまま各地の湖などのボートの釣りに活かすことができます。ウオータークラフトの種類がなんであれ基本は同じ。ユニバーサルなんですね。
クリニックを受講したゲストのAさんは、釣果があったことはもちろん、新しく得た知識の目を見張るような新鮮さと楽しさ、それを実践するワクワク感や興奮も手伝ってか、10月下旬までの北関東のスティルウオーターのボートフィッシングに活かそうと、にわかにエンジンが掛かっちゃったようでした。子どものように目を輝かせて、いきなりギアが一気に2段くらい上がった感じ。よかったよかった!
興味がある方はぜひ一度お気軽にご相談ください。初心者の方も大歓迎です。ボート釣りが楽しくなることはもちろん、湖の見え方が変わること請けあい。
引退年齢を伸ばす釣り。それがウオータークラフトの釣り
相応の年になればどんなアングラーでさえ足腰が弱くなり、いずれ川の釣りができない日が来ます。でも、スティルウオーターの釣りが楽しめる人なら、フライフィッシングの”寿命”を何年も長くすることができます。世界を鑑みても、ボート釣りの平均的引退年齢はかなり高齢です。
そして、シーズンを問わずよく釣れます。チャンスに気づいた人は、ポロシリに遊びに来てください。
なお、釣具メーカー、プロショップのスタッフやフィッシングガイドなど、プロ向けのクリニックもやっています。ご希望の方は別途ご相談ください。
2024年
5月
27日
月
湖の釣りはもちろん、時には川の釣りでも欠かせないフライラインのリトリーブ方法の一つのがこれ、フィギュア・オブ・8リトリーブ。フライフィッシングならではの基本動作です。
これ、「断続的」で遅いリトリーブが欠かせない場面では必須の動作。晩春から初夏にかけて湖でユスリカが羽化している時の釣りなど、スティルウオーターの釣りでは頻繁に使います。練習は、テレビ番組を見ながらなど、”ながら”でよいのでマスターしておきましょう。
このリトリーブ方法のファミリーの一つが「芦ノ湖フィッシングショップノザキ」の店主、野崎茂則さんによる「ノザキツイスト」。左に紹介した動画は回収したラインを下に落としていく方法ですが、野崎さんのそれは、手の中にラインをためていくのが大きな特徴の一つです。検索すればすぐに見つかるので、こちらもぜひトライしてみて。自由自在なリトリーブ技術あってのフライフィッシングです。
2024年
5月
03日
金
FIPS-Mouche主催のWorldやEuro戦において、ボートやバンクからスティルウオーターを釣るコンペティターたちの中で、フライキャスティングの重要なキーワードの一つといえば”170”の3文字です。
え? 聞いたことない? さもありなん。この記事を書いている2024年5月現在、インターネット上を”ググって”もこれらに関する日本語の記事や動画などは一つも見当たりませんでした。けれど、動画投稿サイトなどで”170”"Fly Casting"などのキーワードを入力して検索したり、ネット上を調べてみて。海の向こうではいっぱい、でしょ?
シングルハンド・ロッドによるスティルウォーターの釣りや、トラブルなく仕掛けを運ぶディスタンスキャストに興味がある人はぜひご覧あれ。
2023年
9月
29日
金
2023年
1月
25日
水
今年9月24日から29日、カナダのブリティッシュコロンビア州南部にあるカムループス市で、第8回になるFIPS-MOUCHEマスターズ(50歳以上)と、第2回の同レディースのワールド・チャンピオンシップが開催されます。詳細は上の画像をクリックしてご覧ください。
興味ぶかいのは試合会場とルールの変更点です。上記サイトによれば、川が2試合、スティルウオーターのボートフィッシングが3試合の計5試合と、ボートのフライフィッシングが盛んなカナダ西部らしい内容になっています。対象魚はレインボー、ブルック、カットスロート、マウンテン・ホワイトフィッシュの4種類です。
本大会のルールの変更点で興味ぶかいのは、全会場をとおして使えるのが
シングルフライのみ(!)になっているところ。またボートの試合では、1艇に2名のコンペティターが乗船し、コントローラー(試合時の監査役。平たくいうところの審判)も兼務するようです。
1月24日現在、登録を完了しているナショナルチームですが、マスターズ、レディースともに出場するのは、オーストラリア、カナダ、チェコ共和国、イングランド、オランダ、南アフリカ、アメリカの7カ国。どんな試合になるのか、今から楽しみです。
2022年
6月
30日
木
水温の上昇にともなって楽しくなってくる釣りの一つが、本流のストリーマーやウエットフライの釣り。ダウン&アクロスからのドリフトの最中にグーン! とやってくるテイクにはポロシリもシビれまくっています。
ここで一つ告白。誤解を恐れず言ってしまうと、ポロシリでは、スイッチロッドにスカジット系ラインなどを使う米国的トラウトスペイの釣りは、ずいぶん前から出番が少なくなりました。
スペイキャスティングが最高に楽しいという意見には両手(もろて)を上げて大賛成! そして、必要な飛距離を鑑みた際、それに不可欠なバックキャスト・ルームがない、あるいは満たない場所を釣るのなら、たった今もスペイ系ラインをセットアップします。でも……後ろに空間があるところが多いなら、ねぇー。スペイキャストで投げるようにデザインされたラインを選ぶ理由がない。現時点で、知っている限り、少なくとも私には。
以降、国際大会の出場も経験して、フライ群、仕掛け、タックルは洗練を重ね、2022年度版は(笑)さらにクリーンなテイクを得られるようアップデートしました。
先日は道内在住のゲストにリクエストを受けてクリニックに。ドリフトの実際からテイクへの対処までを解説したあと、午後から本流へ。何度かのテイクを経て、見事良型のレインボーをキャッチしていただきました。
これからは、ポンツーンを使った本流のドリフトの釣りも楽しい季節。川下りをしながらの釣りだから、人がほとんど来ないようなスポットを効率的に釣ることができます。複数のタックルを持参できるから、ウエットフライにバックアップでニンフなど、欲張りに楽しむことも。ご希望の方は事前にご相談ください。ガイド太鼓判の初夏のアクティビティです。
2022年
6月
30日
木
Dさんの6月の旅が終わりました。ある日の川では、およそ10時から15時までに釣ったレインボーの数は50尾(!)を越え(しかも大型を含む、です)、ご自身のQuantity(尾数)のライフタイム・レコードを達成しました。フリーストーンの川でモンカゲロウとミドリカワゲラ(モドキ?)の羽化が散見された日は、ドライフライ・フィッシングの道具だてでライズに対峙し、良型のニジマスを連発しました。
また、今回ご本人の希望で実現したスティルウオーターフィッシング。解禁初期の釣りから数えて3つめにあたる時期でしたが、湖の釣り初体験だったにもかかわらず、ご覧のとおり見事大型のアメマスをキャッチしていただくことができました(タックルはポロシリのレンタルを使用。その季節に必要なラインをご用意することが可能です)。終日タフな状況だっただけにそばで見ていたガイドのほうが興奮しました。Dさん、”熱盛”決定です!
