十勝を釣る道具

十勝に初めて訪れるアングラーやフライフィッシングのキャリアが短い人のための、十勝のマスたちを釣るための現実的道具ガイド。

このページでは十勝のフィールドで十勝のマスを効率よく釣ることに特化した現実的な釣り道具について紹介しています。フライフィッシングは魚とフィールドあっての遊び。肝心な魚や現場のことより、道具やスタイルなどが先では結果は推して知るべしです。起点にしたのは、北海道のマスとフィールドの実際。このガイドでは、状況に応じて的確により多くのマスを釣るための道具に特化し、デザインや時流、スタイルや味わいなど、釣り人の嗜好性に関する記述はできるかぎり省きました。十勝のフィールドで釣りをしたことのない方や、キャリアが短い方などは遠征の前にぜひご覧あれ。New!

(2022年2月に加筆・修正)

(注意)以下にまとめているそれぞれタックルは、ラインの規格を基準にしています。たとえば「4番ライン用シングルハンド・ロッド」の場合、ここでは、ラインは文字どおりAFFTAの4番(先端から30フィートの重さが120グレイン前後)を差していますが、ラインを通すロッドは4番指定のものとは限りません。2番や3番ライン指定のロッドでもいいと思います。いずれもそれぞれのラインで、おもに釣る距離に応じて荷重をかけてキャストできるよう、自分のスキルや目的に合った適切な調子あるいは適切な番手のロッドをご用意なさることをおすすめいたします。ラインの番手ごとに記載したフライサイズ(カテゴリーによっては飛距離も)などについても下記が世界的な標準といってよいと思います。アメリカやオセアニア、UKなど、世界のさまざまな場所でマス釣りをする際も流用できるバランスです。なお、一度でもお会いして釣りを拝見したことがある初回ご利用日以降のゲストさまに関しては、ロッドとラインのバランスのチェックなど、ご希望に応じてポロシリがサポートいたします。なんでもお気軽にご相談ください。

8フィート以下のライトライン用ロッド

 8フィート以下のロッド群も状況に合わせて用意しておくとよい。規模の小さな山岳渓流の釣りや平野部の小河川でのドライフライの釣りに欠かせない。ラインの番手は用いるフライのサイズに合わせて選ぶのが基本。レングスから鑑みても、素材はグラファイトのみならずファイバーグラスや竹などを使ったロッドも現実的だ。ドライフライ・フィッシングが好きな人なら、初夏から秋まで使う機会は少なくない。

3〜4番ライン用シングルハンド・ロッド

 3番ラインならフライは18番前後、距離は12m程度まで、4番なら15m以下、10番程度までの小〜中型フライに使う。ドライフライ・フィッシングを中心に軽快さや使いやすさを求めるならレングスは8フィート程度まで。さまざまなメソッドでの使用を考慮すれば8フィート半以上のものが便利。DTやWFのフローティングラインのほかシンキングラインを使うことも。河川の規模やフライサイズによっては必携。

5番ライン用シングルハンド・ロッド

 8番〜20番までのフライを使い、6m程度の近距離からおよそ18m以下の距離に用いるロッド群。軽快さを求めるならレングスは8フィート半以下、ドライフライ以外のさまざまなメソッドをこなす汎用性を求めるなら9フィート以上のほうが融通が効く。使うのはDTやWFのフローティングラインのほか、各種シンキングライン、シンキングティップ・ラインなど。いろんな釣りができ汎用性がたかく必携。


6〜7番ライン用シングルハンド・ロッド

 6番ラインの適合フライサイズは6〜18番、7番ラインなら4〜16番、距離は20m程度までの釣りに使う。河川やスティルウォーターでのバンクフィッシングや、ボートなどウオータークラフトからの各種の釣りに欠かせない。釣りの内容や目的に応じてDTまたはWFのフローティングライン、各種シンキングライン、シンキングティップ・ラインなどを使う。スティルウオーターのウエーディング時やボートで使うなら、9フィート半や10フィートなどレングスが長いのものがよい。ボートのドライフライ・フィッシングや川のドリフトなら9フィートも○。スティルウオーターでは必携。

