十勝を釣る道具

十勝に初めて訪れるアングラーやフライフィッシングのキャリアが短い人のための、十勝のマスたちを釣るための現実的道具ガイド。

このページでは十勝のフィールドで十勝のマスを効率よく釣ることに特化した現実的な釣り道具について紹介しています。フライフィッシングは魚とフィールドあっての遊び。肝心な魚や現場のことより道具やスタイルが先では結果は推して知るべしです。道具選びの起点にしたのは、北海道や十勝にすむマスの習性とフィールドの実際。このガイドでは、状況に応じて的確にマスを釣るための道具に特化し、デザインや時流、スタイルや味わいなど嗜好性に関する記述はできるかぎり省きました。十勝のフィールドで釣りをしたことのない方や、フライフィッシングのキャリアが短い方などは遠征の前にぜひご覧あれ。

8フィート以下のライトライン・ロッド

 8フィート以下の4〜5番のライトライン・ロッド群も状況に合わせて用意しておくとよい。規模の小さな山岳渓流の釣りや平野部の小河川でのドライフライの釣りに欠かせない。番手は用いるフライのサイズと飛距離に合わせて選ぶのが基本。レングスからも、素材はグラファイトのみならずファイバーグラスや竹などを使ったロッドも現実的だ。初夏から秋までの間は使う機会も少なくない。夏に山岳渓流のオショロコマやエゾイワナの釣りに行くなら1本は用意しておきたい。なお、十勝でもっとも汎用性が高いのは5番だ。

4番シングルハンド・ロッド

 釣りの距離はおよそ13.5mまで、10〜24番の小〜中型フライに使うロッド群。ドライフライ・フィッシングを中心に軽快さや使いやすさを求めるならレングスは8フィート半まで。各種のニンフフィッシング、フロートチューブやボートなど広範囲での利用を考慮すれば9フィート以上のものが便利。マスが水面の小さなエサだけを捕食している状況では、ライトラインによるデリカシーあるプレゼンテーションが欠かせない。おもにDTやWFのフローティングラインを使う。十勝ではシーズン初期や秋に登板の多いカテゴリー。

5番シングルハンド・ロッド

 十勝の川のニジマス釣りのオールラウンダーといえば、シングルハンドならやはり5番。8番〜20番までのフライを使い、およそ18m程度までの距離の釣りに用いるカテゴリー。快適度やアキュラシーを求めるなら8フィート半以下、ドライフライ以外のさまざまなメソッドをこなす汎用性を求めるならレングスは9フィート以上のほうが融通が効く。使うのはDTやWFのフローティングライン。十勝の川のニジマス釣りに持参するシングルハンド・ロッドといえば、汎用性の高い5番が欠かせない。


6〜7番シングルハンド・ロッド

 一般的に目されているところでは、6番ロッドの適合フライサイズは6〜18番、7番は4〜16番まで。特に6番は十勝での汎用性は高く(特に初夏)何かとよく使う番手。各種ウオータークラフトからのシンキングラインを用いたストリーマーの釣り、気水域でのアメマス釣りなどに使う。DTやWFのフローティングライン、各種のST、WFのシンキングラインなどを使う。レングスは8フィート半以上が標準。湖でのウエーディング時に使うならそれぞれ10フィートが◎。6番は初夏のエゾハルゼミのドライフライの釣りによい。7番は強風時や、セミのフライをコンスタントに遠投する時、ワカサギのドライフライを用いた釣りなどに○。

2〜5番スイッチロッド

 モンカゲロウやエゾハルゼミ、ワカサギのドライフライなどを用いたスティルウオーターのショアからのドライフライの釣りをはじめ、河川における各種のニンフィングやダウン・アンド・アクロスの釣り、気水域のアメマス釣りなどに便利なのがスイッチロッド。体格や体力の差はあれど片手でもキャストするなら5番までが現実的なチョイスだろう。アプローチのデリカシーを重視するなら2番もいい。レングスによる恩恵ははかりしれない。コンスタントに距離を投げる時は両手で、片手でフォアグリップの上部を持てばショートレンジのキャストも思いのほか軽快に行なうことができる。