さて、北海道の6月の湖やリザーバーの釣り。ハイシーズンだけに、週末になれば人気の場所は混雑することも少なくありませんが、そこはご安心あれ。ポロシリにはボートなど各種ウオータークラフトがあります。ドライフライの釣りはもちろんコンペティション譲りのメソッドで、どんな時も楽しく遊べること請け合いです。ご予約時にお気軽にお問い合せください。
2022年
5月
20日
金
東のスティルウオーター解禁数日後のようすです。風、雨、雹(ひょう)で水温が下がったり爆風で荒れたりとめちゃくちゃタフ(風で雲が押しやられると突如快晴に)。この時期は、私の中ではシーズン初期の第1段階。ユスリカのハッチもなく陸生昆虫が落下するわけでもなく、釣り方にはほとんど選択肢がない季節です。
かなり荒れた日は、漁協さんのシャトル利用でバンクフィッシングを選択。ボートフィッシングにも初期ならではの定石があります。バックキャスト・ルームがある時は、タックルはシングルハンド・ロッドに各種WFラインです。
ほとんどの場合アタリはかなり明瞭。アメマスたちのお腹は空いてる感じです。昨年晩夏からの産卵から回復したかなりパワフルなアメマスもいて、ファイトは楽しいことこのうえありません。
釣り方さえ見誤っていなければ、天候や水温がまだ不安定なアーリーシーズンの湖の釣りは、臨機応変な場所選びが釣果そのもののような。難しいからこそとても面白い釣りです。この時期、ぜひ一度遊びに行きましょう。楽しいですよ!
ガイド時は、ゲストが使っていないロッドは私が管理しますので、異なるラインを入れてセットアップしたロッドが数本あると便利です。効率が上がります。
2022年
5月
17日
火
2021年
12月
03日
金
今月最大のニュースは1日午後からの暴風でしょう。ポロシリの拠点である中札内村では観測史上最強の最大瞬間風速、36.2メートル(!)を記録しました。18時頃から大規模な停電が発生、ポロシリの停電が解消されたのは翌2日の22時30分過ぎでした。この強風により、道路用地の法面に立っていた高さ15mほどのハンノキは根こそぎ庭に倒れ込み、敷地内にあったカラマツ(高さ約20m)は中ほどから折れて飛ばされ、東側の道路を遮断してしまいました。先月11月の大雨といいこの暴風といい、何かが確実に狂ってきているのを肌で感じます。
さて、3年前の胆振東部地震の長時間停電を機に、ポロシリでは部分的に「わがや電力」化を進めました。これ、売電向けのソーラー設備ではなく自家消費目的のじつに小規模なもの。ウン十年先の廃棄処分時のインパクトもミニマムだし、自分で構築できるのでコストも最小限ですみます。何より発電および蓄電したすべての電力を自分で使うことができる。その場で使うのだから送電ロスもない。おかげで化石燃料を使うことなく、最低限の電力を得、最悪の難を逃れることができました。
アメリカ合衆国では10日夜から季節外れの大型トルネードが襲い、数十万人の罹災者が出ていますし、9月と10月下旬にはスペイン東部でも豪雨による災害が起こるなど世界各地で水害が起きています。
”経済”を盾にした自然破壊行為や、間接的であれそれらに加担するような行為はもうやめようよ。そう思わざるをえません。
2021年
11月
24日
水
気象庁発表の気象データによると、2021年11月1ヶ月間の十勝管区の降水量は平年比を大幅に上回る結果になったようです。特に! 11月上旬に降った雨は凄まじかった。管区内の各河川は増水して濁り、以降1週間から10日間ほどまともに釣りができないほど(複数の場所で、11月の最大1時間降水量及び日降水量で統計開始以来の記録更新になりました)。この雨による増水で、河川ではここ数年間足繁く通ったスポットの多くが消失してしまいました。中旬には一旦平水ちかくまで水位は下がったのですがその後ふたたび雨に見舞われ、下旬は水位が高い中での新規スポット捜しに。
さて、ポロシリには増水や濁りの際に用いる釣り方および専用のフライが数種類あるのですが、おかげでそれらのパターンの有効度を再確認することができました。ほかのフライに比べ反応は顕著そのもの。コツはキャストするだけ(笑。折からの増水と濁りで心配していたのですが、当のマスたちはよくエサを食べ肥っていてコンディションはいずれもすこぶる付き。長い冬を前にひと安心しました。一方スティルウオーターの釣り、場所によっては日中の気温が氷点下になりターンオーバーらしき影響が散見できる頃まで最高に楽しく遊ぶことができました。こちらも来シーズンが楽しみです。
2021年
11月
21日
日
10月は充実した1ヶ月になりました。ポロシリではもっともレクリエーショナルな釣りといえるライズねらいのドライフライ・フィッシングですが、これが例年に増して楽しいひと月だったかも。また改めて思ったのですが、釣りの種類の豊富さから鑑みれば、各種ウオータークラフトによるスティルウオーターのマス釣りは10月こそ年間でもっとも楽しい季節なのかも。
この時期、川は落ち葉の流入で釣りにならない日もあります。そんな日は釣りの内容そのものを切り替えましょう。偏見と先入観は敵です。これぞ限りある遠征の時間を最大限有効に使うコツ。ポロシリにはボートなど各種ウォータークラフトも、選りすぐりのレンタルタックルも、”釣れる”フライの在庫もあります。遠慮なくご相談ください。何より、時は金なりです。
さて、ここ数年温暖化の影響か暖かくなってきたとはいえ、10月に入ればマスが生息する河川の平均水温は10℃を下回るようになります。そのため、装備としてシンセティックやウールなどのベースレイヤーが必携です。下旬には時としてグローブやニットの帽子、襟元を保温するゲイターの必要性を感じることも(特にスティルウオーターの釣り)。万事備えあれば、です。
2021年
11月
19日
金
私が知らなかっただけですがお披露目。コンペティションではおなじみFish Coinさんによる、今年8月に開催された同フィンランド大会の”ハイライト編”というべきビデオがアップされていたのでご案内します。同大会、もともと2020年にフィンランドで開催の予定でしたが同年はコロナにより中止、延期されて21年に開催されたわけですが、団体で優勝したのはチームフィンランドでした。同チームはもとより強豪国ですが、ホストネーションのフライアングラーの意地をホームで見せるかたちになりました。素晴らしい!
そうだ。ここでご報告が一つ。来年の同世界大会のスケジュールが発表されています。日時は2020年9月25日から10月2日。場所はスペインのアストゥリアスです(フランスとの国境に近いリゾート地、サン・セバスティアンから300㎞ほど西にある州です)。ポイントの対象になるのはブラウントラウトとシートラウト(!)。詳しくはFIPS-MOUCHEのウェブサイトをご覧ください。来たる2022年シーズン、なんだか忙しくなりそうです。楽しみ!
2021年
10月
27日
水
今や秋の定番遊びになった感あるワカサギ・ドライフライの釣り。この時期ばかりは弊社でもレクリエーショナルな釣りをやっていて、ポロシリではもっぱらボートでガイドしています。アングラーで混雑する週末もへっちゃらだし、状況に応じていろんなスポットに行くことができます。
この日の風はおおむね南東の風3.5mほど。水温は高めで場所によっては13℃。南岸の人気スポットにはウエーディングしているフライアングラーが4名ほどいて、沖には相応のスカムラインが何本か発生していたのでしばらく眺めるも釣れる気配はなし。こちらも実績のある場所を当たったのですが反応がありません。その後、風向きと地図を鑑みながら複数の場所でトライするもボイルはなし。15時。最後に立ち寄ったのは、秋のワカサギの釣りの場所としては噂すら聞いたことのないスポットでした。
エンジンを止め湖面を眺めていると、船の周りにワカサギのシンコらしき4cmほどの小魚の凄まじい規模の群れ。”なんとなく”の勘がはたらいてここで待つことを決め、チャムを入れ始めて10分ほどたった頃でした。ボートより風下の北西側約30mで、凄まじい音とともにボイルが始まりました。
大型魚特有のエサを捕食する際の生々しい音と水飛沫でゲストは一気に”上がり”まくり。射程距離圏内に入ったところで2回チャンスが来て2回ともセットフックして、両方ともにバレて、無念の時間切れ。しかしながら! こともあろうかこんな場所だなんて……。スーパーファン!