5番までのツーハンド・ロッド

 フィールドの規模や状況、釣りの内容しだいでは、長いレングスのシングルハンド・ロッドの代わりにスイッチロッドもいい。コンスタントに距離を投げる時は両手で、片手でフォアグリップの上部を持てばショートレンジのキャストも思いのほか軽快に行なうことができる。レングスは釣り場や釣りの内容に応じて選ぶ。使うのは各種ST+各種シューティングラインの組み合わせはもちろんインテグレーテッドのスペイ系ラインなど。フックサイズ4番程度までのフライを使う際に。スペイ系ラインとの組み合わせは、バンクフィッシング時にバックキャスト・ルームがない場所を釣る時に。

8〜9番ライン用シングルハンド・ロッド

 8番ラインならフックサイズ2番くらいまで、9番なら1/0番程度までの大型フライを使う際に用いるロッド群。スティルウオーターでは、ワカサギのイミテーションをはじめ超大型のフライを使う釣りの際はもちろん、飛距離とパワーが必要な、水深20ft以上のコラムを連続してねらう時や強風時の釣りに欠かせない。海では場所によってショアからのカラフトマス釣りにもよい。DTやWFのフローティングライン、各種シンキングライン、シンキングティップ・ラインなどを使う。必要な度合いは釣りの内容と条件しだいだが、8番ライン用のロッドの使用頻度は低くないと思う。


6番前後のツーハンド・ロッド

 ある程度の飛距離およびパワーを要求される釣りに使う1本。対象魚がラインシャイな傾向にある湖では、主軸のタックルにするアングラーも。本流域の釣りにも登板回数が多い。汎用性を重視するなら、オーバーヘッドでもキャストしやすいアクションが便利。各種ST+シューティングラインの組み合わせやインテグレーテッドのスペイ系ラインなど、目的に応じてさまざまなラインと組み合わせて使う。釣りの内容しだいではスイッチロッドもよい。〜1/0程度までのフライを使う時に用いる。スペイ系ラインとの組み合わせはバックキャスト・ルームがない場所を釣る時に。

8番以上の高番手ツーハンド・ロッド

 海のアメマス、シロザケ、カラフトマスをショアからねらう際はもちろん、本流の中・下流域や気水域をはじめ、スティルウオーターのバンクからの釣りなど、バックキャスト・ルームがない時や遠くにキャストすることが必須の条件になるような釣りに使う。ラインは各種STとシューティングラインの組み合わせがほとんど。川でも湖でも使う1本を選ぶなら、スカンジナビアンスタイルやオーバーヘッドでもキャストしやすいアクションのものが何かと融通が効く。1/0より大型のフライを使うならこちら。日本では飛距離に合わせて選択することもあるロッド群。

ユーロニンフ・ロッド

 番手は使うフライサイズや対象魚の大きさに合わせて2〜4番から選ぶ。レングスは10フィートから11フィートまでが主流。開豁な流れならレングスが長いロッドに分がある。ラインはロッドの番手にかかわらず専用のユーロニンフ用ライン(極細のレベルライン)が使いやすい。ユーロニンフ・ロッドにユーロニンフ用ラインのセットアップのまま、小型ストリーマーをはじめ一時的にドライフライ・フィッシングに用いることも。ラインの軽さとロッドのレングスによる恩恵は大きく、思いのほか汎用性がある。川のマス釣りに欠かせない。トライした人には福音が。必携。


フライラインについて

 ラインの種類およびラインのウエイト選びは、用いるフライ(使用するフライのサイズや空気抵抗、重さなど)と釣り方を決めるところがスタート地点。至上の目的が魚を釣ることなら、道具選びは現場を鑑みることから始めたい。

 ラインの番手選びのミスの例をあげてみよう。たとえば、使うフライが#2サイズかつ重いものとして、18m以上の距離をコンスタントにキャストするなら先端30フィートが160グレインの6番ラインではパワー不足だ。また、バルキーな4番のドライフライをキャストするのに120グレインの4番ラインでは、着水時のインパクトの軽減やドラッグ回避の面でメリットはあれどパワー不足でコントロール上での調整幅がなくゆとりがない。あたりまえのことだが、使うフライのサイズや種類(あるいは仕掛け全体)を決めてこそ、適切なラインの種類および番手を選ぶことができる。

 スティルウオーターでシングルハンド・ロッドで使うラインは飛距離重視ならST(シューティングテーパー)とシューティングラインの組み合わせ、そうでない限りはWFラインがよい。いずれもツーハンドのそれに比べデリカシーのある釣りを展開することができる。WFはロングラインのコントロール性やターンオーバーのアビリティに優位性があり、強風時のトラブルも最小限に抑えることができる。詳しくはこちら>