8〜9番シングルハンド・ロッド

 大型ストリーマーを多用するシンキングラインによるスティルウオーターでのボートの釣り、フローティングラインによる気水域のアメマス釣り、ショアからのカラフトマス釣りや本流域でのダウン・アンド・アクロスの水面下の釣りにもよい。9番は一部河川のシロザケ釣りに使うことも。いずれもレングスは9フィート以上の長いものが便利。DTやWFのフローティングライン、WFのシンキングライン、各種STとシューティングラインの組み合わせなどを使う。軽快さやショートレンジでの操作性を重視するなら、スイッチロッドよりシングルがいい。


6〜7番ツーハンド・ロッド

 ある程度の飛距離およびパワーを要求される釣りに使う1本。対象魚がラインシャイな傾向にある湖では各種ST+シューティングラインの組み合わせによるストリーマーのリトリーブの釣りの主軸になる。ほか、ショアからの海アメマス釣りや、一部河川のカラフトマス・シロザケ釣り、本流域の釣りにも。汎用性を重視して1本持参するなら、スカンジナビアンスタイルやオーバーヘッドでもキャストしやすいアクションが便利。目的に応じてさまざまなラインと組み合わせて使う。スイッチロッドも◎。

8番ツーハンド・ロッド

 本流の中・下流域や気水域の、ダウン・アンド・アクロスでのアメマス釣りや、湖のシンキングラインの釣りに使う。ラインは各種STとシューティングラインの組み合わせがほとんど。有効なフライの重さや快適にキャスト可能なラインの種類(シンクレートや長さ、重さ)を考えれば、もっとも汎用性が高いツーハンド・ロッドは北米基準の8番だろう。川でも湖でも使う1本を選ぶなら、スカンジナビアンスタイルやオーバーヘッドでもキャストしやすいアクションのものが何かと融通が効く。川のアメマスが相手ならリールはクリックタイプのものも悪くない。

9番以上のツーハンド・ロッド

 気水域のアメマス釣り、ショアからの海アメマス、カラフトマス、シロザケ釣り、遠くにキャストすることが必須の条件になるような大河川、湖やリザーバーなどスティルウオーターのショアからのシンキングラインの釣りなどに使う。1本だけ入手するなら、スカンジナビアンスタイルやオーバーヘッドでもキャストしやすいアクションのものが何かと融通が効く。各種のSTとシューティングラインの組み合わせで使うことが多い。対象魚のサイズはもちろん、飛距離に合わせてウエイトを選択するカテゴリー。海で使うならリールは耐蝕性のある処理をされたものがよい。


フライラインについて

 ラインおよびラインのウエイト選びは、対象魚とフィールドの規模や種類、釣り方(使用するフライの大きさや空気抵抗、ティペットやリーダーの長さ、たとえばニンフィングを行なうならオモリやストライクマーカーの大きさなどのリグ全体)があってこそ。至上の目的が魚を釣ることなら、道具選びは現場を鑑みることから始まる。

 ウエイト選びの例をあげてみよう。たとえば、主に使うストリーマーが平均10㎝以上のバルキーで重いもので平均20ヤード以上をコンスタントにキャストするならシングル用6番ライン(およびロッド)では疲労度が高いし、エゾハルゼミを模したバルキーなドライフライをキャストするのに3番ラインでは、着水時のインパクトの軽減やドラッグ回避の面でメリットはあれど、デリバリーの能力やキャスティングにおける調整幅がなくゆとりがないといった具合。あたりまえのことだが、どこでどんな対象魚をどのように釣るかを決めてこそ、適切なラインの種類およびウエイトを選ぶことができるのは十勝の釣りも同じ。

 ツーハンド・ロッドやスイッチロッドが普及してそれらに適応するフライラインの種類が増えた現在、特殊な状況を除き、シングルハンド・ロッドで使うフローティングラインはフィールドでの現実的なディスタンスにおける扱いやすさこそ重視されるべきだ。具体的にいえば、至近距離から50フィート以内の機能がすべてといってよい。その点、5番以下のシングルハンド・ロッドでもっとも汎用性が高いラインは、フロントテーパーが標準、あるいは短めの長さにデザインされたDTラインやWFラインではないだろうか。昨今の十勝のマスは想像いじょうにスレているから、ラインのカラーは派手な蛍光色のものより控えめな色のほうが、精神的にもよいと思う。