2021年
10月
24日
日
都合上、小さなフライを使うことが少なくないコンペティターに好まれているノットがこれ ”ザ・シックスティーン・トゥエンティ・ノット”。18番や20番など小型フライのアイに6Xや7Xなど細いイトを結ぶ時に効果的と目されているノットです。なんでも、16番のフライで20ポンドのアトランティックサーモンを釣ったからとか16ポンドのサーモンを20番のフライ釣ったとか諸説ありますが、つまるところ”小さなフライで大きな魚を釣る時に効果的なノット”ということでしょうか。なお、検証したことはありませんが、Pitzen knot(ピッツンノット)やEugene Bend(ユージーンベンド)も名前が異なるだけで同じノットかも。北海道の各地のニジマスを相手にかなり使いましたが強度に不安はありません。ウェブ上を検索する限り、日本のフライアングラーにはほとんど知られていないようです。
右のビデオでやっているようにフライを通したループを本線を巻きつけるのもよいですが、私は本線をアイに通してループにして折り返し、タグの先端側を本線に3回巻きつけてループに入れて抜くほうが好き。あとは結節部を湿らせ、スリップさせて締め込むだけです。お試しあれ。
2021年
10月
22日
金
先日弊社サービスをご利用いただきました、神奈川県横浜市、港北ICそばにある「フライフィッシングショップなごみ」の遠藤さんが、ご自身のブログに、ポロシリでのフィッシングリポートを掲載なさっています(右は当該ブログをキャプチャーしたもの)。詳しくはこちら>をご覧ください(右の図版をクリックしてもリンク先にジャンプします)。
遠藤さんといえば、ライトラインのドライフライ・フィッシングからソルトウオーターのボートフィッシングまで、年間をとおして各地で精力的にあらゆる釣りをしてらっしゃる実践的エキスパート。雑誌への出演や執筆も多く、キャスティングの名手としてもよく知られている方です。
今回は3名でお越しいただき、秋の釣りを楽しんでいただきました。強風に冷たい雨とあいにくの天候続きでしたが、結果は上々でした。
ポロシリにガイドをお願いしてみたいが、本ウェブサイトだけではどんなサービスかわからない。客観的な意見を知りたい。そんな方はご予約の前にぜひご一読ください。
2021年
9月
30日
木
お盆までの猛暑がまるで嘘だったかのように、9月に入って北海道はめっきり寒くなりました。道内では平均的に暖かい地域である十勝ですら、日中の最高気温は27°c程度。ロングスリーブの化繊のカットソー1枚では朝晩は少し肌寒く、ソフトシェルや化繊のベストなどをパックに忍ばせて出かける気温に。例年、季節の変化に伴ってマスの捕食対象も顕著に変わるのもこの頃。盛夏にとても効果があったフライパターンがさほど効かなくなったことを知って、秋の始まりを実感しています。
視覚的には、山間部の木々の葉っぱが色づき始める頃から、好きな人にはたまらないとてもエキサイティングな時期が始まります。秋のライズの釣り、ドライフライ・フィッシングの秋の盛期の始まりです。
ポロシリでは川のみならずスティルウオーターの釣りにも熱をあげていて、ボートなどを準備していろんな釣り場に出かけています。これらを用いたスティルウオーターの釣りのよいところは、たとえ連休や週末でもさほど釣り人で混雑していない点でしょう。もう一つは、岸からのウエーディング時に比べマスの行動がよく見える点です。ガイドおすすめの遊び方です。
2021年
9月
16日
木
デッドドリフトを実現させるためのティペットの曲げ方や置き場所、フライの浮き方や姿勢にはこだわっているのに、イトの結びはサージェンスとクリンチ一辺倒。そんなドライフライ・アングラーにおすすめしたいノットの一つがこちらデイビーノット。日本語でも紹介されているので知っている人もいると思いますが、これまでガイドをしていてゲストの中で使っている人を見たことがないような。唐突ですが、改めてご紹介します。
このノットの利点はなんといっても仕上がりの大きさ。フライのアイにティペットを結ぶ際の定番の結びといえばクリンチノットのファミリーですが、それらに比べて結びコブがとにかく小さい。効果は言わずもがなです。さらに、とても速く結ぶことができるところも大きな利点。千載一遇のライズを前にフライ交換に手間どるのは切ない。秋のドライフライの季節、小型フライに使ってみてください。いろんな効果を感じられるはず。
2021年
9月
03日
金
ポロシリの夏の恒例メニューの一つがスティルウオーターのボートフィッシングです。例年、湖やリザーバーの表層の水温が1年で最も高くなる頃からがその盛期です。広域を釣る時は船外機付きボート、場所によっては一人乗りのポンツーンやフロートチューブを使います。真夏にボート? と思うかもしれませんが、盛夏でなければ成立しない釣りは湖にもあるんですね。
実際の現場は限定されていてライズもボイルもないのですが、フライに対するマスの反応はじつに顕著です。スイートスポットの位置、リトリーブレートやフィーディングデプス、フライなど、すべてをぴったりアジャストできると、ワンキャスト・ワンフィッシュになることも少なくありません。
さて、日本のフライアングラーにはなじみのうすいボートのマス釣りですが世界では事情が異なります。EU諸国を中心にカナダやオセアニアの一部地域では人気で、ヨーロッパなどでは湖やリザーバーでボートによるフライフィッシングの試合が定期的に行なわれているほどです。また、世界を同じテーブルに並べたなら、お隣米国は遅れている国に分けられるでしょう。
試合による恩恵は推して知るべし、です。ボートの使い方、釣り方と装備、タックル選びとフライ、戦術にいたるまで、日本のフライアングラーに想像できない水準ですべてが洗練されています。で、試合をとおしてそれらにガツーンと影響されちゃったのがポロシリというわけです。
トライしてみたい方は来年の夏にぜひ。一緒に楽しみましょう!
ガイドのご相談はCONTACTまで。
電話によるガイドのご予約・ご相談は0155-68-3016まで。
We are happy to receive your inquiry in English!