 川でシングルハンド・ロッドで使うフローティングラインだが、汎用性はDTのほうが高め。特に、ロングラインのコントロール性はWFにDTが勝る。本流などではDTのほうが使いやすい場面も少なくない。釣りの内容と目的に合わせて選びたい。

 ツーハンド・ロッド用のラインについては、対象魚やフィールドの状況しだいでは、マスをスプークさせぬよういっさいの波や音をたてずにキャストできること、プレキャストやアンカーなしにキャストすることがよい結果につながることが少なくない。

 春や秋など、無風時の波のない水面で小さなエサを捕食しているマスをねらう時なども同様で、大型のマスであればあるほど音や波を忌み嫌う魚は少なくない。対象魚や実際のフィールドで求められている内容に応じて適切なライン(キャストの方法を含む)を選びたい。スティルウオーターであればなおさらだろう。

 たとえば、北米に生息するスティールヘッドは概して動くフライに対してひじょうにアクティブで比較的ラインシャイではないが、北海道に生息しているニジマスは環境によって習性に多少の多様性はあれどほとんどが川育ちのニジマスだ。スティールヘッドでもアトランティックサーモンでもない。小型の魚はともかく、大型化した成魚ほどその習性に異なる部分が少なくない。釣果を優先するなら、目の前にいるマスに適した釣りができるラインを選びたい。

 ガイドフィッシング時なら釣りに必要なライン(およびロッド)を事前にガイドに聞けばよい。川、湖沼などスティルウオーター、海。ドライフライ・フィッシングからストリーマーの釣りまで。さらには、バンクフィッシングからボートの釣りまでというように、釣りの守備範囲が広く経験豊かなガイドなら、希望した釣りに適切なタックルを必ず教えてくれるはずだ。


フライロッドについて


 一部の釣りのためのものを除けば、マス釣り用のシングルハンド・ロッドを選ぶ時は最長飛距離の能力より現実的な釣りにおけるキャスティングレンジでの扱いやすさに留意したい。これは、競技会で上位を競えるような超ロングキャストはできなくてもよいから、実用範囲の距離を快適にこなせるシャフトが使いやすいということだ。

 たとえば同じ5番のロッドでも相対的に硬いシャフトに規格どおりの重さのラインを使った際、6m程度のショートレンジを投げる時にはライン負荷が小さいため、シャフトを曲げることができずキャスティングが不慣れな人には扱いづらい(ガイド時によく見受けられるのもこのトラブル)。一方で12mくらいの距離をできる限り少ないフォルスキャストでプレゼンテーションしなければならない時に(十勝ではたまに遭遇する状況だ)ヤマメ・イワナ釣りにも使えるような相対的に柔らかいシャフトを使った場合、距離を出すことで加わったライン負荷によるシャフトの曲がりをストロークとアークで調整できず、テイリングループなどのトラブルを多発させてしまうゲストも少なくない。同様に多いミスだが、柔らかすぎるロッドで飛距離を伸ばそうと何度もフォルスキャストしてしまい、肝心のマスを驚かせてスプークさせてしまうケースも。フィールドでキャストする距離はもちろん、まずは自分のキャスティング能力に見合ったロッドをチョイスしたい(たとえば、12m以上は的確に投げられないという人に、フルラインを楽にキャストできるような硬いロッドは実釣では不要といってよい)。実用的な距離を重視してデザインされたシャフトなら、上記のような失敗を最小限に抑えてくれる。

 シングルハンド・ロッドのメソッド面での汎用性について。たとえば、各種のニンフィングをするなら、レングスの短いロッドは概してビギナーにはひどく不便だ。これはディープウエーディング時や、フロートチューブやポンツーンからの釣りの時も同じ。水面からの高さが低い時はロッドのレングスは長いほうが何かと融通が効く。注意点が一つ。有名メーカーがリリースした高級ロッドですら、レングスの長いロッドには”持ち重り感”がつよいものもある。こんな時は組み合わせるリールの重さに留意したい。