 飛距離重視ではない、ボートやフロートチューブなど各種ウオータークラフトからシ

ングルハンド・ロッドで使うシンキングラインは、ST(シューティングテーパー)とシューティングラインの組み合わせよりもWFのほうがトラブルが少なくコントロールも容易で扱いやすい。十勝では氷点下前後になる春や初冬など、気温の低い時期に効果を実感できるはず。飛距離を重視する釣りなら、今や種類が豊富に揃っているST+シューティングラインと、スイッチロッドやツーハンド・ロッド群との組み合わせに任せてしまえばよい。

 

 ツーハンド・ロッド用のラインについてだが、対象魚やフィールドの状況しだいでは、マスをスプークさせぬよういっさいの波や音をたてずにキャストできること、プレキャストやアンカーなしにキャストすることがよい結果につながることが少なくない(ワカサギの接岸期の釣りなど、ウエーディングしないほうが好結果につながる可能性のある場合など)。十勝では春や秋など、無風時の波のない水面で小さなエサを捕食しているマスをねらう時なども同様で、大型のマスであればあるほど音や波を忌み嫌う魚は少なくない。対象魚や実際のフィールドで求められている内容に応じて適切なライン(キャストの方法を含む)をチョイスしたい。昨今、日本国内のツーハンドの釣りに関する情報源の大半は海外の遡上魚を対象としたのもの。たとえば北米に生息するスティールヘッドは概して動くフライに対してひじょうにアクティブで比較的ラインシャイではない魚だが、十勝に生息しているのは環境によって習性に多少の多様性はあれどほとんどが川育ちのニジマスで、スティールヘッドではない。稚魚、幼魚、中魚ないし小型の成魚はともかく、大型化した成魚ほどその習性に異なる部分が少なくないと思う。十勝にいるマスの習性に適した釣りができるラインを選びたい。


フライロッドについて


 一部の釣りのためのものを除けば、5番くらいまでのシングルハンド・ロッドを選ぶ時は最長飛距離の能力より現実的な釣りにおけるキャスティングレンジでの扱いやすさに留意したい。これは、競技会で競えるような超ロングキャストはできなくてもよいから、実用範囲のロングキャストからショートキャストまでを快適にこなせるシャフトが使いやすいということ。

 たとえば同じ5番のロッドでも、最長飛距離を重視したファストアクションでパワフルのシャフトに指定番手のラインを使った場合、概してショートレンジのキャスト時にはライン負荷が小さいため、シャフトをじゅうぶんに曲げることができずキャスティングが不慣れな人には扱いづらい(ガイド時によく見受けられるのもこのトラブル)。一方で40フィート前後のアプローチをできる限り少ないフォルスキャストで完了しなければならない時に(十勝ではよくある状況だ)ヤマメ・イワナ釣りに特化したようなショートレンジ向きの柔らかいシャフトを使った場合、距離を出すことで加わったライン負荷によるシャフトの曲がりをストロークとアークで調整できず、テイリングループなどのトラブルを多発させてしまうゲストも少なくない。同様に多いミスだが、柔らかいロッドで飛距離を伸ばそうと何度もフォルスキャストするうちに、肝心のマスを驚かせてスプークさせてしまうケースも。フィールドでキャストする距離はもちろん自分のキャスティング能力に見合ったロッドをチョイスしたい。実用的な距離を重視してデザインされた汎用性の高いシャフトなら、そんな失敗を最小限に抑えてくれる。

 シングルハンド・ロッドのメソッド面での汎用性について。例えば、河川の遡上アメマスの釣りなどで各種のニンフィングをするなら、レングスの短いロッドは概してビギナーにはひどく不便。ニンフィングには最低でも9フィート以上のものが使いやすい。ディープウエーディング時、フロートチューブやポンツーンからの釣りの時も同じ。水面からの高さが低いからロッドのレングスは長いほうが何かと融通が効く。注意点が一つ。有名メーカーがリリースしたロッドですら、レングスの長いロッドには”持ち重り感”がつよいものもある。こんな時は組み合わせるリールの重さに留意したい。