2021年
8月
23日
月
8月に開催されたFIPSワールド・フライフィッシング・チャンピオンシップのフィンランド戦が終了しました。結果は、地元フィンランド勢の圧勝に終わりました。個人総合、チームいずれもフィンランドが優勝。左の図版(公式ウェブサイトより拝借)をご覧あれ。個人総合のリザルトですが、なんと! 1位から5位までのうち4人をフィンランドの選手が占める結果に。チームでは、2位フランス、3位スペイン、4位スロバキア、5位イタリアと、常勝のナショナルチームが並びました。
さて、個人戦において開催国の選手がこれだけの数5位内に入るのは過去10年の大会を鑑みても例がなく、2016年のアメリカ合衆国大会で米国の選手が二人、2011年のイタリア大会でイタリアの選手が二人入ったくらいです。果たして今回は、コロナ禍による1年延期の影響があるのでしょうか。
ちなみに前回2019年大会の金メダリストは28位、2018年の金メダリスト(2019年は銀)は40位台と、強豪が軒並みランキングを落とした形になりました。次回大会は翌年、開催地はスペインのアストゥリアスです。
2021年
8月
09日
月
浮力のあるヤーンと小さな輪ゴムさえあれば、ドライフライ・フィッシングからすぐにニンフの釣りに変更できるとても便利な方法がこちら。コロラド州はデンバーにほど近いエバーグリーンの名ガイド、パット・ドロシーさんによるヤーン・ストライクインジケーターです。
この仕掛け、ヤーンとリーダーを結束しているのは直径約8mmの輪ゴムだけ。ヤーンの位置も変えやすく、イトにヤーンを付けるのも外すのも簡単そのもの。輪ゴムの中にイトを4〜5回くぐらせるだけというアイディアがなんともシンプルで最高なのです。
ワタシ、長〜い間ずっと内緒にしてました、ハイ。ウッシッシ(笑)。しかしながら、2021年8月現在日本語でいくら検索しても出てこないので、国内ではほとんど知られていないみたい。そうだ。パットさんが副オーナーを務めるコロラドの「ザ・ブルークイル・アングラー」のオンラインショップでは、専用のキットも販売されています。好きな方はどうぞ。
2021年
7月
30日
金
8月にフィンランドのクーサモで開催されるワールドフライフィッシング チャンピオンシップですが、朗報が一つ。
Facebookに左の投稿をしているJosh Walkerさん(2019年の世界大会時に知り合ったタスマニア出身フィンランド在住の映像クリエイターさん)によれば、8月12日から16日まで、YouTube Live経由で試合の模様をライブ配信するようです。
YouTube上での検索キーワードは、@fishcoin fly fish live です。お見逃しなく。
2021年
7月
28日
水
今年の夏からウエットウエーディングを始めました。ここ2週間以上すべてのガイドをこのスタイルで過ごしていますが、北海道とはいえ、30℃以上に気温が上がる日はこれがじつに快適です。熱中症予防にもなります。より優れた道具や方法はあると思いますが、参考までに私の例を披露します。
速乾性のあるボクサーブリーフの上にはくタイツは、ポリエステル90%程度とポリプロピレン10%程度の混紡素材の、薄手のものを選んでいます(下にamazonさんのリンクあり)。こちらの速乾性は及第点かもしれませんがひとまず試用中です。今のところ不具合もなく、耐久性もあるようです。
タイツの上からクロロプレン素材のウエーディング用(あるいは沢登り用)ソックス3㎜を履き、ウエーディングシューズを履きます。さらに脛(すね)の保護および保温のために、クロロプレン素材のゲーターを頸部に装着します。ゲーターは沢登り用のものを使っています(リンクあり)。
市場には、膝(ひざ)用のパッドを含む長いゲーターもあり過去に複数のものを使いましたが、長いものは概して使用時に下にズレ落ちてくる商品が多く、歩行時にきわめて不快でした。そのため、現在は頸部のみ保護するゲーターを使っています。膝が気になる人は、膝部のみのパッド(リンクあり)が販売されていますから、必要に応じて足せばいいと思います。
実際、こちらのゲーターではズレ落ちはいっさいありません。タイツの上に履いているショーツの裾に干渉することもなく、快適そのものです。
蛇足。ゲーターやソックスの、毛筆で書いたような「渓流」のロゴタイプは好きじゃありませんが、ソックスのプリント部分もゲーターのタブの部分のロゴも、どちらも使っている時には隠すことができます。なお、筆者の身長は170cmですが、ゲーターのサイズはLLでぴったりです。
最後に、車のシートの養生のために、防水性のあるシートカバーがあると安心です(リンクあり)。
2021年
7月
28日
水
昨年はコロナウィルスのため延期となったフィンランドの同大会ですが、今年はついに開催されることになりました。2020年も今年の試合も、私はチームジャパンの選手としてフィンランド戦に参戦予定だったのですが、さまざまな理由により、今年日本チームは出場を見送ることになりました。
実際のところ、カナダやアメリカ合衆国、ニュージーランドやオーストラリア、アジアのほとんどの国が本大会の出場を見送っており、参戦を決めた国はすべて、スカンジナビアを含むヨーロッパ諸国です。まぁー、世界大会とは名ばかりの事実上のヨーロッパ大会の様相を呈しているわけです。しかしながら、地元フィンランド(4)はもちろん、スペイン(3)、イタリア(5)、フランス(1)、チェコ共和国(2)、そしてイングランド(8)など、世界が注目する欧州の列強が参戦するのですから、試合そのものは面白くないわけがありません。()内は2019年大会のチーム戦順位。
5日間の試合内容ですが、ウェブサイトによれば、本大会では3試合が川、残る2試合が湖のボートの釣り(ドリフト)に決定したようです。世界のトップ選手たちがーーあの広大で、スリックで、グライドが続くーーフィンランドの川をどう釣るのか、湖でどんな戦略を展開していくのか、興味は尽きないところ。左の公式ウェブサイトをはじめ、世界各国のフライフィッシングのメディアでは日々報道が行われるはずです。ご注目ください。
2021年
7月
01日
木
フライリールのスペアスプールに巻いたラインが外れたり絡んだり、ラインの先端がどこにあるかわからなくなる、そんなトラブルを防ぐアクセサリーといえば……そう! 昔から、スプールテンダーあるいはラインタマーと相場が決まっています。え? どちらもご存じない?
素材はたいていクロロプレン製で、同素材製のウェーダーを製造していた頃のSimmsはもちろん、Ross Reelsなどリールメーカー各社などでごく普通に販売されていた商品です。しかしながら最近めっきり見かけなくなったような。いまどきのフライアングラーはスペアスプールを使わないのでしょうか?
時間をかけて捜せばそれらのデッドストックだって世界のどこかにあるのでしょうけれど、同じ製品で、サイズと量を必要なぶんだけ簡単に手に入れたい。で、たどりついた答えがこれ、「マジックバンド 結束テープ両面20㎜」。幅20㎜のこのテープ、表側がメス、裏側がオスになったいわば両面タイプのマジックテープです。要は保管したり持ち歩いている間、スプールに巻いたラインが外れてきたりタングルしなきゃいいわけですから。
今のところ不具合はいっさいなし。他社の同様の製品のことはわかりませんが、下にリンクを貼ったTRUSCO社のテープに関していえば、テープそのものに適度の”コシ”があってスプールに巻きやすい。おすすめ。
2021年
4月
28日
水
2021年
3月
01日
月
ことシングルハンド・ロッドを使うトラウトフィッシングにかんしていえば、一昨年の暮れ、タスマニアで開催されたワールド・チャンピオンシップへの出場をきっかけに、たくさんのことが変わりました。
顕著な例の一つが釣り道具です。湖やリザーバーなどスティルウオーターの試合に使うフライリールはカセットリールになりました。そう、半透明や透明の樹脂製スプールを使うアレです。実際に使うと、しかるべき状況に向けてよく練られた仕組みのリールであることがわかります。
日本のフライアングラーにはまるで人気のないカセットリールですが、リザーバーなどでの競技が盛んな欧州ではごく標準的な選択のようです。試合でいつも表彰台に上っているような腕利きのコンペティターの多くが使っているのも、普及の後押しになっていると思います。
昨今はお隣米国でも、川であれスティルウオーターであれ、競技を揺籃としたメソッドが急速に広まりつつあります。理由は、ほかのメソッドに比べて理にかなっているから、でしょう。世界じゅうに販路をもつような大手フライロッド・メーカーやフライライン・メーカーの新製品も、その証左にほかなりません。母国のウェブサイトを注意ぶかく見てください。
ボグダンはそりゃカッコいい。でも、カセットリールもいいですよ。
アメリカンブランドが好きならOrvis社のリールはいかが? ラインキャパシティWF7F+100ヤード(20-lb. Dacron® backing)で、スティルウオーター用にぴったり。
2021年
2月
20日
土
2020年
9月
03日
木
ことニジマスにかんしていえば、一般的にーー最適水温は9℃から18℃、適水温は3℃から21℃、生存範囲が1℃から23℃ーーなどといわれているわけですが、今年の8月は暑かった!
