道内のいろんな湖沼やリザーバーでボートフィッシングをしていて気づくのが、ボートオーナーのマナーのなさだ。エチケットを知らない人が多い。
先日も、投錨した状態でゲストと釣りをしていた際、男性1名を乗せたゴムボートが風下側30mほどまでいきなり近づいてきた。つまりキャストしている方角、マスをねらっている範囲に近づいてきたのである。すぐさま手を振り、声を出して事情を説明した。
ある時は、エンジンはもちろんトローリングモーター(以下エレキと略)などモーター類をすべて停止させた状態で、ゲストと息をひそめてライズを続けるマスをねらっていたところ、男性1名が乗った船外機付きのゴムボートがいきなり船のすぐそばまで接近してきて「ニジマス釣れる?」と聞いてきた(関東ナンバーの白のワンボックスで来ていた)。盛大なエンジン音のせいでライズはなくなってしまった。
じつは、こういう例に枚挙にいとまがないというのが本稿を書くきっかけだ。
90年代以降の北海道は、本州以南のようにブラックバスがいないせいもあってボート釣りが盛んな地域ではない。また以前のようにヒメマスのトローリングを楽しむ人も多くはない。
新艇はもちろん、中古艇や船外機などプレジャーボートぜんたいを扱うボート専門店も道内には数えるほどしかない(私自身、エンジンのオーバーホールなど専門的なメンテナンスは自宅から250km離れたショップに依頼している)。そんな背景から、周りの知人などから直接学ぶ機会もないのだろう。私自身は同船取材や撮影などがボート釣りのゆりかごだ。多い年で年間60日以上船の上にいた。職業人の操船技術や考えを知ることができた。
一方で、釣り雑誌や動画配信サイトらメディアやメーカーなど、業界によるマナーの啓蒙活動がどうかといえば機能していないのが実情だ。
これは70年代の、日本のルアー/フライの黎明期以降から現在まで連綿と同じ傾向で、勤務先の多くが都心にあり、通勤圏内の首都圏に住む役員や社員にボートオーナーがいないのがいちばんの要因だろう。これらの企業、欧米の場合多くは会社の敷地内にボートが駐艇してあったりするものだが(国内では琵琶湖周辺にある関連企業などはその例外だ)、首都圏ではそれはかなわない。日本では、業界の人間ですらそのほとんどがボートそのものすらよく知らないのである。
事故を繰り返さないために
時代はさらに複雑になった。ボートそのものは、ボート釣り経験のない市井のアングラーがオークションや個人売買などインターネット経由で気軽に、安価に買えてしまうようになった。道内でも、船舶免許なしで乗ることができる2馬力以下の船外機をつけたボートはあちこちで見かけるし、エレキをつけたフロートチューブも見かけるようになった。
数年前には阿寒湖で2名がボートで亡くなる事故が発生した。同湖ではほかカヌーで転覆し、乗員の男性が島に漂着する事故も起きている。
エチケットはもちろん、正しい知識と技術を身につけなければならない。事故を繰り返してはならない。
地球上でマスをねらうボート釣りが世界でもっとも盛んな地域は欧州だ。米国ではない。ここではAngling TrustやAnglian Waterの例などにならってボート釣りのエチケットについて説明する。
欧州の主要なレイク・リザーバー(貯水池)の釣り用ボートステーション(レンタルボート拠点)において、ボート間で保つべき距離のエチケットは最低50メートル、できれば100メートル以上というのが共通認識だ。主要な団体などのガイドラインでは、「他のボートから半径50メートル以内への進入禁止」が明確に規定されている。
それら複数のエチケットを大まかに要約すると以下のようなものになる。もちろん、緊急時の航行はその限りではないが、じゅうぶん骨子になる内容じゃないだろうか。
なお、以下に記載したボート後方とはアングラーが釣りをしていない方角、ボート前方とはアングラーが釣りをしている方角を差しています。
ボート後方は最低でも50メートルの距離をおき、引き波が立たないよう航行すること。
ボート前方を横切る際は100メートル以上の距離を取る。
バンクフィッシング、あるいはウエーディングしているアングラーがいる場所では、キャストの範囲を妨害しないよう50メートル以上の距離をとって航行すること。
なぜボート前方を横切る場合が100メートル以上なのか、その理由は”流し釣り”をしているボートの航路および釣りの範囲を考慮しているから。
ボート釣りのエチケットについては、改めてページにまとめようと思います。
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