 昨今、専門誌では低番手ショートロッドの特集を目にすることもある。実際のところ、必然的なキャスト回数が多くなるショートレンジ主体のドライフライ・フィッシングには理にかなった道具だと思う。理論上も現実的にもキャストのアキュラシーを上げることができるし、短いレングスゆえにファイバーグラスや竹などさまざまな素材、それに付与するテーパーデザインおよびアクションを与えやすいから種類も豊富だ。「他人と違ったロッドを使っている」などの嗜好性も満たしてくれるカテゴリーでもある。では、十勝のフィールドやマス釣りでの実際や本ページの「マスを釣ることに特化した現実的道具選び」というフィルターを通せばどうだろうか。

 ショートロッドのメリットの一つは、同じ素材なら比較的ファストアクションになるためタイトループが作りやすいこと。しかしながら、たとえロングロッドであっても使い手のテクニックしだいでカバーすることができる。また、どんなロッドでもしゃがん

でキャストすればループが通過する高さを2〜3フィートほど下げることができるが、ショートロッドを長くすることはできない。通常のリストのポジションより腕を上げてキャストしてもせいぜい1フィートほど高くなるだけだ。やむをえずディープウエーディングをする時はもちろん、フローティングラインのメンディング、シンキングラインのストリッピング時のコースの選択など、キャスト後のラインコントロール時も同様に有利。ロッドの短さは身体では補えない部分が多い(ハンディキャップがあるから面白いんじゃないか! という意見にはおおいに賛成だが、嗜好性にかかわる話ゆえこのページでは割愛>別記あり)。ロングロッドが万能というわけではない。けれど、使いこなせるならば、ショートロッドに対して物理的にカバーできる場面や、スムースに適用可能なメソッドは少なくない。小柄な人であればなおさらだろう。

 もう1点。ヤマメ、イワナ用にも使えるような、バットまでよく曲がる相対的に柔らかいシャフトは、たとえ同じ4番ライン用のロッドでも、多くの人がワイルドの大型ニジマスを相手に短時間にネットに入れられるだけのパワーがない。やりとりに時間がかかればマスに与えるダメージは大きくなり、釣った魚を蘇生できない事態も発生する。リリースを前提としているなら、大型のニジマスをねらう際は必ずマス用に設計されたロッドを使いたい。これはルールではないがマナーではないだろうか。資源には限りがある。魚が釣れれば何をしてもよいわけではないと思うが、いかがだろう。

  近年とみに低番手化が進んでいるツーハンド・ロッドだが、タックル全体を考える順番は、対象魚の習性とフィールド、用いるフライの重さや大きさ、それらに適した釣り方(キャスティング方法を含む)を考えるのが順序というもの。次にリグを含むライン全体(ウエイト)を決め、最後にそれらを快適にキャストできるロッドを選ぶというのが定石だろう。釣りの世界に、「釣り道具は魚にいちばん近いところ、自分からいちばん遠いところ(ハリ先から)から順に考えよ」という名手が多いあたりもその証左だ。

 以下はガイド時にもよくある事例。実際の釣りに効果的なフライの重量や大きさ、使用頻度の高いシンクレートや長さ(重さ)を含む仕掛け全体、自分のキャスティング能力などを先に考えなければ、購入したロッド(ウエイト)ではパワー不足のため思いどおりにキャストができないという事態すらおきてしまう。ほかにも、10㎝のストリーマーが効果的なのに×番ではパワー不足で思いどおりにキャストできない、ソフトなプレゼンテーションが必要なのに(キャスト方法を含む)ラインのデザイン上、物理的な限界があってできない、などのケースも。

 釣りは現場ありきだ。魚を釣る可能性を高めるならその日の相手に合わせる柔軟性が欠かせない。スタイルや道具などを優先させ人間側の都合を押しつければ、魚が釣れなくても道理というもの。対象魚とフィールド、それらの釣りに必要とされる作業を行なうことができるラインを選び、それに見合ったロッドをチョイスするのが現実的だ。


フライリールについて

1970年代のボグダンと1900年代初頭のハーディー。いずれもフライフィッシングを象徴するような存在で多くのアングラーが憧れるフライリール。でも、これじゃなくても釣りは楽しめます。
1970年代のボグダンと1900年代初頭のハーディー。いずれもフライフィッシングを象徴するような存在で多くのアングラーが憧れるフライリール。でも、これじゃなくても釣りは楽しめます。