日によっては日中の最高気温が33℃、場所によっては水温が25℃ちかくまで上昇した(ごく一般的なニジマスの生息域です)。時には、水温の高さのあまりマスがスローになって昼間は釣りにならず、ランチのあとはゲストと日陰で午睡をとった日も。本当にこれ、北海道? と言いたくなっちゃうような。おかげで、道具を購って来年からウエットウエーディング始める決心がついた。それくらい今年は暑かった。でもこうして振り返ってみると、不思議と例年の同じ時期以上によく釣れ、面白い釣りが楽しめたひと月だったという印象です。大型も出たし数も釣れた。
今年の8月、ポロシリといちばん遊んでくれたのはニジマス、次いでヤマメ、次がアメマスでその次がエゾイワナ、最後がオショロコマ。
特筆すべきはヤマメでしょうか。7月以降、尺にこそ届かないものの、9寸クラスまでは本当によく釣れました。どのヤマメも肌艶がよくコンディションが素晴らしい幅広で、本州から来たゲストはみな小躍りして喜んでた。ヤマメ釣りが好きな人は来年ぜひ遊びに来てください。
そうだ。竹やグラスなどのショートロッドで楽しむオショロコマのドライフライ・フィッシングも、ポロシリでは例年8月中旬までの時期をおすすめしています。こちらも合わせてどうぞ。
2020年
8月
31日
月
8月上旬の休日、ポンツーンボートで川を下ってきました。新しいリッフルやランはできていないか、”ポイント”のリサーチが目的だったのですが、久しぶりの川旅は想像を越えてとても楽しかった。
さて、釣り人の中には、ボートやカヤックなどで川を下る人またはフネを極端に嫌う人がいます。
人は、自分の知らないことに対してあからさまな嫌悪感を示すことがあります。でも、いうまでもなく川は誰のものでもない。そして、たとえルールはなくても、川で遊ぶ人にはマナーと想像力が必要。川で遊ぶ者どうし、相手をおもんばかる力が必要なのだと思います。
経験のない人は、プロのガイドが川下りやってるところに釣りに行った方がいい。そう、モンタナ行ってフロートトリップやってみたら、この拙文の意味をわかっていただけるはず。あの開放感や楽しさといったらないのです。ミズーリも、ビッグホーンも、イエローストーンもビーバーヘッドも、フロートトリップ抜きにして、その川の釣りの深淵を語ることはできない。そうだ、アイダホの銘川、シルバークリークはご存じでしょうか? 彼の地なんて、近所のキャンピンググラウンドに長期滞在して、毎日フロートチューブで川下りしながらフライフィッシングを楽しんでる連中すらいる。そして、どこの川であれ、ウエードトリップやってる人も、川下りしながら釣りしている人も、おんなじ川で楽しく遊んでる。
世界のいろんな国から釣り人が訪れるようになった今、十勝や北海道の地付きの釣り人に必要なのは、そんな世界のフライフィッシングについての見識や想像力なんじゃなかろうかと思います。
2020年
8月
05日
水
「今回の経験とそこから得たインスピレーションは、来シーズン以降、ポロシリにいらっしゃるゲストのみなさんと共有できるものと信じています」。
そんな一文を書いたのは昨年12月のブログ。それが、ここにきて結果となってあらわれてきたような。写真を載せてはいませんが、おかげさまで今年の7月はここ数年でいちばん、多くの大型に恵まれたひと月になりました。
例年7月にもなると、春に産卵に参加した大型のニジマスも体力を回復し、本来の瞬発力と力で最後までねばり強く抵抗するようになります。特に標高のある山岳渓流の大型ニジマスとのやりとりが本当に面白くなるのは7月下旬からでしょう。季節の進行が早い平野部の河川ならともかく、いわば”産後の肥立ち”の時期に山岳渓流で大型のニジマスを釣っても心が痛いばかりです。
春の満身創痍から回復した盛夏のパワフルなマスを掛けて確実にネットに入れるのは大変です。60センチを越えるような大型でも全身を見せてなんどもジャンプをする魚が多く、バラさずネットにおさめる確率を上げるためにはスキルを要します。また、道具も同様で、ポロシリではひたすらタックルのバランスを重視しています。イトとハリの強度のバランス、リールのドラグの滑り出し具合やセットアップなど、全体に最良のバランスを求めています。
盛夏の渇水時は水温が高く、水中の酸素が少なめです。魚体への負担を考えれば大型であればあるほど速やかなキャッチが求められます。クリック&ポールのリールはカッコいいけど、こと盛夏に大型のマスと長時間のやりとりをするのは避けたいところです。あ、大型のリリース時に、酸素の多い流れの中で時間をかけて回復を待つのも盛夏です。
2020年
8月
03日
月
例年6月はゲストといろんな釣りをしています。
今年は新型コロナの影響で5月の時点でキャンセルが相次ぎ、例年のような忙しさになったのは6月第1週の終わりからでした。
それでも、いつもと同様に、湖のショアからの釣り、湖のボートの釣り、川と、さまざまな釣りを楽しみました。湖ではシングルとツーハンド(そのうえ、ボートとウエーディングがあります)、川ではシングルの釣りはもちろん、水温もまだ盛夏ほど高くはないため、秋から冬にかけての時期と同様に日中に大きな流れでスイッチロッドなどツーハンド・ロッドの釣りが楽しめる季節でもあります(流下するエサを意識した釣りがぞんぶんに楽しめるという意味では、秋冬より面白い!)。
仮に「1日楽しくマスと遊ぶことができればよい」とするなら、ドライフライ、ニンフ、ウエットフライ、ストリーマーというように、季節の進みぐあいやその日の天候など状況に合わせて、もっともエキサイティングな釣りが楽しめるであろうメソッドに小刻みに変えていくのが理想です(ポロシリでは、釣りの内容は”おかませ”のゲストがいちばん多い)。大型がライズしていればドライフライ、なければ即座にほかのメソッドといった感じです。
もっとも、多くの種類の釣りに対応すれば、用意すべきフライやライン、ロッドの種類が多く(さらにはボートや備品などの準備も)、頭の切り替えはもちろん、集中力と時間を要します。しかしながら、こんな煩雑さも1年に一度です。6月恒例の楽しみのうちと割り切っています。
2020年
7月
24日
金
前後しますが、今年5月の話。
新型コロナの影響で、いただいていたご予約のほとんどがキャンセルになったのですが、釣りそのものは例年に増して楽しい5月になりました。右の写真をご覧あれ。
印象深かった出来事が三つ。一つめは、最後の最後でバレちゃった大型ニジマス。最初下流に30mほど走られたのですがどうにか寄せ返して……そう、トップガイドにリーダーが入った頃、理由がよくわからぬバラシでおしまいに。イトもハリも問題なしでした。マスは丸々と太った推定60センチくらい、エラのあたりが真っ赤に染まっていたのが印象的でした。おそらく、この時期ならではの特定のエサを捕食していたんだと思います。おかげで仕込みのプランが。来年が待ち遠しい!