 昨今、専門誌では低番手ショートロッドの特集を目にすることもある。実際のところ、必然的なキャスト回数が多くなるショートレンジ主体のドライフライ・フィッシングには理にかなった道具だと思う。理論上も現実的にもキャストのアキュラシーを上げることができるし、短いレングスゆえにファイバーグラスや竹などさまざまな素材、それに付与するテーパーデザインおよびアクションを与えやすいから種類も豊富だ。「他人と違ったロッドを使っている」などの嗜好性も満たしてくれるカテゴリーでもある。では、十勝のフィールドやマス釣りでの実際や本ページの「マスを釣ることに特化した現実的道具選び」というフィルターを通せばどうだろうか。

 ショートロッドのメリットであるキャストのアキュラシーだが、たとえロングロッドであっても使い手のテクニックしだいでは精度はカバーすることができる。また、どん

なロッドでもしゃがんでキャストすればループが通過する高さを2〜3フィートほど下げることができるが、ショートロッドを長くすることはできない。通常のリストのポジションより腕を上げてキャストしてもせいぜい1フィートほど高くなるだけだ。やむをえずディープウエーディングをする時や、フローティングラインのメンディング、シンキングラインのリトリーブ時にトレースできるコースの選択肢などキャスト後のラインコントロールも同様。ロッドの短さはフィジカルやテクニックでは補いづらい部分が多い(「だから面白いんじゃないか!」という意見にはおおいに賛成だが、嗜好性にかかわる話ゆえこのページでは割愛)。ロングロッドが万能というわけではない。たしかにキャスティングは短いロッドより難しい。けれど、ショートロッドに対して物理的にカバーできる場面は多いと思う。小柄な人であればなおさらだろう。

 ボートからの釣りなどを除き、ロッドケースのある車を離れいったんフィールドに入ってしまえば、手もとにあるのは1本のロッドだけだ。その1本でさまざまな状況に対処できればマスが釣れる可能性は高まる。限られた期間の遠征時にどんな場面でも効率よくマスを釣るという観点からいけば、1本のロッドがもつ汎用性は大きなテーマだ(ゴルフクラブのようにーー同時にたくさん持ち運ぶなら別の話ですが)。

 

 近年とみに低番手化が進んでいるツーハンド・ロッドだが、タックル全体を考える順番は、対象魚の習性とフィールド、用いるフライの重さや大きさ、それらに適した釣り方(キャスティング方法を含む)を考えるのが順序というもの。次にリグを含むライン全体(ウエイト)を決め、最後にそれらを快適にキャストできるロッドを選ぶというのが定石だろう。釣りの世界に、「釣り道具は魚にいちばん近いところ、自分からいちばん遠いところ(ハリ先から)から順に考えよ」という名手が多いあたりもその証左だ。

 以下はガイド時にもよくある事例。実際の釣りに効果的なフライの重量や大きさ、使用頻度の高いシンクティップのシンクレートや長さ(重さ)を含む仕掛け全体、自分のキャスティング能力などを先に考えなければ、購入したロッド(ウエイト)ではパワー不足のため思いどおりにキャストができないという事態すらおきてしまう。ほかにも、15㎝のストリーマーが効果的なのに×番ではパワー不足でロングキャストできない、ソフトなプレゼンテーションが必要なのに(キャスト方法を含む)ラインのデザイン上、物理的な限界があってできない、などのケースも。

 釣りは魚ありき現場ありきなのだから、魚を釣る可能性を高めるならその日の相手に合わせる柔軟性が欠かせない。スタイルや道具などを優先させ人間側の都合を押しつければ、魚が釣れなくても道理というもの。十勝の対象魚とフィールド、それらの釣りに必要とされる作業を行なうことができるラインを選び、それに見合ったロッドをチョイスするのが現実的だ。


