ここで、木造建築のコストについて少々。
『350万円で自分の家をつくる』(畠山サトル著・株式会社エクスナリッジ刊)によれ ば、工務店などに住まいの建築を依頼した場合、木材・建材、屋根、電気、設備類などのいわゆる材料費は、驚くなかれ総額の30%程度であることが相場のよ
うです。残りの約3割は人件費、その残りが設計・管理料などのいわゆる諸経費だとか。つまり、勘定項目の名称はどうあれ、総額の半分以上が人件費ってこと。これってけっこう興味ぶかい。
建てるのは住居ではないので条件は異なりますが、仮に100万円相当の物置を外注するとしましょう。先の著作にあった割合からいくと、材料費は総額の約3 分の1である30万円ちょっと。あとの内訳は、職人さんの人件費と、設計料や各種手数料などを含む諸経費が、それぞれ30万円少々ずつ。プロの大工さん
の日当を1日3万円として2名がかりで施工したとすれば、10日以内に完成しなければなりません。
一方で、自分で建てる場合は、物置程度なら設計や施工はもちろん、すべて自身でやるケースがほとんどです。同著にならって考えれば、必要なお金は限りなく材料費だけに。素人ゆえ日当を8,000円で計算すれば、都合75日かけて完成すればよいことになります。そして、この場合、2ヶ月半で60万円を稼いだのとの同じことになる。もし工期を短くできれば、その分1日あたりの日当が上がり、短期間により多く”稼いだこと”になるというわけです。なるほどねぇー。そりゃそうだ。
セルフビルドの場合、実際にお金は入ってきませんが、自分が動いた分の人件費は”見えない所得”になります。でも、所得といえどこの人件費には、 消費税 がかからない。そして、たとえ工期が伸びて人件費の額がどんなに大きくなっても、借り入れもローンもないし利子もつかないのであります。自分のためにやってんだからあたりまえだけど、これってすごい。笑える。要は考え方なのですね。
まぁー、私の場合できあがった肝心の物置は習作の”おんぼろ”だし、おまけとして、今後も使うことができる工具一式が残っただけ。でも、何より得がたい知恵と筋肉がついた。それに、ちょっぴり誇らしく、少しだけ自信がついたような、晴れやかな気分になりました。
プロの大工さんとは、お金もらって他人様のためにクリエイティブやって、知恵を蓄えながら自分の身体を健康にしている連中のこと。
十勝でプロの大工やってるJさんは、私にとって、気のおけない釣り友だちであり、大工仕事の先生のような人。筋骨隆々で逞しく、明るく大きな声でよく笑うナイスガイです。
昨年彼は、薪ストーブがついたデッカイ新居をついに自分で建てた。プロの大工さんだからあたりまえかもしれないけど……なんていうんだろう……自分で住まいを作ることができるなんて! エコノミカルだしカッコいいし、夢があるなぁーと思います。
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