二つめは、これまでのキャリアでもっともすごい一荷(一度に2尾釣ること)を経験したこと。その日掛かったのは、60台のアメマスと50台のニジマスの2尾(笑。おそらく、先にアメマスが掛かって次の瞬間にニジマスが食ったのだと思います。やり取りの終盤、より大きなアメマスを先にネットに入れた瞬間、なんと! ネットのハンドルが折れるハプニングが発生。やむを得ず残りのニジマスはハンドランディングすることに(笑。けっこう寒い日だったのに上半身びしょ濡れになった。でも、無事キャッチしました。
三つめは、暴風雨の荒れた日にツーハンド・ロッドでロングキャストし、遠くでフッキングした大型アメマスと思しき魚。ハリがかり直後から相手はすごい力で頭を左右に振って抵抗。水面に近い深さで掛けたため水飛沫まで見えました。高番手のサオを水面に向けしっかり曲げて応戦したのですが、これもまた理由不明のバラシ。残念無念。
いずれの釣りにも課題ができました。来年の5月が楽しみ。
2020年
7月
19日
日
ネットを新調しました。世界大会前の昨年秋から数えて3本めのネットです。
これらのネットを選ぶ際に掲げた条件は、1、ネットバッグの素材が化繊で目が細かいこと 2、フープが大型(縦45〜50センチ)であること 3、軽量で頑丈であること 以上の三つでした。コンペティションの見地からすれば、2や3はごくしぜんな条件だし、1はFIPS-Mousheのルールにも見合っています。参考までに、下記がその条文です(「COMPETITION RULES 2019」より一部抜粋)。
"The mesh material of a landing net must be rubber/silicon (preferred) or a non-abrasive synthetic or soft cotton material. Nets must now be of knotless construction."
しかしながらこれら、日本のフライアングラーに人気の、銘木のグリップに”手編み”のクレモナ製バッグが付いた工芸品的ネットからすれば対極にあるようなネットですよね。今回ご紹介するこのネット(米国F社製品)も、国内で意思的に選んで使っているのは、まぁー、まぎれもなく私だけだと思います(笑。なお、現時点で日本国内には輸入代理店はありません。
2本めに購入したフランスP社製のネットはとても軽くて気に入っていたのですが、今年の5月、マスをすくっている時にハンドル部のカーボン製シャフトからぽっきり折れてしまいました。おそらく、まったく別の時にシャフトを傷つけていたか、あるいは何か圧力がかかっていたのだと思います。残念。こちらはもう一度購入するかどうか検討中。
さて、本品のフープは丸みを帯びたティアドロップ型。縦が18インチ、横幅が13インチあります。それに、長さ約7.5インチのハンドルが付いています。フープの大きさや形状は先に使っていたP社のものとほぼ同じです。
ネッティングマテリアルは、メーカーによれば”タングルフリー・マイクロメッシュ”。実際には、化繊製の細かいメッシュにラバーをコーティングしたバッグで、商品名もなるほど「タングルフリー・ウエーディングネット」といいます。タングルとは、もつれる、絡まるの意味です。
新品時(写真左)、ハンドルのお尻に付いていた、ぜい弱そうなランヤード(クリップ付き)は根元でカットし、代わりにエポキシ系接着剤を充填して真鍮製のヒートン(直径約5.8ミリ)をねじ混込みました(写真右)。
昨年秋からの1本め、2本めに比べ、自重が少しだけ重い点、バッグの深さが13インチしかなく、あと数インチ欲しい点だけが今のところの及第点ですが、フープの大きさと形、ハンドルの長さなどとても満足しています。
また、日頃から使っているハリの9割以上がバーブレスですが、試合さながらにマルチプルの仕掛けを使っている際フッキングしたマスを取り込んでも、ハリがバッグに絡むことはありません。また、カエシの付いたハリが引っかかってもラバーコートゆえすぐに外れますから、最短時間で次のキャストを始められます。まさにタングルフリーです。
商品の到着から1週間ほど毎日使いましたが、すでにハンドル部のラバーコートが剥がれてきています(写真右上)。このあたりの品質は購入前から想定内です。すべて剥がれた時に滑るようなら、テニスラケット用のオーバーグリップを巻いて使おうと思っています。
おかげさまでガイドは堅調です。現在は、適度な雨量のおかげで真夏の大型ニジマスねらいの釣りが最盛期です。アメマスも釣れていますし、ヤマメが好きな人なら、小顔で背中の盛り上がった大型ヤマメ釣りも楽しいですヨ。蛇足ですが、今年はヒグマの糞や食痕をよく見かけます。釣りの際は気をつけて。
2020年
5月
02日
土
2020年
4月
07日
火
2020年
1月
20日
月
今日紹介するのはこれ、Rigging Foam。昨今欧米では、さまざまなフライ用リギングフォームが発売されてるの、知ってました?
右の動画では、日本の製品らしきOrivis社のDropper Rig Fly Box、ティペットのスプール外径に近いサイズに仕上げられたLoon Outdoors社のRigging Foamsや、Cliff outdoors社のThe Deuceが紹介されている。ほか、同様の商品に、ヨーロッパのアングラーに人気があるAirflo社の製品、米国で新しいといえばDRY FLY ARMORY社のRIGUPSなどがあります。
さて、”仕掛け巻き”を使う利点はご想像のとおり。一つは、事前にいろんな仕掛けを用意することができるので、現場の時間を最大限有効に使うことができること。なんてったって時は金なり、ですから。
二つめは、空いている仕掛け巻きがあれば、今使っているリグを再利用できる状態に速やかに収納できる点。ドライフライの次はニンフ、その次はドロッパーのついたウエットフライ……のように、状況に応じてさまざまなリグおよびメソッドを用いたい上級者なら、重宝することこれ請け合い。
三つめは、商品のデザインや素材が進化したことによって、ダブルやトリプルなど、マルチプルのフライをチームにしたような複雑なリグでも、収納、取り出しの双方がスムースに行なえるようになったことです。
ユースフルな現代版仕掛け巻き、お一ついかが?