フライリールについて

 必要なフライラインの選定、それをキャストできるロッド選びときていちばん最後に選びたいのがフライリール。この順番をすすめる理由はシンプル。対象魚やフィールド、使うフライや釣り方が決まらなければラインを決めらない、ラインが決まらなければバッキングラインを含むリールに必要なキャパシティがわからない、決めたラインを適切にキャストできるロッドが決まらなければ、ロッドに見合う適切な重量のリールをチョイスできないから。全体の総重量が軽い低番手のタックルなら自由度もあれど、レングスの長い高番手のツーハンド・ロッドのタックルなどでは、重量のバランスしだいで取り回しのよさや疲労度が変わってくる。重さのバランスがとれていないタックルだと基本動作にかかわる取り回しが悪くなり、フライやティペットを頻繁に変えたりラインのシンクレートを変えるなど、実際の釣りに必要な作業を思いのほか億劫にさせてしまう。早春や晩秋など、気温の低い時期の十勝であればなおさらだ。

 十勝の対象魚の多くはワイルドのニジマス。時には生涯のレコードになるような魚に出会うこともある。本州以南のいわば渓流のフライフィッシングのように30㎝程度までのヤマメ、イワナがおもな相手でないにもかかわらず、状況しだいでは細イトを使う釣りをしいられることも少なくない。相応の準備があれば憂いなしだ。十勝の対象魚やフィールドの実際から実用面を鑑みたさい、現在最も無難なフライリールのチョイスは、ラージアーバーのスプールと調整幅の広い滑らかな滑り出しのディスクドラッグを擁したモダンなフライリールだ。軽量化された昨今のグラファイト製ロッドと一緒に使うなら重さのバランスもいちばんよい。使う前にドラッグの滑り出しをティペット強度の約1/3に調整しておくことがリールの能力を発揮させる条件だが、いつどんな状況で大型を掛けてもデメリットが少なく、ネットに入れる確率を上げることに貢献してくれる。特にテトラポットや倒木など障害物が多い小さな川で50㎝を越えるような大型ニジマスをねらう際に欠かせない。設定した負荷に応じてオートマチカリーにスプールが逆転してくれるディスクドラッグのリールは、キャリアの短いアングラーにとってなにかと心強い実用品だ。ガイド時によく見られるのは、ドラッグの負荷を設定していない状

態(ほとんど抵抗がなく滑らかに逆転する状態)のディスクドラッグのリール。こまめに負荷を設定する習慣がないのなら、同じラージアーバーでも常時適度な抵抗をかけられるクリックタイプのものでじゅうぶん。

 シーズン中毎日ゲストを案内していて現場でのトラブルがいちばん多いと感じるのもフライリール。高価な商品でも本体とスプールの隙間からラインが出てきたり、ラインを噛んでしまうものもある。軽量化されたスプールのほとんどがむきだしにデザインされたリールなどは、ちょっとした衝撃で変形してスプールが回転しなくなり釣りを中断してしまうケースも。ディスクドラッグのリールの中には、逆転時の負荷が突然かからなくなる傾向不良が見受けられるものもある(密閉式をうたいながらも内部に錆が発生するものもある)。両軸リールなどではスプールと本体の隙間からリーダーが内部に入ってスピンドルに巻きついてしまい、ドライバーなどでネジを外して分解しなければならないものも。コストも時間もかかった遠征の釣りなのだから、凝ったデザインや必要いじょうの軽量化をはかったものより、堅牢性や機能の安定性を重視して選びたい。

 数種類のシューティングラインを使い分ける釣りの際は、リール1台+替えスプールが便利。リールを複数台持参すれば荷物が重くなるうえかさばってしまう。脱着にコインなど工具が必要なリールも同じで(海のボートの釣りを前提としてデザインされた、堅牢で美しいリールに多いのが残念なところだ)時間や効率など現場を優先するなら現実的とはいえない。スペアスプールの利用はとても有効だし、コストも抑えてくれる。

 フライリールの重量は、軽ければ軽いほどロッド本来のアクションを活かすことができるが、比較的重さ・長さのある高番手のツーハンド・ロッドに軽量化されすぎたリールの組み合わせはバランスが悪く、”持ち重り感”のため疲労度が高くなるケースもある。また、11月下旬以降や3月上旬など厳寒期の十勝では、撮影などでリールを水に浸けた際に、気温が低いためにすぐに凍ってスプールが動かなくなるリールも。完全密閉のドラッグをうたった製品でも、リール内部に水を溜めやすいデザインのものはスプールが固着しやすい。