 必要なフライラインの選定、それをキャストできるロッド選びときていちばん最後に選びたいのがフライリール。この順番をすすめる理由はシンプル。対象魚やフィールド、使うフライや釣り方が決まらなければラインを決めらない、ラインが決まらなければバッキングラインを含むリールに必要なキャパシティがわからない、決めたラインを適切にキャストできるロッドが決まらなければ、ロッドに見合う適切な重量のリールをチョイスできないから。全体の総重量が軽い低番手のタックルなら自由度もあれど、レングスの長い高番手のツーハンド・ロッドのタックルなどでは、重量のバランスしだいで取り回しのよさや疲労度が変わってくる。重さのバランスがとれていないタックルだと基本動作にかかわる取り回しが悪くなり、フライやティペットを頻繁に変えたりラインのシンクレートを変えるなど、実際の釣りに必要な作業を思いのほか億劫にさせてしまう。早春や晩秋など、気温の低い時期の十勝であればなおさらだ。

 十勝の対象魚の多くはワイルドのニジマス。時には生涯のレコードになるような魚に出会うこともある。本州以南のいわば渓流のフライフィッシングのように30㎝程度までのヤマメ、イワナがおもな相手でないにもかかわらず、状況しだいでは細イトを使う釣りをしいられることも少なくない。相応の準備があれば憂いなしだ。十勝の対象魚やフィールドの実際から実用面を鑑みたさい、現在最も無難なフライリールのチョイスは、ラージアーバーのスプールと調整幅の広い滑らかな滑り出しのディスクドラッグを擁したモダンなフライリールだ。軽量化された昨今のグラファイト製ロッドと一緒に使うなら重さのバランスもいちばんよい。使う前にドラッグの滑り出しをティペット強度の約1/3に調整しておくことがリールの能力を発揮させる条件だが、いつどんな状況で大型を掛けてもデメリットが少なく、ネットに入れる確率を上げることに貢献してくれる。特にテトラポットや倒木など障害物が多い川で50㎝を越えるような大型ニジマスをねらう際に欠かせない。設定した負荷に応じてオートマチカリーにスプールが逆転してくれるディスクドラッグのリールは、キャリアの短いアングラーにとってなにかと心強い実用品だ。ガイド時によく見られるのは、ドラッグの負荷を設定していない状態(ほ

とんど抵抗がなく滑らかに逆転する状態)のディスクドラッグのリール。こまめに負荷を設定する習慣がないのなら、同じラージアーバーでも常時適度の抵抗をかけられるクリックタイプのものでじゅうぶん。

 シーズン中毎日ゲストを案内していて現場でのトラブルがいちばん多いと感じるのもフライリール。高価な商品でも本体とスプールの隙間からラインが出てきたりラインを噛んでしまうものもある。軽量化されたスプールのほとんどがむきだしになったリールなどは、ちょっとした衝撃で変形してスプールが回転しなくなり釣りを中断してしまうケースも。ディスクドラッグのリールの中には、逆転時の負荷が突然かからなくなる傾向不良が見受けられるものもある(密閉式をうたいながらも内部に錆が発生するものも)。両軸リールなどではスプールと本体の隙間からリーダーが内部に入ってスピンドルに巻きついてしまい、ドライバーなどでネジを外して分解しなければならないものも。コストも時間もかかった遠征の釣りなのだから、凝ったデザインや必要いじょうの軽量化をはかったものより、堅牢性や機能の安定性を重視して選びたい。

 数種類のシューティングラインや複数のラインを使い分ける釣りの際は、スペアスプールを用意するか、スプールが安価なカセットリールが便利。リールを複数持参すれば荷物が重くなるうえかさばってしまう。スプールの脱着にコインなど工具が必要なリールも同じで(海のボートの釣りを前提としてデザインされた、堅牢で美しいリールに多いのが残念なところ)時間や効率など現場を優先するなら現実的とはいえない。スペアスプールの利用はとても有効だし、コストも抑えてくれる。

 フライリールの重量は、軽ければ軽いほどロッド本来のアクションを活かすことができるが、比較的重さ・長さのある高番手のツーハンド・ロッドに軽量化されすぎたリールの組み合わせはバランスが悪く、”持ち重り感”のため疲労度が高くなるケースもある。また、厳寒期の北海道では、撮影などでリールを水に浸けた際に、気温が低いためにすぐに凍ってスプールが動かなくなるリールも。完全密閉のドラッグをうたった製品でも、リール内部に水を溜めやすいデザインのものはスプールが固着しやすい。