(1月22日追記)下記”ペスカ”さんのコメントより情報追加。SMITH CREEK社には、同様の仕掛け巻きにRig Keeperという製品が。お値段は税込2,970円だそうです。こちらは、国内の輸入代理店さん経由で販売されている商品だから、全国のリテーラーで入手しやすいかも。
2020年
1月
16日
木
2020年
1月
14日
火
昨年の夏に買い足しておいたのがこちら、グラバー社はスペースブランドのオールウェザー・ブランケット。気づいた時には新宿職安通りのエイアンドエフさんで売ってたから、けっこうなロングセラー商品だと思う。
これ、ひと昔前まで同店では「スポーツマンブランケット」という名で売ってたと思う。現行の4色のほかにグリーン系のカモ柄もあった。
さて、今が旬の氷上ワカサギ釣り。釣り座にはいろんなスタイルがあるが、私はもとより床に胡座(あぐら)派。
PEラインと水面がつくる表面張力の動きを見て取るような”目アタリ”は、折りたたみ椅子に腰掛けていてはちょっと。サオ先と水面の位置を近くできるのも胡座をかく利点だ。折りたたみ椅子に比べて荷物は増えるけど、ストライクの取りやすさには変えがたい。
実際に尻がおさまるのはサーマレスト社のマットレスの上だが、氷上には最初にこのブランケットを敷く。適度の厚みがあり相応の耐久性がある。バルキーだし重さもあるがバックパッキングに行くわけじゃない。
サイズは長辺が約210ミリ、短辺が150ミリくらい。感覚的にいうなら、ちょうど2人用テントのフットプリントくらいの比率および面積だ。だから、我が家では夏のキャンプ時のテントのフロア用としても愛用している。何かと便利で使う頻度は高い。探せば1枚3,000円くらいで購入できます。
2020年
1月
05日
日
おまけ編。今回タスマニア大会の試合会場に選ばれた河川はいずれもダム下の流れとあってか川床がツルツル、ひじょうに滑りやすく遡行しづらい川でした。そんな中、同じセクターにいたモンゴルの選手がソールにつけていたのがこちら、モンタナ生まれのスタッド ROCK TREADでした。彼のシューズには、ソールからはみ出さんばかりに(実際には少々はみ出していたと思う)大小の円盤がいっぱいくっついていて、最初見た時は一瞬なんだかわからなかった。
これ、シューズのメーカーも問わなければ、ソールの形状やパターン、素材に関係なく、どんなウエーディングシューズにも装着できるユニバーサルタイプのアルミニウム製スタッド。しかも、こんなアクセサリーでは今時珍しいMade in U.S.A.なのであります。ちなみにRubber & Felt FIXED Soles kitが$59.99。インストールは意外に簡単みたい。詳細は同社のウェブサイトをご覧あれ。
タスマニアのフライショップessensial FLY FISHERでは、昨年11月下旬に同社の商品はすでに店頭に並んでた。しかしながら、この記事を書いている1月3日現在、インターネット上をGoogleを検索する限り日本国内で同商品を販売しているところは見当たらないし、ブログなどでニュースにもなっていないような。同社のウェブサイトを見る限り日本の正規輸入代理店もありません。
交換式ソールからクランポン、今回のROCK TREADSまで、近年のウエーディングシューズの進化ときたらない。シューズのトラクションは切実なテーマだけに、今後大手メーカーがどんな商品をリリースするのかすごく楽しみです。
2020年
1月
03日
金
スティルウオーターの3試合で使ったストリーマーに次いでドライフライを紹介したいところですが、ポイントに貢献した順番ということで今回はニンフを。
右はタスマニアのフィッシングガイド、Bill Beckビル・ベックさんによるKrystal Flash Nymphクリスタルフラッシュ・ニンフです。これ、じつはすでに十勝の川のニジマスを相手に何度となくいい思いをしているパターンで、今回はブラウンを相手にミアンダーリバー戦でポイントに貢献してくれたニンフです。
考案者であるBillさんは、リザーバーに生息している当地のメイフライに合わせて茶色のウルフパターン(サイズ#10)とチームで使っているようですが、川でも、またニンフだけで使用しても効果があります。右の写真ではバーブのあるフックに巻かれていますが、試合ではバーブレス・フックを使いました。
オリジナルはサイズ#14、ソラックスのマテリアルはアントロンのチェストナット。ウイングケースとテイルはブラウンのハックルファイバー、アブドメンはフライ名のとおり、クリスタルフラッシュです。
以下は、その使い方の例です。essential FLY FISHERさんのページより転載。
"For the last few seasons this fly has taken the most fish of any pattern used. Normally fished 3ft under a big indicator fly like the Brown Wulff with a fluorocarbon dropper. This fly appears to imitate the sub surface mayfly nymph during its emerging phase and is as effective during a hatch as before. Fished best with a floating fly line. If fishing by itself try a very slow figure 8 retrieve, just keeping in contact with fly".
釣り場ごとのレギュレーションは考慮しなければなりませんが、上記の釣り方は、モンカゲロウなど日本国内の湖のメイフライの羽化時の釣りにも流用できます。ボートでもウエーディングでも楽しめるメソッドです。
2019年
12月
30日
月
今回の記事では、実際に試合で使ったフライパターンの中から得点に貢献したフライをご紹介しようと思います。マスがフライを口にしている写真がないのが残念ですが、試合中だったため悪しからず。今回は、日々とんでもない強風や吹雪の中、湖でのボートフィッシングの試合が3試合もありましたので、まずはストリーマー編からどうぞ。
右上はMagoo(マグーと呼びます。Mcgooとcを入れて表記されることもあり)という、リザーバーの点在するタスマニア、およびオーストラリアではよく知られたストリーマーです。ヘッドは、特徴的なオレンジや、コパーの各種ビーズヘッドを巻き留めたものを主体に、スレッドでオレンジのヘッドを作ったアンウエイトのものがあるなど、さまざまなバリエーションが存在しています。
天候が荒れて水生昆虫のハッチがない時などに、各種シンクレートのシンキングラインと一緒に使います。タスマニアでは必携のパターンのようで、事実、3試合ともに湖のボートの釣りで活躍したストリーマーです。
下のHumongousは、おもにUKで見かける1本ですが、タスマニアでも人気があるようです。基本的にスティルウオーターのパターンですが、テイルウオーターなど河川でも実績があるとか。右の動画では、ボディはシルバーのティンセルシェニール、テイルは黒のマラブーですが、ゴールドのシェニールで仕上げたものやテイルが白のものなどもあります。また、ムービーのものはビーズチェーン・アイですが、ビーズヘッドのもの、アンウエイトなどのバリエーションも。
日本人の感覚からするとなんとも垢抜けない感じがするフライですが、その実力から、ボートの釣りがさかんなスコットランドやイングランドでは根強い人気があります。また、ごく普通のウーリーバガーと同様に、世界大会に出場しているコンペティターの多くが常備する定番パターンのようです。
今回はペンストック戦にて、ブラウン相手のパターンとして貢献してくれました。使い方は上のMagooと同様です。 フライ名ですが、あえてカタカナで書くとヒューモンガス、でしょうか。
世界でもスティルウオーターのマス釣りに”多くのフライアングラー”がかかわっている国や地域といえば、イングランド、スコットランド、アイルランド、タスマニアあたり。洗練の度合いは私たち日本人の想像を超えています。(続く)
2019年
12月
16日
月
川や湖沼など淡水のマス釣りであるにもかかわらず、日本では世界大会や、その釣りの実際はほとんど知られていません。フライフィッシング業界を牽引している日本のメディアはそれらを取材・報道していませんし、関係者で試合に出場したという人も聞いたことがない。小売店はもちろん、著名人、メーカー、輸入代理業者も、その実態をよく知りません。これでは、趣味で楽しんでいる人が知らなくても無理もありません。
でも、これって本当にもったいない。大会のことはともかくとして、釣りそのものには、競技によって洗練されたエッセンスがたくさん詰まっているからです。
競技の環境や実態において、日本が世界にひどく遅れをとっているのも事実です。たとえば、ユースチームの存在はどうでしょう。参加国こそまだ多くないものの、世界ではすでに18回もユースの大会が開催されています。米国では、日頃から寄付を募り、アパレルメーカーや用品メーカーなどがスポンサーについて活動を支援しています。ユースの役員には、日本でも知られているジョー・ハンフリーズさんも名を連ねています。活動は多岐にわたり、定期的な練習やクリニックなどはもちろん、河川の保全活動まで組み込まれています。
なるほど、そりゃ選手層に厚みがあって当然というよりほかありません。だって業界自らが、子どもたち、すなわちその国のフライフィッシングの遥か先の未来までを育てようとしているのですから。日本はどうだ?
私が世界大会のをことを知ったのは約20年前の2000年頃ですが(知人が参戦しました)、今回エントリーを決意した当初の理由は、当代きってのコンペティターのマス釣りを自分の目で見たくなったからです。また、これらの世界大会を揺籃に、より洗練されたモダンなマス釣りのメソッドが誕生したり、今をときめく気鋭の名手が何人も輩出されていることを知っていたからです。
試合に出場した結果、想像した以上の量と質で大会の洗練を受けました。恩恵は少なくなかった! そして、知らなかったことが大量にあったことはもちろん、自分が知らなかった内容にも驚きました。
おかげで、長期的なプランとしていつか実現したいテーマや、具体的に来シーズンからポロシリのサービスに導入・提案するコトができました。川であれ、湖の釣りであれ、さらに楽しみが増えたというわけです。また、フォローすべきヒト、コト、モノなどについても、新しいテーマが見つかりました。日頃からシリアスに取り組むべきことがなんであるかも、少しだけわかったような。
今回の経験とそこから得たインスピレーションは、来シーズン以降、ポロシリにいらっしゃるゲストのみなさんと共有できるものと信じています。
大会や競技そのものがどうこうということではありません。日々の釣りに落とし込んで、できるだけたくさんの人がその効果に驚いたり、マスたちの反応を楽しんでこそのエッセンス、です。ぜひ一緒に楽しみましょう!
十勝の釣りは、さらに楽しく、さらに刺激的になることはまちがいありません。来たる2020シーズンが楽しみです。(続く)
2019年
12月
15日
日
近年における本大会の強豪、表彰台の常連チームといえば、フランス、スペイン、チェコ共和国の三ヵ国です。ウィキペディアの記事の表組みでもわかるよう、この三ヵ国の強さといったらない。
会場はEU圏でもなく南半球のオセアニア、完全なアウェイでの試合となった今回も、いかんなく力を発揮しています。また、試合初日から最終日まで、ハイランドのリザーバー3会場では、終日、異常気象を思わせる凄まじい強風が吹き荒れた(かの地の暦では初夏であるにもかかわらず、初日のリトルパイン戦は猛吹雪に)のですが、想像を越えるような悪天候でもその強さに変わりがないことを見事証明してみせました。
一方で、日本のフライアングラーになじみの深い、いわば英語圏の国がどうだったかといえば……。
日本のお隣、アメリカ合衆国は6位に終わりました。補足ですが、同チームの選手で過去に表彰台に絡んだことのあるコンペティター2人も、今回の個人戦では共に10位にすら入賞することができず無念の敗退。
続いて、期待された地元オーストラリアが7位、8位がイングランド、タスマニアのお隣、ニュージーランドは13位でした。
昨今、湖のボートフィッシングに強い選手を擁してきたチームといえばイングランドですが、5試合中、湖のボートフィッシングが3試合を占めた今回の個人戦を制したのは、大会の常連であるイングランドの選手でした。
また、本大会の優勝候補の一人と目されていた、日本でも知る人の多い地元タスマニアの名ガイド、Christopher Bassanoさんは個人戦30位に終わっています。編集者的感覚でいうなら、今回の敗因について詳しくインタビューしたい人の一人です。叶うなら、この5日間に何があったのか、試合当日の状況を思い出しながら、詳しく聞いてみたい。
ともあれ、リザルトだけを見てもいろんなことが見えてきます。ヨーロッパ勢が強いことはもちろんですが、これまで私たち日本人のフライフィッシングにいちばん関わってきたであろうアメリカ合衆国が、こと競技、こと世界大会においては、いまだ強豪国とはいえない点もそうです。このデータは、さまざまなキーワードが読み取れること請け合い。興味のある方は、今一度ご覧ください。
さて、今大会で日本人中首位に立ったのは、過去に世界大会はもちろん、オセアニア大会、NZ大会の出場および優勝経験など、国際大会の出場経験豊富なNZ在住のフィッシングガイド、Nさんでした。本大会は最終80位に止まりました。
国際大会初陣となった私の個人戦は、ファイナル90位(日本人中2位)に終わりました。(続く)
2019年
12月
14日
土
12月上旬、オーストラリアのタスマニアで開催されたフライフィッシングの世界大会、FIPS-Moushe World Fly Fishing Championship 2019に、チームジャパンの選手の一員として参戦してきました。
FIPS-Moushによるフライフィッシングの世界大会について興味がある方は、英文ですがこちらをご覧ください。
この世界大会は、5試合における選手5人の合計ポイントをナショナルチームごとに競う大会です。川や湖沼で、バンクやボート、時にウエーディングで釣果を競います。大雑把にいえば、できるだけ大きな魚をたくさん釣ったチームが勝ちと考えてよいと思います。世界各国の開催地に生息している各種のマスがその対象魚です。
すべての試合において、大会ルールにさえ準じていれば、ドライフライやストリーマーなど、使用するフライのカテゴリーに制限はありません。タックルも同様で、12ft以下のフライロッドの使用が許されていますし、フローティングラインからシンキングティップ・ライン、シンキングラインまで使うことができます。したがって、用いることが可能なメソッドの種類も少なくありません。
釣り場も、ボウ・アンド・アロー・キャストを使うような小さな川から、広大な湖までさまざまです。さらに、対象魚となるマスの種類も開催地によって異なるわけですから、より多くのタイプの釣り場や、あらゆるメソッドに長じていることが求められます。対して、たとえば、”川のドリフトボートの釣りは初めて”のようでは、ポイントに貢献することは難しいでしょう。
通算39回めになる今回のタスマニア大会では、1日に1試合が開催されました。5試合のうち3試合が標高1000m前後の高地にあるリザーバーでのボートの釣りにあてられ、2試合が川のウエーディングの釣りでした(ちなみに前回のイタリア大会では湖のバンクが1試合、川のウエーディングが4試合。大会によって試合内容は異なる)。対象魚の多くはブラウン、次いでレインボーで、のべ23カ国計120人以上の選手が参戦しました。
本大会で優勝したのはフランス、2位はチェコ共和国、3位はスペインでした。個人戦での優勝者は、1位イングランド、2位スペイン、3位スロバキア共和国です。リザルトはこちら。
われらがチームジャパンは、残念ながら満足な成績を残せず20位に終わってしまいました。悔しいのはもちろんです。言いたいこともいっぱいあります。しかし、現状のすべてを鑑みれば、これが道理なのでしょう。
特筆すべきは、チェコ、フランス、スペイン、イタリア、フィンランドなど、いわば欧州連合(EU)加盟国の選手たちの強さです。(続く)
2019年
8月
26日
月
忙しさにかまけて更新をサボっていたらお盆が終わっちゃった。
2019年のシーズンもいよいよ終盤戦に突入です。
さて、なんの関わりなけれど……写真は、最近愛用している”カゲロウ印”のフライボックス2種。左はOrvisブランドから出ているもの、右の、淡いブルーのマットのほうはオリジナル商品。
噂に違いなく、米国で特許出願中のシリコン製マットは、溝は浅いが、軸の太さにかかわらずフライをよくホールドしてくれると思う。やや重いのが玉にキズだが、ポリカーボネート製の本体の堅牢製は高いよう。半年ほど使ってみたがトラブルは一度もない。長期的な使用感はまた報告します。
そうだ! ポロシリでは、屋号で”フライズ”とうたっているように、十勝で使う各種フライを、シーズンを通して販売中です(@350円〜)。
自分で巻いたフライはホームの川で使うのがいい。そして、遠征で使うフライは、釣りをする場所で(ここが大事)、その日必要なパターンを、その日必要な本数だけ、ガイドに選んでもらって買うのがいい。世界のどんな国にマス釣りに行ってもフライ選びのコツは同じ。これに尽きると思う。
これこそ、もっとも効率よく、もっともお金をかけず、もっともたくさんのマスを釣る、最大の秘訣なり。ぜひ一度お試しあれ。